リクルートの次の事業を創る新規事業提案制度『NewRING byRMP』

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リクルートの次の事業を創る新規事業提案制度『NewRING byRMP』


リクルートの次の事業を創る新規事業提案制度『NewRING byRMP』

株式会社リクルートにはかつて、RINGと呼ばれる新規事業提案制度が存在しました。1981年に始まったこの施策は、途中NewRINGへと名前を変えながら、30年超にわたりリクルートの新規事業を創出してきました。

グランプリを獲得すると起案者は事業責任者として抜擢され、いきなり数十億円の予算が投下されることも珍しくありません。それだけに審査は非常に厳しいものになりますが、過去、ゼクシィ、ホットペッパー、受験サプリなど、リクルートを支える屋台骨の事業を生み出してきた実績があります。

2012年の株式会社リクルート主要事業分社化に伴い、NewRINGは各事業会社へと受け継がれ、独自の道を歩むことになりました。果たして、NewRINGは今後どのように変化し、どのような事業を生み出していくのでしょうか。

そこで今回は、かつてグランプリを獲得した自身の経験をもとにNewRINGの進化に取り組む、株式会社リクルートマーケティングパートナーズ(以下、RMP)代表取締役社長の山口文洋さんにお話を伺いました。

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山口さんは2011年、受験サプリでNewRINGグランプリを獲得。責任者として受験サプリ拡大に注力し、事業拡大と共に主要子会社最年少社長への階段を駆け上りました。しかしその裏で、グランプリを獲得するまで、実は5年連続でNewRING落選を繰り返してきた過去があります。

ただ、その5年間の落選の中で学び、考えたことが今につながっていると言います。山口さんの経験に裏付けられたNewRINGにかける強い想いが、そこにはありました。

※NewRING byRMP特設サイトはこちら(別ウィンドウで開きます)

山口さんが歩んだNewRING人生

編集部(以下、編):受験サプリでグランプリを獲得するまで、5年連続で応募されていたとのことですが、NewRINGの印象はどのようなものだったのでしょうか。
リクルートには友人の紹介で中途入社したのですが、入社後3ヶ月くらいが経過した春先に「NewRING、今年もやります」という案内がきまして。そのときは「こういうコンテストがあるんだ」という程度の印象でした。

入社直後は、そうしたリクルートの文化や仕組みはあまり分かっていませんでした。ただそこで、当時の先輩に「今年参加するからお前もうちのチームに入ってやってみる?」と声をかけられまして、参加することになりました。

1年目で参加したときは、自分が何かやりたいというよりは、お祭りのようなイベントの仲間に入れてもらった形で。そのチームがたまたま自分の在籍していた部署とは関係ないメンバーを集めていたこともあり、異文化交流みたいな感じでしたね。

日々の仕事を離れて、先輩とじっくり夢について語り合うとか、新しいことについて語り合うとか、異なる事業部の同世代と出会うとか。そうした時間や空間を過ごすことが、とても新鮮だったことを覚えています。

 

編:そこからNewRINGの経験を重ねていくんですね。
2回目は入社から1年半くらい経っていたので、今度は自分中心にやりたいなと思いまして。当時在籍していた進学事業のことも何となくわかってきたので、進学事業に関連する新規事業をやりたいなと。

僕は企画職でしたが、営業職やMP(メディアプロデュース)職など、5年後、10年後に進学事業を支えていそうな、エッジの立った若者5~6人が集まってチームを作りました。

「未来にこんな事業があったらいいよね」と土日も含めて集まって、結構面白い案を考えましたね。ただ、書類審査は通ったのですが、担当役員にプレゼンしに行ったところ「いいね!」と言われながら落とされました(笑)。

ビジネスというよりはCSRに近いようなサービスだったため通らなかったのかなと思っていますが、これはいつか実現してみたいサービスとして、今でも僕の中に残っています。

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次の年はリクルートグループ各事業の若手スター候補を集めてドリームチームみたいになりまして、自分とは全く異なる立場、経験の人間が寄せ集まったときに、どのようなサービスが作れるかということに挑戦しました。

企画したのはシェアリングエコノミーです。今だとAirbnbやカーシェアリング、CtoCで色々なモノの貸し借りが当たり前になってきましたけど、当時はそれの超黎明期でしたね。

そのときは書類審査、一次審査を通過して最終審査前のベスト8くらいに残ったんです。ただ当時はシェアリングされる具体的なサービスもほぼ前例がない中だったため、最終審査に向けてサービスを煮詰めれば煮詰める程、「ビジネスモデルとして本当にリアリティあるのか?」「どうやって説明すれば、今世の中にないものをやらせてくれるチャンスがあるのか?」よく分からなくなり、行き詰まってしまって(笑)。

2月くらいに最終プレゼンの予定だったのですが、1月くらいに断念しました。「ワケわからなくなりました、ギブアップです」って。

 

編:マーケティングしようがないですよね。調べようがないというか。
そのときはどうしようもありませんでした。ただ面白いことに、当時はSUUMO、じゃらん、ホットペッパーといった異なる事業の7人でチームを組んでいたのですが、今7人中5人が同じRMPで働いているんです。

半年間くらいギュッと詰めて、何かに向けて考え抜いた仲間だったので、ソウルメイトのようになったんですよね。かつて点と点で結んだ仲間が、当時は上手くいきませんでしたが、時を経て集まって、新しいことを一緒にやっているっていうのは、いいですよね。

 

編:そこからさらにグランプリ獲得まで挑戦が続いていくと。
5回目あたりでは自分も30歳を超えてきまして、今までは先輩や同世代と応募していたのに対して、自分がリーダーとして応募するようになりました。企画能力も身についてきたので、「グランプリが取りたい」というよりは「本当に事業化したい」という意気込みに変わっていきました。

そのときに考案したのが、スマートデバイスを活用した漫画コンテンツのプラットフォームビジネスです。かなり自信があったので意気揚々と起案したのですが、書類審査で落ちたんですよ。

これは結構カチンときました。ただ同時に、書類審査で通らなかったということに対して、「何で通らなかったんだろう」ということを、結構考えました。

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そこで改めて感じたことは、新規事業は“誰が”、“何をするか”ということだなと。自分で起業して投資家にお金を出資いただくときも、どんなに面白いことを企画していても、それをやっている人間がどういう人間なのかで、良いアイデアも通るか通らないか決まると思います。

当時、僕はまだリクルートグループの中で無名な存在でしたので、「アイデアは面白いかもしれないけど、この山口という人間に果たしてこんなプラットフォームが作れるのか」ということに対しては、審査員視点からするとまったく不透明だったのかなと。

それが僕の中での反省で。やはり顔が見えているとか、チーム構成も含めて「このメンバーだったら実現できる実力がありそう」「過去、そういう経験を積んできている」と感じさせるものがないといけないのだと痛感しました。

 

編:事業化したいと本気で思ったからこその気づきかもしれませんね。
5回の参加の中で大きくマインドセットが変わっていったんですよね。最初は何となくリクルートという文化、一つのお祭りを楽しむ、くらいだったものが、2回、3回とやっていく中で自分が中心で考えたい、異文化の交流が面白い、と刺激になっていって。さらに5回目くらいになると、参加じゃなくて結果がほしい、という風に。

 

編:そうした経験は、NewRING byRMPにどのように接続されているのでしょうか。
僕が今RMPで作りたいNewRINGも、「最初はお祭りなんだよ」「参加してナンボの世界だよ」という世界観です。何事も一歩踏み出すことからしか始まらないと思うんですよね。

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9月に行われた2次審査ピッチコンテストの模様。熱気と緊張感で会場は満ち満ちていました。

 

自分のNewRING人生を振り返ってみても、最後は本気でしたが最初は参加賞目的でしたし、先輩に誘われたお祭りに過ぎなかったので。そうした気軽さを出して、従業員が1,300人いたら100件くらいのエントリーがあり、3~400人が参加するようなものを作って、”会社の文化”として残るものにしていきたいと思っています。

ですのでTシャツやパーカーがもらえるような参加賞を準備したり、エントリーシートもA4一枚で応募できるようにしたり。今回はそうした取り組みが功を奏して、98件の申し込み、400名弱の参加になりました。

本気の人もいれば気軽な人もいて、結果4人に1人くらいが参加しているような、全社的な盛り上がりを生み出せているのかなと思います。

 

NewRINGは圧倒的な”好奇心”を刺激する場

編:今回、山口さんが4月に社長に就任されてから初めてのNewRINGになりますが、新たな挑戦として社外起業家の方々に、審査員として参加いただいたそうですね。
審査員にはこだわりを持っています。新規事業の性質上、「今の」とか「これからのマーケット感」といった世の中の流れを誰よりもインプットしながら、自分なりの嗅覚を持っているような方を審査員に選んだ方がいいのではないかと思うんですよね。

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山口さんも審査員として参加。

 

シリアルアントレプレナーと言いますか、何回か自分なりに会社や新規事業を起こして、今でも世の中にエッジが立っている方々です。

そうした方々なら、メンバーが出してくれた100件近くの提案の中から、リクルートとは違う観点でダイヤの原石を見つけていただけることもあると思いますし、「こういう風に考え直せば」というアドバイスもいただけると思っていまして。あとは、「こういう審査員に評価されてみたい」というものも、NewRINGにエントリーする動機になるかなとも思います。

※ピッチコンテストの模様はこちら(別ウィンドウで開きます)

 

編:社員のみなさんに、NewRINGをどのように活用してほしいと期待していますか。
先日、人間の持つ4つのポテンシャルについて話を聞いたんです。1つ目が、どんな仕事を与えられても何か面白く、こうなったらいいよねって思える“好奇心”。2つ目が、それを論理的にビジネスとして設計できる“思考力”。3つ目が、それをビジョンに解釈し直して、周囲をどんどん巻き込んでいける“共鳴力”。4つ目が、それを愚直に実行まで持っていける“胆力”なんだと。

この4つのポテンシャルは幼少期に大きく形成され始め、遅くとも大学生くらいまでにはほぼ完成されており、社会人になった後は、これを再現しているだけなんだそうです。

NewRINGは、1つは圧倒的な“好奇心”を持つ人が自由に自己表現できる場なのかなと思っています。ただ、そうした人のためだけの、遠い世界の話でもなくて。受験サプリがそうだったのですが、一番の始めの動機は「何か面白いことないかな」っていう単純な好奇心から思いついたもので、あとはその思いつきをパッとアイデアに変換して行動できるかどうかなんですよね。

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その上で、”ロマン”と”ソロバン”と”リアリティ”みたいなものを重ねて考えていけばいいと思います。大前提は日々色々なことに好奇心や疑問を持って発想する。そうした訓練というか癖づけをすることなのではと思っています。

どんな人にも人生に3回モテキがあるとか、運命の人に出会うと言われていますよね。僕は同じように、どんな人にも人生の中に何回か”ビジネスアイデアとの出会い”があると思っています。だから、いいなって思って、気になったら、そこで勇気を振り絞ってアクションしてみることが大事なんです。

是非NewRINGという機会を最大限利用して、アクションし続けてほしいですね。リクルートグループの新しい柱となるビジネスの種が生まれることを期待しています。

CAPPY'S EYE

インタビューを通じて、山口さん自身がNewRINGで大きな学びを得たからこそ、「従業員にも自分の経験を超える機会を準備したい」という想いの強さをひしひしと感じました。この『NewRING byRMP』、通過者の方々はこれから最終審査に向けて眠れない夜が続きそうですね。CAPPYではさらに”新規事業提案制度の盛り上げ方”を取材し、みなさまにお伝えしたいと思います!

筆者:中島浩太

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