インナーブランディングを成功に導く人事の関わり方

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インナーブランディングを成功に導く人事の関わり方


インナーブランディングを成功に導く人事の関わり方

筆者:株式会社ゼロイン 取締役副社長 兼 COO 並河 研(なみかわ けん)
1984年リクルート入社。広報室でインナーコミュニケーション施策や教育映像を手がけ、40年超の歴史を持つ社内報『かもめ』2代目編集長を務める。2009年ゼロインの取締役就任。以降、多数の企業で組織活性化をプロデュース。並行してアメフット社会人チーム『オービックシーガルズ』運営会社、OFC代表取締役としてチームをマネジメント。

つい先日、2018入社の内定式が終わったと思っていたら、巷では2019卒向けのインターンシップが始まっています。少子高齢化の中で、新卒採用は通年化してきており、多くの会社様で頭を悩ませているのではないでしょうか。

数年前、500名規模のシステム開発会社様の『トップメッセージ浸透』をお手伝いしました。「年に数回の事業所訪問でトップメッセージを伝え、幹部社員とミーティングを持ち、社長メルマガも配信しているが、どうも肝心なことが伝わっていない」と感じられていた社長の意向から、第三者としてゼロインがお手伝いすることになりました。

社長の事業所訪問に伴ってアンケートをおこない、最もメッセージを浸透させたい“ターゲット”としている層の方々にデプスインタビューも実施しました。そうして「なぜ伝わっていないのか?」という問題の核心に、じわじわと近づいていきました。

結果、トップメッセージのコアとなっている『プロデューサー思考』が少々抽象的で、具体的にイメージできなかったことが原因のひとつだとわかりました。そこで社内報のリニューアルを提案させていただき、『プロデューサー思考』をテーマに、デザインから一新することになりました。

しばらくして、人事部も担当されている広報担当役員の方から「実は…」と相談をうけました。新卒採用が苦戦していて、『プロデューサー思考』の人材が採用できていない、とのことでした。

そこで「社内でプロデューサー思考で活躍している方の人材要件と、求める人物像の人材要件は合致しているか」「面接官の方々が、一次選考・二次選考を合格にしている学生さんの人材要件と、プロデューサー思考人材の人材要件は合致しているか」を確認すると、答えはNOでした。

たとえばプロデューサー思考の要素のひとつとなる「冒険心があるイノベーター人材」は、見事に不合格か、あるいは合格していても最終的に内定を辞退していたのです。

現場の感覚では、それまでの「誠実で着実」「やり切る」「逃げない人材」をやはり高評価にしがちで、トップが「少々暴れん坊を!」と言っても現場が「いやいや、それでは組織が…」と押し返している状態でした。

ビジョン・ミッションを明確にして、隅々まで浸透させて会社を変革していくためには、既存社員にメッセージすることに加えて、採用から教育、評価といった人事部が関与する日常のマネジメント部分まで、一貫性を持たせて徹底的に変えることが肝要だと痛感したエピソードです。まさに「神は細部に宿る」のです。

社内広報部が担うことも多いインナーブランディングの効果をあらためて考えてみると、

□顧客のロイヤルティが高まる
□価格以外で選んでいただける競争優位性をつくる
□採用力が向上する
□社員のモチベーションがあがり離職率が低下する
□出資や投資を受けやすくなる

などが挙げられます。これら「採用力の向上」「社員のモチベーション向上」「離職率低下」は、広報部だけではない、人事部の課題そのものであることに気づきます。

BtoB企業は、営業や顧客接点を担う“社員の行動そのもの”がブランドとなりますし、BtoC企業であれば、商品に加えて、接客、カスタマーサービスがブランドに大きく影響してきます。ある家具メーカーでは、お客様のご自宅に家具を届けて組み立てるドライバーが最終品質の重要な要素だと捉えて、ドライバーの接客コンテストをおこうほどです。

日々お客様に向き合う社員の行動の基準をつくり、インストールし、評価し、磨いていく。こうした取り組みは、人事部と現場の管理職が二人三脚で取り組むことで、より大きな効果を生みだすのは間違いありません。インナーブランディングの仲間に、もっと人事部を引き入れよう!というわけです。

当社でも、これまでインナーブランディングを担ってきた社内広報グループの機能を、2018年から人事部に移管します。人事部が主体となってインナーブランディングを設計して実施していった場合、どれ程の効果を発揮するのか。あるいは、どこに限界が生まれるのか。楽しみでもあります。

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