社内コミュニケーションは、トップメッセージの量と質を計画する

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社内コミュニケーションは、トップメッセージの量と質を計画する


社内コミュニケーションは、トップメッセージの量と質を計画する

筆者:株式会社ゼロイン 取締役副社長 兼 COO 並河 研(なみかわ けん)
1984年リクルート入社。広報室でインナーコミュニケーション施策や教育映像を手がけ、40年超の歴史を持つ社内報『かもめ』2代目編集長を務める。2009年ゼロインの取締役就任。以降、多数の企業で組織活性化をプロデュース。並行してアメフット社会人チーム『オービックシーガルズ』運営会社、OFC代表取締役としてチームをマネジメント。

来年度の“コミュニケーション戦略”計画に向けて

クリスマスが近づいてきました。この時期は、来年度の全社方針・戦略を実現するコミュニケーション施策や、トップメッセージをどのように作成するかといった、“年間コミュニケーション戦略”を練り始める時期でもあります。「2020年に向けた新3ヵ年計画を」という企業も多いのではないでしょうか。

戦略は目標の達成に最も効果的な打ち手であり、インナーブランディング観点では「いつ、誰から、誰に、何を、どのように、どれぐらい」伝えれば「戦略を実現する従業員の行動が最大化するか」を、常に念頭に置くことが戦略の要になります。

「誰から、誰(向け)に、何を、どのように」は『中味=質』の設計。「いつ、誰(どんな場所)で、どれぐらい」は『量』の設計と言い換えられます。トップメッセージの設計は“まずは中味から”になりますが、1~3年という時間の流れ、階層や部門、職種が絡み合う組織での浸透を俯瞰してみたときには、「いつ(どのようなタイミングで)、誰に、どれぐらい」メッセージを届けるか、という『量』の設計にも同時に気を配る必要があります。

ここで参考にしてみたいのが、広告関係者の間で知られる「GRP(GROSS RATING POINT)=延べ視聴率」です。

一定期間に流したCM1本ごとの視聴率の合計を意味しており、仮に視聴率10%の番組に10回CMを打てば、GRPは100(%)になります。このGRPが、テレビCM投資の規模や効果を考える際の、代表的な指標です。母集団1万人の集団において、あるCMを1回以上見た人の割合が30%で、その1回でも見た人たちが平均して20回見たとすれば、GRPは600%と言える指標です。

したたかに、しなやかに発信し続ける

このCMを「トップメッセージ」あるいは「広報テーマ」と置き換えて考えると、どうなるでしょうか。

たとえば新入社員や若手には、理念やビジョンというマクロな概念と、日常業務というミクロとの“接続”をテーマにしたコンテンツのGRPを多めに設計する。リーダーや幹部社員には、業界動向や経済環境と顧客価値といったコンテンツのGRPを多めに設計する。

あるいは、トップメッセージでも若手社員には身近なモノの言い方で、幹部にはビジネス用語満載のフレームで語ってみるなど、量と質を対象に応じて柔軟に設計することが、効果的なコミュニケーションになるのだと思います。

設計する際、“多め”の捉え方は意外と曲者で、発信側(経営や広報)は「1回時間を割いて伝えたから大丈夫」と思いがちですが、受信側のインサイトを考えると、手を変え品を変え、語り手や表現を変え、腑に落ちて本人の言葉になるまで、したたかに、しなやかにやり続けないと“多め”のGRPにはなりません。

ちなみにNHKでは、1960年から5年ごとに「国民生活時間調査」を実施し、日本人の生活実態を「時間=いつ、何をしているか」という尺度で見ています。これも従業員に置き換えて、「誰に向けては、いつ発信すればリーチするのか」を再設計してみてはいかがでしょうか。

在宅・リモートワークの促進、オフィスのフリーアドレス化、SNS・社内イントラやデバイスなどの情報環境の発展などの変化と、業務の繁閑を掛け合わせてみると、メッセージ発信のタイミングを相当な緻密さで設計しなければ、経営とスタッフが格闘して作りあげたトップメッセージが従業員にリーチしないことになります。

テレビCMの世界では最近、視聴率の掛け算であるGRPだけではなく、本当に観てほしい人にどれぐらい伝わり、購買行動につながったのかという「視聴質」を追求しようという動きがあるようです。トップメッセージ伝達をプロモーション活動と見立てて、来期のコミュニケーション戦略を練るアプローチもまた、ありではないでしょうか。

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