「スピリット」を文化にする、大和ライフネクストのブランディングとは

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「スピリット」を文化にする、大和ライフネクストのブランディングとは


「スピリット」を文化にする、大和ライフネクストのブランディングとは

大和ライフネクスト株式会社様は、2017年から2018年にかけてワークショップを実施し、新ビジョン『LEAD NEXTYLE あしたのあたり前を、あなたに。』と7つの大事にする行動指針を策定。これらを大和ライフネクストの『スピリット』として浸透活動を推進しています。

1976年から建物のメンテナンス事業を展開し、マンションやビル・商業施設等の建物管理を通じて人々の暮らしに安全、安心を提供し続けてきた同社。広く世の中に価値を提供するため、事業を拡大してきました。従業員数が8,000名を超えた今、改めてビジョンを策定した背景には、どんな狙いや想いがあったのか。策定プロジェクトの指揮をとった金澤泰伸さん、事務局の田島直子さん、福田篤さんにお話を伺いました。

 

編集部(以下、編):新ビジョンの策定は、どのような経緯で始まったのですか。

金澤さん:「みんなで会社のありたい姿を描きたい」。社長の石﨑が言ったその一言がすべての始まりでした。

2015年の4月に大和ライフネクスト株式会社と株式会社ダイワサービスが経営統合したのですが、その時は旧大和ライフネクストが掲げていたビジョンをそのまま継承しました。その後2社の融合も進み、2016年10月に現任の石﨑が社長に就任しました。そして、この先を考えたとき「従来の経営ビジョンのままでいいのか、本当に我々がこれから目指す先を表せているのか」という投げかけがあったんです。

自分たちが大事にしたいDNAや顧客に向き合うときにどうあればいいのか、そもそもどんな会社にしていきたいのか、明確にすべきことはたくさんありました。さらにそれは経営が現場に押し付けるものではなく、働いている一人ひとりから湧き出てくるものであってほしいという石﨑の考えから、従業員全体を巻き込んだ全社プロジェクトが立ち上がったのです。

当時そのプロジェクトを任されたのが、私と当時の課長で、正直、具体的に何を策定するかも決まっておらず、ただ漠然と「これは企業ブランディングの一環だ」と考えていました。自社内だけで策定するのは難しいと早々に判断し、ゼロインさんにお声がけしたのがプロジェクトのスタートでしたね。2017年5月に策定プランをご提案いただき、6月末には「どういう会社でありたいか」「どういう会社に見られたいか」「どういう会社にしたいか」をみんなで考える『スピリット・プロジェクト』の実施を広報しました。

金澤泰伸さん

金澤泰伸さん

田島さん:具体的には、今後進んでいく方向性、いわばビジョンを描く『SCOPE of NEXTプロジェクト』と、大事にする価値観を決める『VALUE COMPASSプロジェクト』の2つのサブプロジェクトが動き始めました。

『SCOPE of NEXTプロジェクト』では、全役員が集まり3回のワークショップを実施しました。ワークショップの中で出てくる言葉はどうしても抽象的になりがちです。そのためグラフィックファシリテーターの方にも入っていただき、ありたい姿をシーン化することでより具体的にイメージできるものにしていくことができました。

一方、全国から有志を募って結成した『VALUE COMPASSプロジェクト』では、プロジェクトメンバーもこういったことを考える経験はなかったため、「なぜこのようなことをするのか」「企業の価値観とはなにか」といった知識面の足並みをそろえることから始めました。

田島直子さん

田島直子さん

編:「みんなで考える」「ありたい姿をみつける」石﨑社長の意志に沿って壮大なプロジェクトが進みだしたのですね。苦労も多そうですが、どんなことが大変でしたか。

田島さん:業務改善や新規事業の提案機会などはあるのですが、こういった経営に直結するようなプロジェクトは全く経験がありませんでした。なので最初はどうなるんだろうと、本当に想像がつかず不安だらけでした(笑)。でも走りながらやるしかない、とも思っていたので、とにかく前に進めることだけを考えていました。

金澤さん:言葉を詰めていくフェーズが苦しかったですね。主体的に取り組むひとが多く、一人ひとりの細かいこだわりや想いが溢れる分、どの言葉を活かすか、逆にどの言葉や意味を削るか、言うは易しですが、“みんなで1つの言葉をつくる”のは改めて本当に難しいなと思いました。

最終的には言葉をぎゅっと凝縮し、そこに込めた意味や想いもあわせて、スピリットブックとして一冊にまとめました。今にしてみれば、決まった言葉に対して異論を唱えるひとは誰もいませんね。とことん議論を重ねた、このプロセスが良かったのだと思います。

 

 

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スピリットブックには、『Value Compass』とそこに込めた意味や想い、策定プロセスも記載されている

新ビジョンと『Value Compass』、そこに込めた意味や想い、策定プロセスなども記載したスピリットブック

編:有志の方の熱い想い。そのぶつかり合い。事務局の皆さんや経営者の方からすると、嬉しい悲鳴ですね。有志の方はどのように集まったのですか。

金澤さん:全社にプロジェクトの趣意と有志メンバーを募る旨を広報しました。全社朝会でも石﨑自らがみんなに呼びかけ本気度を伝えました。

またどう熱量の高いメンバーを募り巻き込むのかは試行錯誤しました。中でもエントリーシートをレポート形式にしたことは大きかったと思います。「自分はなぜこのプロジェクトに参加したいのか」「参加して何を成し遂げたいのか」という想いを書いてもらいました。60名近くの応募があり、最終的にはレポート内容とともに、部署や役職、年次、地域などのバランスを複合的に考慮した30名が選ばれました。

編:想いを書くエントリーシート、とても珍しいシカケですね。具体的にはどのような内容が書かれていたのですか。

田島さん:「若手の代表として会社の未来に対して意見を言いたい」「元々コンサルティング会社にいたので、策定後の浸透フェーズで力を発揮したい」「自分が普段表に出ないタイプだから、あえて挑戦してみたい」「採用担当なので、自分が1番会社のことを語れるひとでありたい」といった内容がありましたね。みんな、とても前向きでした。

編:完成した新しいスピリットはどのように広報されたのですか。

金澤さん:『スピリット・プロジェクト』が走り出して約10か月後、2018年4月1日にオフィススタッフ(事務所勤務の従業員)全員を対象としたお披露目イベントで発表しました。石﨑の強い意志もあって、全員をリアルの場に集めることにしたんです。

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『DLN Spirit Day』と名付けられたお披露目会

都内ホテルにて開催されたお披露目会『DLN Spirit Day』

実際、集まってよかったなと思いました。このイベントの前後に交流会を設けてコミュニケーションを取っているひとたちもいて、事務局側が想定していたよりもみんなワクワクしてくれていました。同じ空間で想いを共有するだけで一体感は生まれます。さらに双方向の仕掛けをしたり、共通のモノを手にしたり、同じものを目指す仲間だという認識は強くなったと思います。

役員から一人ひとりに手渡されたオリジナルネックストラップ

役員から一人ひとりに手渡されたオリジナルネックストラップ

久しぶりに会った同僚と絆を分かち合う様子

久しぶりに会った同僚と絆を分かち合う様子

編:このプロジェクトは、どのように全体像を描かれていたのでしょうか。

金澤さん:ゼロインさんが描くロードマップを参考に、弊社の企業文化や状況にあわせて意見を出し合いながら細かく調整し、実行してきました。正直、走り始めてみないと何が起こるかは分かりません。都度プロセスの中で相談をしながら、ゼロインさんと一緒にオリジナルのロードマップを創り上げていけたことが大きかったと思います。

田島さん:ロードマップは策定、浸透と大きく2つのフェーズに分かれています。浸透フェーズでは、全従業員にスピリットブックを配布して、部署ごとに行動指針である『Value Compass』を自分なりに落とし込んで行動宣言をし、スピリットの体現アワードも開催しました。事業特性上、多様な人材が時期を問わず常に入社してくるため、浸透度が薄まっていかないように、段階を踏みながら連続性をもって施策を実施することが大事だと感じています。浸透フェーズには終わりがないですからね。

編:スピリットの策定からお披露目イベント、体現アワードと目まぐるしく駆け抜けてこられた中、社内の変化はありましたか。

福田さん:私は2018年1月、まさにスピリットが決まるか決まらないかという時期に入社しました。なので私は浸透フェーズを主に担当してきたのですが、この1年半の間でもビジョンや行動指針を起点に様々な新しい取り組みが展開されています。また今年から新しい中期経営計画がはじまっているのですが、そのやり方もガラッと変えました。全社的かつダイナミックな動きの中にいることを実感していて、やりがいを感じています。

福田篤さん

福田篤さん

7つの『Value Compass』のうち3つは、新しいことに挑戦しようというような実行の難易度が高いメッセージです。にもかかわらず、新しいプロジェクトがどんどん自発的に立ち上がり、新規事業のプロジェクトには70名以上の参加がありました。新しいことを、自分の組織を越えてやっていこうというマインドが拡がっていることを実感しています。

金澤さん:私も思いますね。全社の朝会で話す社長スピーチにも必ず『スピリット』の要素は入っていますし、何か新しい挑戦をするときも、「みんなで策定したビジョンや行動指針に沿って立案されている」と自然に思えるようになっています。「やっていいんだ!」と、いい意味で以前より敷居が低くなり、新しいことに対しての気軽さが増したと思います。

編:終わりのない浸透活動に、事務局のみなさんは疲れてしまう時もあると思います。原動力はなんでしょうか。

福田さん:浸透すればするほど、新しいことをやっていこうとする仲間が増えていくので、そういう人たちと活動すること自体がワクワクしますし、高いモチベーションになります。まずは感度の高いひとから巻き込み、加速度的に広がっていき、会社全体でニュートレンドを巻き起こそうとなったら面白いなと思っています。

金澤さん:正直私は、こうしたらワクワクするかな、という福田のような前向きな発想というより、プロジェクトの責任者として、限られた期限内にきちんとしたものに仕上げるという責任感しかなかったですね(笑)。前例がなく、しかも全社のプロジェクトですから、いつも「進捗は大丈夫か」「この先どうしていこうか」ばかり考えていた気がします。ただ全国から約2,000名のオフィススタッフを一同に集めるという大変さや費用といった点も含めて、トップの腹決めが確固たるものだったので、私たちも「やるしかない」と腹を括って進められた気がします。

田島さん:経営統合をしたとき、システムは一つになっていく一方で、キャラクターとしてはなかなか一つになっていかなくて、平行線をたどっている気がしていました。固定概念をもっているひとがたくさんいたんですね。でもビジョンや行動指針を明確にしたことでそういう意見や発言が少なくなったように感じます。徐々にお互いの文化の壁を乗り越えられたかなっていう実感はあります。

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編:これからの浸透フェーズ、どのような挑戦をされるのでしょうか。

福田さん:この1年はオフィススタッフへの浸透に力を入れてきました。フロントスタッフ(管理建物勤務の従業員)への浸透も課題ですが、まずは浸透し始めた層をターゲットに、さらにどう深く浸透させ、自走できる組織にするか。まさにここ3年でスピリットを“文化”にしていきたいと思っています。さらにスピリットと経営戦略を独立したものではなく、循環しながら推進し、事業に強い力をつけていきたいと考えています。

筆者:三浦蒔子

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