2024/04/19

リジョブを次のステージに導く「All as one」の精神!らしさを深めた5年の取り組み

美容・ヘルスケア・介護といった“おもてなし業界”に特化した求人サイト運営を行う株式会社リジョブ。2018年にCAPPYで取材させていただいた際は、株式会社じげんとのM&A・PMI(Post Merger Integration)にどう取り組んできたのかをインタビューしました。

それから約5年。「ホワイト企業大賞(特別賞)」や「働きがいのある会社ランキングベストカンパニー(GPTW主催)」「モチベーションチームアワード(リンクアンドモチベーション主催)」と、さまざまな賞を受賞し、事業とともに組織創りでも成果を上げています。

その裏には、当事者意識の範囲を広げ、境界線をつくらず自分事として捉えられる「All as one」を大事にした文化創りが積みあがってきたとのこと。リジョブが掲げてきた世界観とはどんなものか。どのようにして、組織面だけでなく事業面にも文化が浸透し、自然と深まっていったのか。リジョブを牽引するリーダーとこれからを創っていく若手メンバー、計4名の声を聞いてきました。

リジョブが組織として歩んできた5年。キーワードは「深める」

編集部(以下、編):まずは「All as one」のそもそもの概念に加えて、この5年で組織面のエポックとして取り組んだ、ソーシャルビジョンの刷新とビジョンマップについてCHOの窪田さんにお話を聞いていきます。

窪田 みどりさん窪田 みどりさん

窪田 みどり
Chief Human Officer

2013年中途入社。福岡県出身。座右の銘は「純粋に、真っ直ぐに、濁らず生きる」。大学卒業後、組織コンサルやコーポレートブランディングに携わったのち、2013年に中途入社。2014年のM&Aを機に、経営層とともに新旧メンバーを一枚岩にすべく「新生リジョブのビジョン・カルチャー」を策定。「自分の力を誰かの為に活かしたい」と思う人材が集うリジョブの組織創りに、日々CHOとして深く関わっている。

編:窪田さんには5年前にもインタビューにお答えいただきましたが、2018年から2024年での組織の変化をどう見られていますか。

窪田さん:事業規模の拡大に伴った「広がり」は確かにありましたが、それよりも「深まったな」という感覚があります。2014年から2018年までの4年間は、親会社のじげんとの合併により、メンバーとともに必死で一枚岩となる組織文化の醸成と事業推進に向けて走っていました。

代表の鈴木は、当時リジョブのメンバーと面談をした時に「自分はこうしたい」ではなく「リジョブをこうしたい」と、会社を軸に熱く語る社員の姿を見て衝撃を受け、この文化を継承していきたいと強く思ったそうです。

「私が」「俺が」といった自我意識の先の、「リジョブが」「チームが」といった全体性に対して当たり前に考えられるメンバーがいる。このリジョブらしい文化をさらに育てていこうと取り組んできたのが、2018年からの5年間だと考えています。

まさに今日一緒にインタビューを受けてくれている赤羽や大貫は、一緒に広げて深めてきた仲間です。そして、広げてきたタイミングで共感して入社してくれた上妻(こうづま)の世代が一緒に深めながら文化を創る仲間になっている。それが今かなと思っています。

編:「All as one」のキーワードが、どんな考えや思いを込めたものなのか、教えていただけますか。

窪田さん:リジョブの文化に名前をつけるならば、と考える中で行きついた言葉が、「All as one」でした。

先ほどの「私が」という主語ではなく「リジョブが」という主語を追求していくと、人(相手)と自分との境目がなく全部に当事者意識を持ち、一つであると思えるということです。

たとえば、求人メディアで考えると、少子高齢化による人口減少や美容業界のハードワークによる働き手の減少。これら業界の課題にも目を向けて流れを作る、その課題に対して「私たちにできることってなんだろう?」を考える。クライアントにとっても、業界にとっても、ユーザーにとっても、社会にとっても、もちろんリジョブにとっても良いこととは何か?を追求していくことは、関わる全てのステークホルダーに当事者意識を持てるかどうかだと思います。

組織内においても当事者意識を持って自分ごとで捉えることが重要で、「私が良ければあなたのことは知らない」ではなくて、全てを「私と同じように大切に思えること」で、相手との向き合い方も変わってきます。

こんな考えを持つメンバーが多いことがリジョブらしさだなとあらためて感じます。このらしさこそが、”深めてきた”5年間で気づけた「All as one」だと捉えています。

編:「All as one」は皆さんの中で当たり前だと思っていた価値観が言葉となったものだと思うのですが、いつごろ言語化されたものですか。

窪田さん:実は言語化したのは3ヶ月前くらいで、私が久しぶりに自ら採用の記事を書いていた時に思い浮かびました(笑)。これまでは「全体最適」「全体思考」「当事者意識」「だれかのため」などの言葉を使っていて、ニュアンスとしては「全体思考×当事者意識」といったイメージでしたね。

社会や業界課題の解決に挑む組織なので、社内だけでなく、業界や業界外、リジョブの求職者さん、サービスを活用するユーザーさん、クライアントさんなど、大切なもの全てに境界がなく一つなのだなと、みんなが当たり前に思っていることが言語化できた瞬間でした。SPA構想(SPA構想の詳細はこちら)はまさにそのわかりやすい考え方の一つだと思います。

このあとご説明するソーシャルビジョンの刷新やビジョンマップとも繋がっていて、我ながら「All as one」って言い当てることができたな!と思っています。鈴木にも褒められました(笑)。

コロナ禍がきっかけで刷新したソーシャルビジョン。「人と人の結び目」に込めた思いとは?

編:お話に出たソーシャルビジョンの刷新について、発表されたのは2020年ですね。19年末に創業10周年を迎えられて、この後に「人と人との結び目を世界中で増やし、心の豊かさあふれる社会を創る」というソーシャルビジョンへと刷新されました。どんな背景があって取り組まれたのでしょうか。

窪田さん:以前は「日本が誇る技術とサービスを世界へ」をビジョンに掲げていました。

2019年のインバウンド全盛期までは、美容業界を中心にその技術とサービスを広げていくことを意識し新規事業などにも取り組んできました。ただ、2020年からはコロナの影響もあり、事業全体の方向性の変動や、「人と人」という考えによりフォーカスする方が、現状や私たちの事業への想いにフィットすると感じましたし、社員もそこに向き合っていることを再認識しました。

また、ビジョンの見直しと並行してコーポレートロゴのリニューアルに着手していました。

以前のロゴには、当時のソーシャルビジョンにあった「日本が誇る技術やサービスを世界に伝達させていく」という意味を込めており、世界一飛距離の長い鳥「キョクアジサシ」をモチーフにしていました。そこから5年以上が経過し、介護事業やソーシャルコミュニティ創りの取り組みも手がけるようになり、「世界と双方向でつながる意識をビジョンとロゴで示したい」と考えるように。

また、これらを変えていこうという議論のプロセスの中で、「結び目」と言うキーワードが出てきて盛り上がりました。私たちがやりたいことは、世界と日本、都市と地方、お年寄りと若者、働く人とお客様、まだ見ぬ無数の結び目も含めて、さまざまな「人と人との結び目を増やすことだ」と行き着きました。これらの議論も加味しながら、「より多くの人の想いが反映され、しっくりくる内容」を目指して、ロゴと共にソーシャルビジョンの刷新を進めていきました。

新しいロゴでは、シンボルマークを豊かさの象徴としての太陽をモチーフとし、リジョブが目指す「心の豊かさあふれる社会」を表現しています。形はあえて未完成な「円(縁)」として、リジョブの事業が円すなわちご縁を創り出す過程であることや、現状に満足せずに成長するという想いを表現しました。

リニューアル前(左)とリニューアル後(右)リニューアル前(左)とリニューアル後(右)

窪田さん:ビジョン刷新のプロセスの中で「結び目」と言うキーワードが出てくるなど、私たちがやりたいことは、世界と日本、都市と地方、お年寄りと若者、働く人とお客様、まだ見ぬ無数の結び目も含めて、さまざまな「人と人との結び目を増やすことだ」と行き着きました。

また、ソーシャルビジョン刷新のきっかけは、旧ビジョンを定めた2014年から、事業規模と組織規模の両面において規模が大きく拡大したことです。事業が多様化する中で、各事業に共通する想いを大切にしたい、現場で働くメンバーが実感しやすい内容にしたい、と考えていました。

新ソーシャルビジョンには「日本⇔世界という双方向のベクトルで人と人との結び目を増やしたい」「人と人とが簡単につながれる時代だからこそ、リジョブを介してつながりを温もりある結び目に昇華したい」という想いを込めています。日本から世界へと範囲を広げたことで、ビジョンの英語バージョンを用意したのも自然な流れでした。

「人と人の結び目」が鍵となるソーシャルビジョン「人と人の結び目」が鍵となるソーシャルビジョン

編:世の中の動きがガラッと変わり、ビジネスの潮目も変わってきた。その中でよりリジョブさんが取り組んでいるコアなところに絞ったキーワードになっているように思います。

窪田さん:まさに、リジョブのコアを体現した言葉になったと思っています。

リジョブが有する事業の関係性を語る上で欠かせないビジョンマップ。描くプロセスとは?

編:ビジョンマップもこの後に制作されていますよね。なぜ作られたのか。また何を表現したかったのか。お聞かせ願えますでしょうか。

窪田さん:経営合宿をした時に、その土地のある会社さんに出会ったことが制作のきっかけです。その企業さんの「複数の事業の関係性」がマップで分かりやすく可視化されているのを見て、私たちも自分たちの概念を形にしていきたいと思いました。

というのは、当時、私たちもすでにCSVを目的に「咲くらプロジェクト」を筆頭にあらゆる社外パートナーとの複数のプロジェクトを手掛けていました。しかし、社外に「既存事業との関係性」が伝わりづらく、世界観をうまく伝えられていないと課題に感じていました。

「意図を上手く可視化していかないと」と悩んでいたところだったので、とても勉強になりました。関連している取り組みの可視化は、「ただの求人サービスの会社」と認識されないためにも大切で、採用面においても重要な役割だと感じました。

事業と社外との関係性を描くビジョンマップ事業と社外との関係性を描くビジョンマップ

左の大きな桜の木は、私たちが関わる美容業界従事者の方々を、育成支援→雇用支援→活躍支援と、一気通貫で支援をする「美容業界のSPA構想」を示しています。たとえば「リジョブ奨学金」のような育成支援の取り組みは、短期的にみると利益には結びつかないかもしれません。ですが、中長期的視点でみると、未来の業界従事者をサポートすることが業界全体の活性化につながっていくと考えられます。

CSV推進プロジェクトも同様に、ソーシャルビジネスとソーシャルコミュニティをひとつとして捉えると、心の豊かさの循環に結びつきます。私たちはこのマップを通して、このような取り組み自体の価値も共有したいと思いました。

編:確かに、そういう意味では新卒採用で出会う学生さんがこちらのマップを見ると、リジョブさんが目指す世界観と事業の関連性が整理されてよく理解できそうですよね。

窪田さん:その日から、経営陣を巻き込んで約1ヶ月半でこのマップをカタチにしていきました。

リジョブがやっていることを社内では理解しているけど、社会に伝えきれていない。言葉で表現するだけでは難しい。これはみんなが認識していたので、どう表現していくか、この時にようやく議論できた感じです。これも「深める」と言うことに取り組んできた一つのアウトプットかもしれません。

完成したのがちょうど2年前の2022年。まさにこの部屋で、経営陣や若手の幹部候補などがみんなで喧々諤々、議論していたことを思い出します。

編:次回は、「All as one」の文化がどのように組織で体現されているかの観点で、現場のみなさんにもお話を聞いていきたいと思います。

ビジョンや組織の在り方などを深めていく中で、自然と行き着いたのが「All as one」でした。また、積み上げてくるまでには、時間もかかりました。

そのような過程を経て、5年、10年とともにリジョブをつくっていく中でそれぞれの想いの境界線が無くなってきて、今は事業やチーム創りにも「All as one」が浸透してきています。後半はそんな、自分とも相手とも向き合いながら、それぞれの範囲を広げることで幸せの循環を大きくしているメンバーたちの話を聞いていただきたいです。事業やチーム創りに「All as one」が溶け込むとこんなに豊かなことが起こるんだ、という希望を感じていただけたらありがたいですね。

この記事の著者

増田 祐己

元CAPPY編集長(三代目)
業界・企業規模を問わず、インターナルブランディングやインターナルコミュニケーションのプロジェクトを多数プロデュース。経営と現場、2つの視点を持つことを大事にしており、双方のつながりを生みだす共感の接点づくりが得意。
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