社員専用TV局に初の全社イベント!110周年のAGCが取り組むインナーブランディング

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社員専用TV局に初の全社イベント!110周年のAGCが取り組むインナーブランディング


社員専用TV局に初の全社イベント!110周年のAGCが取り組むインナーブランディング

2017年9月に創立110周年を迎えた旭硝子株式会社。2018年7月には旭硝子株式会社からAGC株式会社(以下、AGC)へと社名を変更し、長い歴史の中でも大きな変革の年でした。この節目に、AGCでは国内全グループ会社を巻き込んだ110周年プロジェクトを立ち上げ、社内外にさまざまな施策を展開しました。

そうした施策のひとつに、AGCグループの企業姿勢を明示したブランドステートメント『Your Dreams, Our Challenge』の策定があります。社外に対しては、新社名の浸透を目的に人気俳優を起用したブランディング活動を行ったことは記憶に新しいですが、社内に対してはどのようにブランドメッセージを共有し、施策を展開したのでしょうか。

経営企画本部 金井厚史さん、広報・IR部 インターナルブランディングチーム 石橋賢一さんと高橋葵さん、110周年プロジェクトをサポートした株式会社チエノワ 大澤尚也さんにお話を伺いました。

※今対談は、AGC110周年プロジェクトのグランドフィナーレを飾った社内イベント『Aフェス』を企画・運営した、株式会社ゼロイン(CAPPY運営会社)の増田がインタビューしました。『Aフェス』は従業員とそのご家族、約2,000人がさいたまスーパーアリーナに集合した、AGCでも過去最大級のイベントです。くわしくはこちら

増田:今回、110周年事業と社名変更が同じタイミングで行なわれました。社名変更は110周年に合わせて検討されていたのでしょうか。

石橋さん:意図して合わせたわけではありません。しかし振り返ってみると、周年とコーポレートブランディングの変遷はリンクしています。1987年に80周年を迎えた際は企業ロゴを変更して「AGC」が誕生しましたし、100周年を迎えた07年にはグループブランドを「AGC」に統一し、国内外の連結子会社はAGCを冠した社名に変えました。実はこの時期に旭硝子の社名変更も検討していたのですが、AGCの認知度から時期尚早として見送りました。

そして社名変更の本格的な検討が110周年のタイミングと重なりました。つまり社名変更が確定する前から110周年のプロジェクトは動き始めていたんです。

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石橋賢一さん

金井さん:110周年プロジェクトのきっかけは、2016年に発表された長期経営戦略でした。2015年1月に島村が社長執行役員CEOに就任、2016年2月に「2025 年のありたい姿」として長期経営戦略を策定しました。

その背景には、「組織風土やカルチャーを“対話”によって変えていきたい」という島村の強い意志がありました。「原点に立ち返り、チャレンジ精神を取り戻そう」と。そこで部長以上を対象にした1泊2日の幹部合宿を実施、経営陣とグループメンバーとのコミュニケーション機会を複数設けてきました。

同時に「もっと楽しいこともやろう」という動きも生まれ、110周年事業の一環で何かできないかと、複数部門からメンバーを集めてプロジェクトが発足しました。そこで実施した施策に、チエノワ大澤さんに多大なご協力をいただいた社内テレビ局『CH11O(チャンネル・イチ・イチ・オー)』があります。

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金井厚史さん

大澤さん:『CH11O』は、社員の皆さんのチャレンジがコンテンツの鍵を握る仕掛けとなっています。番組の企画には、先端技術を楽しくわかりやすく解説する『ピタガラスイッチ』、国籍の異なる多様な人財や海外拠点を取材した『NO BORDER AGC』、熱い気持ちで何かに取り組む社員の生き方や仕事観に迫る『1600℃』などがあります。各拠点で働く社員が自分の夢を語り、その実現を番組がサポートする『シマパラさんのOne Teamな夢かなえたろか』は、新たに策定したブランドステートメント『Your Dreams, Our Challenge』に通じるものがあったのかもしれません。

CH110トップページキャプチャ

増田:110周年事業において、社内ブランディングの中核を担ったのが『CH11O』だという声を、社員の方からお聞きしました。社内テレビ局の開設に挑戦してみて感じたことはありましたか。

高橋さん:最近はグループ報の発行頻度が減り、現場取材をせずに各地から原稿をもらって制作することも増えていたのですが、社内のコミュニケーションが希薄になっていると感じていました。その中で、社内テレビ局として映像を使うことになり、各地へ取材に行ったのですが、やはり実際に現地に行って現場の声を聞くのはいいなと感じました。

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高橋葵さん

大澤さん:関西工場へ初めての取材に伺う際、高橋さんが「迷惑じゃないか…。ちゃんと話を引き出せるか…」と不安がっていたことを覚えています。でも、行ってみたらとても真摯に対応してくださり、たくさんの方々からお話を聞くことができました。

高橋さん:インタビューにも丁寧に答えていただき、面白い話から大変だと感じる瞬間のお話まで、ありありと語っていただくことができました。一人ひとりの想いを発信する場をつくることの必要性を感じましたね。社内のコミュニケーション機会が減る中で、新たなコラボレーションができる関係を創れたのは嬉しかったです。

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鹿島工場の稲刈り活動を取材している様子

石橋さん:『CH11O』と社名変更、どちらも新しいつながりが増えましたね。出張に行っても以前は自己紹介からでしたが、最近では「久しぶり。あのときはありがとう」という挨拶から始まることもあります。拠点の人が出張で本社に来るときに、広報に立ち寄ってくれるのも嬉しいものです。

増田:『CH11O』で定期的に情報発信・共有を続けながら、2018年9月に開催した『Aフェス』が110周年施策のフィナーレでした。さいたまスーパーアリーナに2,000人は社内イベントとしては非常に大きなプロジェクトでしたが、このイベントの準備はいつごろスタートしたのですか。

大澤さん:『Aフェス』開催の発端は、『CH11O』の番組「シマパラさんのOne Teamな夢かなえたろか」でした。その番組の中で社員の方々から「AGCの社員みんなが集まれるイベントがしたい!」という夢が多く寄せられました。社内で議論・検討をしていただき、最終的にはCEOである島村さんの決断で2018年1月に実現が決まり動きだしました。

番組キャプチャ

金井さん:そこからイベントのサポートメンバー募集を開始したのですが、最初はなかなか集まらなくて。いろいろなところで募集を呼びかけました。2018年3月までに70人くらい、最終的に100人ほど集まり、本格的にプロジェクトが始動したのは5月くらいでした。

高橋さん:私も同期をメンバーに誘いましたよ。このときは、始動後に「募集しているのを知っていたら参加したのに」と言う社員もいて、情報を拡散することの難しさを感じました。いろいろな場面で情報を出してきたつもりでしたが、募集していることさえ伝わっていなくて。「何のために、どんな想いで」ということまで伝えるのはもっと難しいですよね。

金井さん:文字や言葉だけで伝え切れないことは多くて、リアルに集まる場の価値はそこにあると思いました。一緒に何かをやるわけではなくとも、部活動で同じ時間を共有したとか、今回のような『Aフェス』という共通の体験をしたとか、そういうことが組織の求心力を高めていくのではないでしょうか。

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『Aフェス』当日のスタッフTシャツ

増田:弊社ゼロインがお手伝いさせていただいたのは、本格始動した2018年5月頃からでしたが、まだ具体的なイメージが固まっていなくて手探りだったと記憶しています。しかしみなさんと議論・制作を重ねた結果、当日は大盛りあがりで大成功でした。活動を振り返ってみて「Aフェスの成功が見えた瞬間」はありましたか。

高橋さん:今だから言えますが、イベント当日が終わるまで正直見えませんでした(笑)。やるしかないという感じで、とにかく走っていたような気がします。

金井さん:私は鮮明にあります。「夢かなえたろか」の夢決定編で、社長の島村が夢を選ぶシーンを撮影しているときです。グループメンバーから集められたすべての夢のリストと映像を、島村が一つひとつ真剣に観ながら感想を口にする姿を見ていて、従業員5万人の企業のトップがこれだけ真剣に取り組んでいるのだから、絶対に成功すると確信しました。

高橋さん:準備期間中は「これで本当にいいのかな」という気持ちはありました。たとえば、このイベントをグループメンバーはどう受け取るのかです。『CH11O』にしても、予算を投下して実行していくことにどう思われるか、始めは不安でした。しかし、いろいろな人と直接対話する機会が増えていく中で、大事にしたい想いは届いていると感じるようになっていきました。

大澤さん:高橋さんが思わず涙した瞬間もありましたね。

高橋さん:社名変更のイベントの後、メールで感想を送ってくれた社員がいました。それまでは私たちからグループメンバーに情報を届ける一方通行の情報発信でしたが、そのイベントのときに初めて複数会場を中継でつなぐ試みをしました。

中継カメラを入れて、お互いのやり取りをリアルタイムで共有したんです。それを見た社員が、「初めてトップから現場まですべての人が同じ方向を向き、同じ空間、同じ時間を体験している“One Team”を実感することができました。これまで開いたことがなかったグループ報を読んでみたくなりました」というメールを送ってくれたんです。

それを電車の中で読んだときに、思わずうるっと。その方に「泣いちゃいました」と返信したところ、「私も書きながら泣きそうでした」と返事が来ました。成功するかどうかはともかく、方向性は間違っていないと思えたのはこのときです。

増田:『Aフェス』終了後、現場からはどのような意見や感想がありましたか。

高橋さん:「懐かしい人に会えて嬉しかった」や「日ごろメールや電話でしかやり取りしていない人に直接会うことができた」という声を多くもらいました。ほかにも「経営陣との距離の近さを感じた」「うちの会社はこんなことにも挑戦できるんだと誇りに思った」、ご家族で参加された方は「自分の勤務先のこと、世の中への提供価値を家族に知ってもらえてよかった」といった声もありました。

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サポートメンバーが積極的に参加者のお子さんと交流する様子

金井さん:島村が「組織には壁ができて当たり前。それぞれに役割や責任があり、一生懸命になればなるほど壁ができる。壁があるのはいいが、それを通り抜ける穴が大切だ」とよく言っています。今回のイベントも、まさに壁の穴づくりだったと思います。

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『Aフェス』では、One Teamを体感できるコンテンツを複数実施

増田:インターナルコミュニケーションの取り組みとして、今後どのような展開をお考えですか。

石橋さん:110周年を通じて、イベントの効果は強く感じましたが、さすがに毎年はできません。でもタイミングをみて必ず実施したいと思っています。仮に115周年事業があるとしたら、今回の実施内容やその意図を踏まえた上で施策に取り組めるよう、線でつないでいくことが大事だと思います。

その軸になるのが新たに策定したブランドステートメント、『Your Dreams, Our Challenge』です。すべてがここにつながるよう設計していきます。

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(左から)株式会社チエノワ 大澤尚也さん、AGC株式会社 金井厚史さん、高橋葵さん、石橋賢一さん、株式会社ゼロイン 増田祐己

筆者:竹井淳子

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