2014/10/23

世界初の「感動課」を創ったサイボウズの「kando5+1」メカニズム

グループウェア製品の開発、販売、運用事業を展開するサイボイズ株式会社では、2011年に世界初の「感動課」という組織を作りました。社内に「感動」を生み出すために、日々積極的に色々な取り組みを行っています。事業支援本部人事部感動課の福西隆宏さんにお話を伺いました。

仕事のやりがいを生み出す感動課

編:「感動課」とは一体どんな部署なのでしょうか?

感動課は3年半くらい前にできた部署ですが、最初はNHKの「プロジェクトX」を社内に!というところからスタートしました。「社内にある感動の種を見つけ、感動の華を咲かせる」というミッションを掲げ、社内でより多くの感動を生み出すために、日々色々な仕掛けやイベントを企画しています。

編:社内に感動を生み出そうと思った理由は何でしょうか?

弊社経営陣としては、社会人の「働く」意味はお金を儲けることだけではないという考え方がありますね。「働いて嬉しいと思える」、「皆で働いて楽しいと思える」、そのやりがいや感動こそ大切なわけです。「給料が上がればやる気も上がるだろう」と思われがちですが、お金ですべてを解決できるものではないと、もっとほかに大切なことあるだろうと考えています。

編:なるほど。「感動」を生み出すための御社ならではの手法や拘りなどは何かありますか?

cybozu2実は、「kando5+1」という人が感動するメカニズムがありまして、簡単にいうと下記の通りです。

①努力があったか
②伝えたいメッセージがあるのか
③共感があったのか
④手間をかけたのか
⑤サプライズがあったのか
⑥誰かのために頑張ったのか

感動には、込められたメッセージとそれを表現する手間が必要だと考えています。努力して失敗したとしても、その努力に対して、タイミングを逃さずにちゃんと立ち止まって振り返り感動しようというのが感動課の考え方ですね。

編:「kando5+1」メカニズムに沿って行われている具体的な取り組みを教えていただけますか?

感動課は色々な社内イベントに同行することが多いですが、例えば、内定式や内定者懇親会などで振り返りとして流す映像を作ったり、新人卒業式の時には卒業証明書を作ったります。年に一度の納会では社内の「ありがとう」を集めたりすることもありますね(後述)。手間をかけて気持ちを込めてアナログにやっています。

感動課の「社員を泣かせる」取り組み

1:新人合宿研修の振り返り映像を作る

感動課は毎年の新人合宿研修に同行しています。目的は、研修が終わった時に、頑張った新入社員を感動させて涙させることです。去年の箱根合宿研修では、研修の最後に流す動画を製作し、その動画を見てこの一週間研修で頑張ったことを新入社員たちに振り返ってもらいました。

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<新人合宿研修の振り返り映像のワンシーン>

2:年末納会で「ありがとう」を配る

サイボイズでは、毎年年末の納会に併せてサイボウズオブザイヤーの表彰を行っています。その年に一番「ありがとう」と言いたい人を選び、個人、チーム、拠点ごとに上位者を表彰しています。去年は250人の投票で実に300人近くの社員に対してコメントがありました。そのイベントを企画するだけでなく、集まったたくさんのメッセージを個別に本人に届けるのも感動課の仕事です。

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<左:年末納会の様子> <右:「ありがとう」メッセージ>

3:育自分休暇制度パスポート

サイボウズには「育自分休暇制度」という制度があります。35歳以下で、転職や留学等、環境を変えて自分を成長させるために退職する人が対象で、最長6年間は復帰が可能です。社員が自分の夢を実現するために長期休暇を取る際、その証明書として再入社パスポートが配られます。「戻ってきてね!」というメッセージを伝えるために、感動課は証明書を本物のパスポートそっくりに形を変えました。

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<育自分休暇再入社パスポート>

全員のことを理解し、感動してもらいたい

編:このような様々な取り組みを通して、社内にどのような変化がありましたか?

よく聞かれますが、実はそのような効果測定はなるべく作らないようにしています。離職率とかも下がってきていますが、そのためにやっているわけではないです。 数字より肌で感じたいです。イベントに参加した社員たちの反応がダイレクトに分かるのでそれでいい。数字を追うことによって本質から離れてしまうことが多々ありますから、 単純に仕事を頑張ってくれたらいい、感動してくれたらいい、と思っています。

編:感動を生み出そうと考えている日々の中、一番難しいのは何でしょうか

全員を満足させるのは難しいですね。今やっているのはまだ大人数向けのイベントが多いですね。そういうイベントが得意な人は参加して満足してくれているかもしれませんが、少人数のイベントのほうが心地よく感じる人もいるでしょう。そういうところも一個一個拾っていかないといけないなと思っていますが、なかなか難しい。 また、イベントをやっているうちに、皆さんもだんだん慣れてくるので、感動を生み出すハードルも上がってきているなと感じています(笑)

編:なるほど。最後に、感動課の今後の野望を聞かせてください。

もっと社員全員を泣かせられるようになったらいいなと思います(笑)。 究極に言うと、一日一人ひとり、365日やっていきたい。全員のことをちゃんと理解して、一人一人に喜んでもらえる、感動してもらえるように・・・。そこを目標に日々活動していきたいです。

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CAPPY'S EYE

「最近仕事して感動したのはいつ?」と聞かれたら、なんと答えますか?サイボウズの社員は、「この間○○があって感動しましたよ!」とすぐ答えてくれるそうです。
利便性・効率・目標を追いかける日々の仕事の中で、「ありがとう!」「頑張ったね!」「素晴らしい!」といったストレートな気持ちを伝えることは、ついついタイミングを逃しがちです。「働く」喜びは、こうしたメッセージを時々立ち止まって伝えることで味わえることも多いのではないでしょうか。
社員一人一人の感動は、のちに、お客様の感動となり、エンドーユーザーの感動となり、やがて日本中・世界中の感動とつながる。
サイボウズ感動課はそんなワクワクするような絵を描いてくれました。

筆者

中島浩太

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