インナーブランディングに活用するアワード・表彰式!目的4分類とポイントを解説

アワード・表彰式は、社員の成果や成長、取り組みや挑戦を称えることでモチベーションやエンゲージメント向上を生みだすとともに、戦略的な活用によってブランド浸透にもつながるコミュニケーション機会です。

さらに、継続的な実施によって社員同士の称賛やナレッジ・ノウハウ共有を促進でき、変化の激しい時代に求められる社員同士の「学び合う文化」を育むこともできます。

しかし、アワード・表彰式の実行に際しては、実施目的の整理や具体的な施策やアイデアの企画・設計に頭を悩ませる担当者も少なくありません。また、すでにアワード・表彰式を行っているものの、「マンネリ化している」「社員からの納得が得られない」「このまま過去と同じ内容で続けても良いのか」といった悩みを抱える方もいらっしゃいます。

企業成長や社会・市場環境の変化によって、組織状態や社員の仕事に対する価値観も変化していくため、アワード・表彰式の目的やあり方は定期的に見直す必要があります。

そこで、インナーブランディングのプロジェクトや企業のアワード・表彰式を多数プロデュースしている株式会社ゼロインが、アワード・表彰式の定義や目的別の考え方について解説します。

アワード・表彰式とは?性質や特徴の違い

「アワード」と「表彰式」、この言葉を意識して使い分けている人は少なく、社内施策というカテゴリの中で同じような施策であると捉えられることも多いものです。一般的に認知された定義ではないのですが、その性質や特徴から次のようにゼロインでは整理しています。

  • アワード
    一定の基準にのっとり、社員の行動や業績を選出・審査し、社内外に伝えていく一連のプロセス、ストーリー全体を指す。審査基準などを提示する事前広報に始まり、エントリー、審査・選出、表彰式、事後広報などのプロセスが含まれる。
  • 表彰式
    アワードの一連のプロセスにおける一施策で、称賛の場。受賞発表、表彰・授与、コメント・スピーチなどのプログラムで構成される社内イベント。
アワードと表彰式の性質や特徴の違い

この定義におけるアワードは、中長期的なストーリーのもとで構成されていることが大きな特徴です。事前から事後までの長めの時間軸、多様な広報施策で社員と継続的に接点を持つので、日常の中にいかにアワードを組み込めるかがポイントです。日々の仕事からまったく切り離されてしまうと、社員の共感は生まれにくくなるので、社員をプロセスに巻き込むことを意識して取り組みます。

一方で、表彰式はアワードに内包される一施策で、もっとも栄誉感あふれる、アワードの「山場」ともいえる位置づけです。「自分が表彰されたい」「あの場に立ちたい!」と思い、表彰式を目指して仕事に取り組む社員が増えるような、圧倒的に栄誉感あふれる“場”のブランディングが重要になります。

アワード・表彰式の目的4分類

アワード・表彰式はどのような目的での実施が効果的なのでしょうか。ゼロインでは、アワード・表彰式を実施の目的別に4つに分類しています。

  1. 戦略推進とロールモデルの褒賞
  2. 業務ナレッジやスキル、プロセス、品質の向上
  3. 事業イノベーション、業務改善の提案・提言
  4. ビジョン・ブランド浸透、体現行動の表出・共有
アワード・表彰式の目的4分類

これらの目的別に、賞例や実施のポイントを順番に解説します。

戦略推進とロールモデルの褒賞

【賞例】
業績表彰、MVP表彰、優秀チーム表彰、スキルNo.1コンテストなど

【ポイント】
対象:基準が同一で明確
審査:相対的優勢、NG判定
称賛・共有:人やチーム、栄誉感

多くの企業で開催されてきたのが、業績表彰などが該当する戦略推進とロールモデルの褒賞です。

審査基準が同一で明確な場合には、高い成果を出した「ロールモデル」になるような人やチームを、栄誉感をもって称賛することで、「自分も目指したい」「一番になりたい」と感じてもらうことができます。一方で、ビジネスモデルが変化・多様化している現代においては、ポジションや職種によって不公平に感じられる場合があり、全社を対象にすると納得感を得にくい可能性があります。

業務ナレッジやスキル、プロセス、品質の向上

【賞例】
ベストプラクティスコンテスト、品質賞、クリエイティブ賞、接客・ロープレコンテストなど

【ポイント】
対象:手法や改善、工夫による成果
審査:新規性と汎用性
称賛・共有:ナレッジやツール、成果物

社内で生まれた新しい仕事の手法、効果的な取り組み、改善の新規性や汎用性を共有します。質の高い仕事のプロセスややり方を共有し、組織全体で真似をして実践していくことで、全社で品質・スキル向上を目指します。

事業イノベーション、業務改善の提案・提言

【賞例】
新規事業提案コンテスト、業務改善提案コンテスト、経営への提言など

【ポイント】
対象:事業や業務上の提案
審査:アイデア・着眼点と実現性
称賛・共有:提案内容、今後の取り組み

ほかのアワードとは異なり、結果への評価ではなく、提案のアイデアや着眼点・実現性などを審査基準に設ける傾向にあります。社員が会社や事業について我が事として考える主体性や、新しいことに挑戦する企業文化を醸成したいときに有効なアワードです。

ビジョン・ブランド浸透、体現行動の表出・共有

【賞例】
ビジョンアワード、バリュー・行動指針賞、事業イノベーション賞など

【ポイント】
対象:ビジョンや行動指針に基づく
審査:価値、影響度、社会性
称賛・共有:具体行動とスタンス(思い)

ビジョン・ミッションや行動指針といった抽象的な概念を共有・浸透するときに活用します。ビジョン・ブランドを体現したプロジェクト事例や社員へのインタビュー・プレゼンテーションを通じて、会社として目指す“ありたい姿”ともいえる行動やスタンスを具体的に共有することで、社員の理解度や解像度を高めていきます。

アワード・表彰式におけるグレードの考え方

企業で実施されているアワード・表彰式を4つの目的で分類してみると、1つの目的で実施する企業もあれば、複数の目的を掛け合わせて、あるいは複数のアワード・表彰を並行して実施する企業もあります。

社内に複数のアワード・表彰式を実施している場合によく発生する悩みは、社内における権威性や栄誉感をどのようにグレード分けするかです。

ゼロインが「最上位の栄誉」として実施をおすすめしているのは、「ビジョン・ブランド浸透、体現行動の表出・共有」を目的に実施するブランドアワードです。ビジョン・ミッションやパーパスなどのブランドを軸にしたアワードは、業種や役職の影響を受けにくく、全社員が平等に機会を持ちやすいからです。

売上・利益に直結する業績表彰と比較して悩まれる場合もあります。当然どちらも企業成長には不可欠なので、ある企業では業績表彰には金銭的な報酬で、ビジョンアワードには栄誉で称賛すると決めて運用しています。

なお、ブランド浸透を目的にしたアワードを実施する場合は、成果だけでなく、成果を生みだすに至った社員のスタンスまで共有することが重要です。「こんなビジョンを実現したい」「この社会課題を解決したい」といった自律的な行動を生みだすに至った源泉とも言える「will」や「価値観」の奥底に向き合い、ひも解きます。

人は、事実や理論だけでは感情は動きません。社内にいる仲間のエモーショナルな部分に触れ、事業・職種の違いを越えて共通するものを感じることで、「自分もやりたい」という強いWILLが組織に伝播していきます。

この記事の著者

露峰 一澄

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