2018/03/05

成長を続けるウェルクスが挑戦する『ミドルアップダウン』の組織

時代のニーズやトレンドを的確に捉え、独自の技術や製品を開発し急成長を遂げるベンチャー企業。急成長を遂げる裏では、組織や制度の課題が常につきまといます。その課題を解決するためには、どのような観点で、何を講じる必要があるのでしょうか。

2017年12月に組織拡大に伴うオフィス移転をおこなった、保育や介護を中心に人材サービスを展開する株式会社ウェルクスでは、組織づくりの中核をミドル層に任せているそうです。

同社代表取締役社長の三谷卓也さんに、その真意と施策についてお聞きしました。

編集者(以下、編):まずは三谷さんのご経歴をお教えください。

三谷さん(以下、三):新卒で大手IT企業に入社し、営業として8,000円のケーブル一本から100億円のスーパーコンピュータまであらゆるものを扱っていました。26歳のときに未上場の企業に転職し、人材紹介のセールスやマーケター、マネジメントも経験し、5年半ほど在籍しました。その後、2012年の1月に独立をしています。

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         代表取締役社長の三谷卓也さん

編:大小さまざまな組織の中で複数の職種をご経験されたと思いますが、その中で感じてこられた組織の課題はありますか。

三:最初に入社したのは全世界で社員が17万人いる会社で、他の営業部が何をやっているか、営業とSE以外でどのような部署があって何をしているのか全く分からない組織でした。事業への参加意識はあったのですが、「会社を動かしている」という感覚はありませんでした。

その後、人材関連の会社へ転職しました。複数の事業部がありましたが、誰がどういう仕事をしているかが良く分かる組織でしたね。私は社員番号73番の入社ですが、事業が成長して社員数が150人ほどになったときに上場し、気がつけば400~500人の大きな組織になっていました。

大きくなるとともに、社長とコミュニケーションをとる機会は減り、トップのメッセージをダイレクトに受け取る機会も少なくなっていきました。社長が何を考えているのか、分からない状況でしたね。

編:上場前は社長が考えていることは伝わっていましたか?

三:社長はいつも二歩三歩先のことを話してくださっていたので、私自身が理解しきれない部分もありましたが、話す機会はありましたね。

編:社長のメッセージを伝える機会が重要であると、感じてこられた理由はありますか。

三:会社のビジョンが見えづらくなったことで、今後自分がどのように成長していけるのか、キャリアプランが見えない時期がありました。もっと会社とコミュニケーションを取りたかったなと思います。

社長と面談した際、自分が疑問に思っていたことを伝えたところ、「思っていることは発信してほしかった」と社長は言っていました。そのとき、トップと従業員が持続的にコミュニケーションを取る場が必要だと、改めて感じたのです。

編:ウェルクスでの組織作りや、社内コミュニケーションについて、気をつけていることを教えてください。

三:ダイレクトな情報発信を大切にしています。社内SNSは後で見返すこともできるので、全社員に重要なメッセージや、テーマごとのメッセージを頻繁に発信しています。もちろん、私からの発信だけではなく、メンバー間の意見交換や、私への連絡も気軽にできる環境になっています。

私が作りたいのは、ミドルアップダウンの組織です。組織が大きくなると、私も全てをみることができなくなるので、ミドル層が現場の意見や情報をトップに伝え、同時にトップの意志を現場に伝える、という構造をつくっていきたいです。今後、ミドル層が私の言葉を的確に理解し、自らの言葉で語れるようにサポートしていく必要があると思っています。

そこで2017年4月からはじめた『ウェルクス7』(以下、セブン)という施策があります。クオーターごとに社内投票で7名を選抜し、その7名が「経営層から与えられたテーマについて議論し、アクションプランをスケジュールと共に提出する」という現場のリーダー層を自発的に動かすための施策です。

「この人にミドル層の役割を担ってもらいたい」と思っている人に、社員が1人3票まで投票しています。

編:議題となるテーマはどのようなものがありますか。

三:その時に応じてさまざまありますが、第3期で取り組んでいるテーマは「ミドルアップダウンができるミドルマネジャー育成のために、何をしたら良いのか」です。7名が自ら考えて、周囲のリーダーたちをどう巻き込んでいくかを議論しています。

編:三谷さんも活動には参加されているのでしょうか。

三:週に2回ミーティングをしていますが、私はセブンから依頼されて出席したり、しなかったりです。出席したとしても、ファシリテ―ションを私がやっているわけではなく、端に座って意見を求められたら話す、くらいの感じです。ちなみに次回は参加しなくていいと言われています(笑)。

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編:最終的なアウトプットは、どのように出すものなのでしょうか。

三:現在は、「ミドルマネジャーのペルソナをつくる」ことがゴールです。現状、大枠のペルソナ自体はできたので、次にそれをどう発信していくか、ミドルアップとミドルダウンではどちらが課題なのかを議論しているところです。

ちなみに前回は、「会社のビジョンをつくる」ことがゴールで、既にあった『ビジョン2050』をブレイクダウンするところから始めました。5年後、10年後に会社がどのような姿になっていたいかを描き出し、『Anyone can be Anything』という明文化されたミッションがアウトプットになりました。

当初はここまで言語化する予定ではなかったのですが、7名が主体的に考えてアウトプットしてくれました。

編:出来上がったものは、いかがでしたか。

三:セブンの想いが詰まっていると思いますね。オフィスのエントランスにもセブンがつくったミッションを掲げています。

セブンが向き合っているテーマは、私たち経営と同じ視点の組織課題を扱っているため、難易度の高いものもあります。しかし「難しいからやりたくない」ではなく、「難しいけど、どういう風にしていこうか」というマインドで挑戦してくれています。

23歳の元看護師や24歳の中途メンバーなど、若い層もめきめき成長していると感じます。まだ3期目の活動ですが、「自分たちで動かしていこう」という強い気持ちをセブンが持っており、信頼できるミドル層が続々と増えている印象です。

編:セブンの方はこの活動をどう思われていますか。

三:会社の舵取りを自分たちがしている、ということが貴重な機会になっているのだと思います。投票制なので入れ替わりもありますが、選出されず涙ぐむメンバーもいました。

編:ではこれからの組織像を教えてください。

三:やはり組織としてはミドルアップダウンを目指しています。社員一人ひとりが、「みんなが自信をもって」「自由度があって」「自己実現につながっていく」という3J(自信、自由、自己実現の頭文字)を成し遂げられるよう、自分自身の市場価値を高めてほしいですね。

成果が出ていることで自信が持てますし、責任と自由を持てる制度をつくれると、自分が目指したいものに向かっていけます。自己実現につながる企業文化をつくっていきたいと考えています。

「ウェルクスは社員が優秀」と言われる会社になるよう、個人差を考慮しつつ、その人が最大限のパワーやスキルを培えるように支援していきたいですね。

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筆者

三浦蒔子

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