#2 自分ごと化に大事な力は世代で違う

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#2 自分ごと化に大事な力は世代で違う


#2 自分ごと化に大事な力は世代で違う

筆者:株式会社ゼロイン コミュニケーションデザイン総研 責任者 三宅 欣広(みやけ よしひろ)
1997年からリクルートグループで、主に人材領域で企業の採用広報やブランディング、地域活性コンテンツの企画・編集・制作、メディアの立ち上げなどに携わる。2010年、ゼロインに入社。インターナルコミュニケーションのコンサルティングや企業ブランドの構築・浸透などに従事。現在はコミュニケーションデザイン総研責任者としてノウハウの体系化などを行っている。

コミュニケーション施策は、エンゲージメントに有効か

今回は、2019年5月にコミュニケーションデザイン総研で実施した「コミュニケーション施策の実施状況と、従業員の企業の価値観に対する親和性」に関する調査結果から、令和時代に大事な組織コミュニケーションのあり方についてお伝えしていきます。

この調査は、従業員規模や業界、職位、世代の異なる企業に勤める社会人1000名を対象に実施しています。「企業の価値観」とは、ビジョンやミッション、バリューなど、それぞれの企業で大事にすべきもの、目指すべき姿として表明されているものを指します。まずそれぞれの勤める企業でのインターナルコミュニケーション施策の実施状況について、社員総会が55.4%、業績表彰が58.8%と最も多く、ナレッジ共有の実施はぐっと減って22.4%という結果になっています(図1)。

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【図1】施策の実施状況

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【図2】施策実施状況による従業員エンゲージメントの違い

これら施策の実施状況による従業員エンゲージメントの違いをまとめたのが図2です。

企業の価値観に対する共感度、仕事上で意識・実行しているかのコミット度、自社や自社のサービスを大事な人に勧めたいかという推奨度ともに、どれも実施していないよりも実施した方が高いというのは一目瞭然かと思います。

ただもう少し細かく見ると、一番実施されている業績表彰ではこの差が小さく、推奨度で言えば中間値の3.5を下回っています。業務が複雑化し協働しての価値提供が求められる近年のビジネス環境では、同一の尺度での比較評価となりがちな業績表彰だけでは、多様化する従業員のモチベーションに響きづらくなっているのではないでしょうか。当然やらないよりはやった方がよいのですが、多様な表彰基準を設けたり、表彰時には成果だけでなく、プロセスでの受賞者の行動や思いもあわせて伝え称賛するといった工夫が必要です。

一方でナレッジ共有を実施している場合はどの値も高い結果となっています。ここでのナレッジ共有の形式や共有ポイントは会社によって様々ですが、企業の価値観を体現した仕事がナレッジ共有によって紐解かれ、その価値が共有されることで、エンゲージメントが高まっていることが推定されます。社員総会で方針を伝え、それを体現するヒトやコトを多様な観点から称賛し、その内容を紐解いて共有する、この合わせ技が大事なのではないでしょうか。

エンゲージメント・ドライバーの因果関係

今回の調査では、特にインターナルブランディング施策と関連性の高い質問項目を3要素6因子にわけて(図3)、その因果関係を分析しています。その結果、エンゲージメント・ドライバーとなる重要な因子がわかりました(図4)。

6因子のうち、「推奨する力」は、自社への入社や自社サービスの購入を大事な人に勧められるかといった、最もエンゲージメントの必要な項目と言えます。最近ではこれをEmployee NPS指標として定期的に測定する組織も増えてきています。

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【図3】エンゲージメント・ドライバー3要素6因子

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【図4】エンゲージメントドライバーの因果関係(全体)

 

この「推奨する力」と強い因果関係にあるのが、「推し進める力」です。平たく言えば、企業の価値観や戦略を自分ごと化して実践する力です。実践して自分たちのサービスの価値を体感するからこそ、大事な人にも勧められるというのは自然な流れかと思います。

この「推し進める力」を高めるためには、「マネジメントが任せ認める力」と「称え合う力」が必要になります。権限委譲をし、実践したら、それをきちんと見て称賛する。ほめあう企業文化が大事だということがわかります。
※ちなみにここに出てこない2つの力も明確な因果関係とは言えないまでも、それぞれの力と相関関係はあり、この力が不要だというわけではありません。

ワンピース時代の働く価値観

この分析を世代別で実施したところ、若手世代については全体傾向と少し異なる結果が出ました(図5)。

ここでは20歳〜35歳までを若手世代として分析しています。

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【図5】エンゲージメント・ドライバーの因果関係(20〜35歳)

「推し進める力」には、まず「称え合う力」が強く因果関係を持ちます。さらに先ほどは任せ認める力でしたが、若手世代では「補い合う力」と因果関係があることがわかりました。若手世代は、承認と、多様性を前提にチームへの貢献を感じられることが重要ということです。マネジメントにはこれを促進できる環境を整える役割が求められているとも言えます。

鈴木貴博さんの『「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱』(朝日新聞出版)という本があるのですが、ここで紹介されているワンピース世代とこの若手世代とは、年齢的にほぼ重なります。ガンダムは地球連邦軍という組織の中で矛盾と葛藤しながらも戦い成長していく物語で、ガンダム世代は組織の中で役割を果たそうとする価値観が強い。

一方でワンピースはそれぞれ強みの違う仲間と、ヨコのつながりを大事にして進んでいきます。この世代は個人の意思を大切にし、仲間に迷惑がかかっていないかを気にするそうです。

これからはこの価値観の違いを踏まえて、コミュニケーション施策やマネジメントの仕方を考えていく必要があるかもしれません。そしてもはや世代にかかわらず、時代としてワンピース的価値観にシフトしつつあることを意識した方がよいのではないでしょうか。

筆者:三宅 欣広

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