“働きがい”を生みだす、LIFULLビジョンプロジェクト~前編~

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“働きがい”を生みだす、LIFULLビジョンプロジェクト~前編~


“働きがい”を生みだす、LIFULLビジョンプロジェクト~前編~

住まい探しの『LIFULL HOME’S』を代表とする不動産情報サービスを中心に、幅広く事業展開する株式会社LIFULL

2017年4月1日に、株式会社ネクストから社名やロゴの変更を伴うサービスブランドの統一を行いましたが、ネクスト時代から数えると、なんと7年連続で『働きがいのある会社』ランキングに選出されています。果たして、LIFULLはどのようにして社員の“働きがい”を生みだし続けているのでしょうか。

そこには、社員一人ひとりが「経営理念と自身の仕事の繋がり」を理解し、「経営理念を実現するための行動」ができている状態をつくり出すために生まれた全社横断プロジェクト、『ビジョンプロジェクト』の存在があるようです。

このビジョンプロジェクトには、ビジョンをつくるチームや伝えるチーム、浸透度をチェックするチームなど、目的ごとにいくつかのチームが存在しています。これらのチームの活動によって、LIFULLでは全社、事業部、ユニット、組織の最小単位であるグループに至るまで、すべての組織がそれぞれのビジョンを掲げ、ビジョン実現に向けた共感・行動を生みだすことに成功しているといいます。

このビジョンプロジェクトが始まった背景からその具体的な取り組みについて、プロジェクトメンバーであるLIFULL HOME’S事業本部 新築戸建事業部 営業推進ユニット長の中川西さんと、人事本部組織開発グループの村川さんにお話しをうかがいました。

LIFULL流、“働きがい”のつくり方とは?

ビジョンプロジェクト立ち上げの背景

編集部(以下、編):LIFULLにとって欠かせないものとなっている『ビジョンプロジェクト』は、どのような背景や経緯の中で生まれたのでしょうか。

村川さん:きっかけは2011年に実施された海外研修でアメリカのザッポス社を訪問したことでした。ザッポス社は会社のビジョンが圧倒的に浸透していることで有名だと思います。社員一人ひとりがビジョンを年頭に置きながら、自分がなすべき仕事を実行できている組織です。

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人事本部組織開発グループの村川さん

現地では『ザッポスの奇跡』という本の著者から、企業文化の紹介からビジョン浸透の取り組みまでレクチャーを受けました。その後、オフィス見学や現地スタッフとの会話を通じて、ビジョンを体現している姿を目の当たりにしたそうです。そこで研修メンバーは強く感銘を受けました。

そして、自分たちの会社もビジョンを意識して、一人ひとりが行動できていることが強みだったはずなのに、それが薄れているのではないかと危機感を覚えました。研修に行くまでは、できているつもりになっていました。しかし、本当に体現しているザッポス社を見たときに、まったく足りていないことに気づいたのです。

会社の規模が大きくなり部署が増える中で、ビジョン浸透に取り組めている部署と取り組めていない部署とでバラつきがでてくる。そういう時期だったのだと思います。このままではまずいと、帰国後の研修報告会で「ビジョンプロジェクトを立ち上げたい」と役員陣に提案したことが、ビジョンプロジェクトの始まりです。

編:その海外研修に行かれた羽田さん(人事本部長)の本『日本一働きたい会社のつくりかた』にも記載ありましたが、ザッポスでの衝撃はもの凄かったようですね。おふたりは2011年当時の組織状態を、どのように記憶されていますか。

中川西さん:私は2008年に中途で入社したのですが、月に1度全社員が集まる全社総会では井上(代表取締役社長)からビジョンシェアリングが必ずされていたので、社是や経営理念は意識していました。また、ガイドラインと呼ばれる行動指針もあり、その内容に腹落ちをしていたので、日々の業務に関して疑問を持つことは特にありませんでした。

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LIFULL HOME’S事業本部 新築戸建事業部 営業推進ユニット長の中川西さん

ただ、「目の前の仕事がビジョンの実現につながっているか」までは意識できていませんでした。というよりも、そんな頭すらなかったという方が正しいと思います。

村川さん:私は当時、羽田の部下としてまさに、ビジョンを各組織に浸透させていく仕事をしていました。基本的に入社のタイミングでは、ビジョンに共感して「私もやりたい」と思っていると思います。それが日々の業務に追われていく中で、「自分が何のためにこの仕事をしているのか」、見失ってしまうんですよね。

10人の会社であれば、それぞれが違う仕事をしていても共通認識を持てるかもしれません。しかし、それが500人あたりになってくると、会社のビジョンと自分の仕事をうまくつなげて考えられなくなってしまう。そうしたことが起こっているなと感じていました。

編:そのような組織状態の中、ビジョンプロジェクトが正式に立ち上がって社内に広報されていくと思うのですが、現場からその活動をどのように見られていましたか。

中川西さん:社内で公募があったのですが、最初はまったく関わっておらず、そんな活動を始めたんだな、と傍観していましたね(笑)。ただ隣の部署のメンバーが海外研修に参加していて、ザッポスの話を何かの機会で話していたことを覚えています。でも「そうなんだ」とヒトゴトでした。

編:何かしらビジョンについて取り組むんだ、という社内の動きは感じられていたのでしょうか。

中川西さん:全社総会の場で「こういう活動をします」「アンケートを実施します」という広報はあったので、認識はしていました。社内には『職場環境委員会』のような有志社員が運営する委員会や全社横断プロジェクトがさまざまあるので、それらと同じような印象でした。

編:そうした感覚の社員が多かったのかもしれませんね。ビジョンプロジェクトを立ち上げてメンバーを公募されたそうですが、初年度にはどのような人からの応募があったのでしょうか。

村川さん:メンバー募集に反応してくれたのは、「みんながビジョンを共有してがんばっている」というLIFULLの良さが薄れていることに危機感を抱き、「なんとかしたい」と思っていた人たちでした。もちろん全員ではありませんので、その時点では理解や共感できていない人もいたと思います。

編:中川西さんは、最初はヒトゴトだったとお話されていましたよね。どのような経緯でプロジェクトに参画することになったのですか。

中川西さん:公募で参画者を集める一方、多くの部署からバランスよく参画してほしいという、少し裏の背景もあったようです(笑)。その中でプロジェクトメンバーから私に、「周りで誰か参画してくれる人がいないか」という打診をもらいました。

当時私はグループ長という立場だったのですが、別グループのグループ長に「こんな話があるんだけど」と話をしたところ、「参加します」と言ってくれたのです。ただ、自分が声をかけられて他の人だけを行かせるのは人としてどうかと思ったので、一緒に参画することにしました。

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編:では当初は、積極的に関わっていくぞという志ではなかったのですね(笑)。

中川西さん:ビジョンプロジェクトがどのようなことをしているのか、興味は湧いていました。ですので、わからないけどやってみようという、軽い気持ちでしたね。

ビジョンの浸透度を定点観測するビジョンアンケート

編:プロジェクトは何名くらいで活動されているのですか。

村川さん:年によって変動しますが、役員を入れたら40名程度です。ちなみに立ち上げ時は20名くらいでした。新卒、中途、職種や年次も関係なくいろいろな社員が参加していて、毎年3分の1程度が入れ替わります。1人あたりおおよそ2~3年、活動するイメージですね。初期メンバーはもうプロジェクトを卒業し、毎年その意志を引き継いだ社員たちで活動を続けています。

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プロジェクトメンバーは定期的に集まり、ビジョン実現に向けた共感・行動の創出について議論を重ねる

編:具体的には、どのような活動しているのでしょうか。

中川西さん:プロジェクト立ち上げ当初は、まずは自分たちの中にどれくらいビジョンが浸透し、体現できているのかという“立ち位置”を知る必要があるという認識から、全社アンケートに取り組みました。現在も、ビジョンについて「知っている」「共感している」「実行できている」という選択肢で聞いていて、「共感」や「実行」の割合を増やしていくことをKPIにしています。

このビジョンアンケートは定点観測のツールとして、非常に重要視しています。全員に回答してもらうようにしていて、直近の回収率は97%でした。最終的には未回答者を洗い出して、プロジェクトメンバーが直接声掛けに行くほどです(笑)。

こうした調査を『チェックチーム』が担当しています。アンケート作成の準備段階、回収、分析、経営会議での報告と、アンケートを起点に取得時期の前後は忙しく対応しています。

LIFULL流、ビジョンのつくりかた

編:LIFULLでは全社からグループ単位まで、すべての組織単位で独自のビジョンを設定されているそうですね。それらのビジョンは、どのようにつくられていくのですか。

村川さん:基本的には事業本部、本部、部、と上の組織から順番につくって、グループビジョンまでブレイクダウンしていきます。全社のビジョンが「何をする存在か」を謳っているのでそこを起点に、メンバー同士で「私たちの部署は誰に対して、どんな価値を提供しているのか」をブレストして整理していきます。

編:ビジョンをつくる際のルールや仕組みは何か決まったものがあるのでしょうか。

中川西さん:ビジョンを策定しやすいようにフォーマットを用意しています。組織の目的・役割・背景から書き始めて、プロセスを順番に追っていくと完成するようになっています。具体的には、「組織として実現したい世界観」や「世界観を実現するための具体的な行動」、「ステークホルダーの不」などを議論していきます。

昨年9月には社内で最大の組織であるLIFULL HOME’S事業本部のビジョンを見直しました。全社員が集まると600~700人になるので、まずは部長だけで集まり議論を行いました。途中で、部長の言葉でそれまでの議論の経緯をグループ長に伝えて、意見を募ります。その内容を部長が持ち寄って、さらに議論を重ねてまとめていきました。最終的に決まったものは、再度グループ長に展開して、そこからメンバーに伝えます。

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編:事業本部のビジョンを変えたということは、そこからグループビジョンの見直しに取り組むということですね。

村川さん:『つくるチーム』がそうしたビジョン策定のサポートや、完成したビジョンをまとめて会社内のビジョンのつながりを表す“ビジョンツリー”を作成しています。組織が変わる4月と5月、10月と11月は忙しくしていますよ。

ちなみに『シェアチーム』はビジョンを体現したエピソードを全社に共有し合う役割で、年中発信し続けています。

ビジョンをいかに“行動”につなげるか

後編では、策定したビジョンを一人ひとりの“行動”につなげるシカケをお届けします。

筆者:中島浩太

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