“働きがい”を生みだす、LIFULLビジョンプロジェクト~後編~

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“働きがい”を生みだす、LIFULLビジョンプロジェクト~後編~


“働きがい”を生みだす、LIFULLビジョンプロジェクト~後編~

住まい探しの『LIFULL HOME’S』を代表とする不動産情報サービスを中心に、幅広く事業展開する株式会社LIFULL

2017年4月1日に、株式会社ネクストから社名やロゴの変更を伴うサービスブランドの統一を行いましたが、ネクスト時代から数えると、なんと7年連続で『働きがいのある会社』ランキングに選出されています。果たして、LIFULLはどのようにして社員の“働きがい”を生みだし続けているのでしょうか。

前編では、ビジョンプロジェクトが立ち上がった背景から、LIFULL流ビジョンのつくり方までお伝えしました。

後編では、メンバーから経営まで、全社的なビジョンへのコミットメントを推進するシカケについて、引き続きプロジェクトメンバーのLIFULL HOME’S事業本部 新築戸建事業部 営業推進ユニット長の中川西さんと、人事本部組織開発グループの村川さんにお話しをうかがいます。

LIFULL流、“働きがい”のつくり方とは?

いかに「行動」を生みだすか。マネジメント・メンバーを動かすシカケ

編:ビジョンアンケートでKPIの話がありましたが、具体的にどれくらいの数字を追っているのでしょうか。

中川西さん:浸透レベルを上から「実行」「共感」「理解」「作成」の4段階とし、「実行」の割合70%超を目指しています。当初は「共感」と「実行」を足しても70%前後で、「共感」が45%、「実行」は25%程度でした。

LIFULL HOME’S事業本部 新築戸建事業部 営業推進ユニット長の中川西さん

それがこの1年は合わせて90%以上にまであがってきました。次は90%の中でいかに「共感」にいる社員を「実行」にあげられるかが、大事なポイントになっています。

編:「実行」を70%とのことですが、「実行」を生みだすために、どのようなことに取り組まれているのでしょうか。言葉を覚えてその内容に「共感」することはできても、具体的な「実行」まで持っていくことに壁を感じている企業が世の中には多いのではと思っています。

村川さん:メンバーが実行するためには、「自分たちが何を目指していて」「いまどういう状況なのか」、上から発信することが非常に重要です。一方で、メンバーが「ビジョンが大事だ」「ビジョンに向かって仕事をしたい」と思ったとしても、戦略の立案や指揮をするマネジメント層の認識がずれていると、当然実現されなくなってしまいます。

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人事本部組織開発グループの村川さん

そこでメンバーに対しては、各グループにまで細かくビジョンを策定していくことで理解・共感を促進する音頭を全社でとっていく。そしてマネジャーに対しては、日々のマネジメントラインでビジョンを話せるように、ワークショップなどをビジョンプロジェクトで企画して伝え方をインストールしていく、という流れで取り組んでいます。

編:マネジメントの中でビジョンを伝える機会は、どのように創出しているのですか。

中川西さん:管理職に「面談の場でビジョンを伝えてほしい」と依頼しても、たとえば営業などは数字の話だけにどうしてもなりやすいですよね。当然、数字は見ながらも、そうでない部分も見ていかなければいけません。ですので、仕組み化することで必ず触れられるようにしました。

村川さん:わかりやすいのは目標管理シートの変更です。弊社では半期ごとに目標管理シートで目標の管理をしていますが、設定面談、中間面談、評価面談と、最低3回は面談機会があります。

以前は目標管理シートの最上部には経営理念が記載されていたのですが、経営理念は日々の仕事からは少し遠すぎると感じていました。そこで「部門ビジョンに変更することで、面談の場で必ず話ができるようにしたい」とビジョンプロジェクトから人事に提案し、経営会議にあげてもらいました。

たった一言の変更ですが、それだけで随分と変わります。やはり日頃マネジメントをしている管理職とメンバーとで会話をして、すり合わせができていることが重要なのだと感じます。話す機会を設けるように促し、その話が伝わるように支援するところまで働きかけています。

中川西さん:こうした縦のマネジメントラインだけではなく、部署を横断した横のラインにも目が向くようにしています。たとえば、社内にモニターが配置されているので、『シェアチーム』がビジョンを体現している社員に「日々どのような行動をしているのか?」についてインタビューした内容を流しています。

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シェアチームが中心となって運営するビジョンプロジェクトの社内用サイト。この中でも記事配信などを通じた広報活動をおこなっている

編:シェアチームはそうした活動もされているのですね。現在、「実行」の割合を増やしていこうとしている中で、課題に感じられていることはありますか。

中川西さん:日本人的な感覚だと思うのですが、同じ部署で共通のビジョンを目指しているときに、先輩と比較して「自分はまだまだだ」と感じてしまう意識があるようです。

しかし、たとえ共通のビジョンであったとしても、仕事の役割は一人ひとり異なります。内容や範囲が異なっている中で、「自分の仕事がビジョン実現につながっている」と腹落ちできていて、モチベーション高く取り組めているのであれば、それは「実行できている」と評価していいんです。

他者と比較した相対評価ではなく、「自分自身の意識はどうなのか」次第だと、いかに伝えられるかが最近の課題ですね。

編:確かに、そのように判断の基準が明確になっていないと、シェアチームのインタビューでビジョナリーな社員が共有されればされるほど、「自分はまだまだ」と思ってしまう人が増えてしまいますよね。一人ひとりの自己評価ラインを修正していく感じですね。

村川さん:同じ仕事をしていても、自身の納得度合いで充実感は変わってきますし、アウトプットの差にもなります。会社全体としてイキイキ働いている状態をつくりたいですよね。

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中川西さん:アンケート結果は、グループ長以上に詳細を展開すると同時に、全社員に対しては、実行度の浸透度合い70%以上、50~70%、50%未満と大きく3つにセグメントして公開することもしています。

編:ということは、公開されて「え、うちのグループって50%を下回っているの?」ということもあるわけですね。

中川西さん:そこから会話が生まれてほしいとも思っています。実は私の部署は以前、実行が20%未満だったんですよ。ビジョンプロジェクト参加当初、全社では実行・共感が80%程度だったのに、私の部署は40%に届いていませんでした。

それまでは何もやっていなかったんです。他部署では毎月その部門の総会でビジョンに触れているのに、うちの部署はそもそも総会を3ヶ月に1回しかやっておらず、しかもビジョンには触れていない、という感じでした。

ただそのアンケート結果以後、積極的に取り組んでいったら、いまでは全社で2番目くらいになっています。

思い返してみると、プロジェクト参加以前のアンケート結果はもちろん私にもフィードバックされていましたが、実際にはまったく見ていませんでした。「わかるけど、やらなきゃいけないことがたくさんあるんだよ。おっしゃる通りなんですけど」と思っていたんですよ。結局、マネジメントのヤル気次第だとつくづく思いました。

編:マネジメントが動くと影響がわかりやすく出てくるんですね。

 

経営のコミットメントを加速させる『役員の心得』

編:トップのコミットメントはどのように生みだしているのですか。

村川さん:役員は『役員の心得』をもとに、がんばっていただいています。この『役員の心得』は、役員が取り組む5つのコミットメント宣言で、前のオフィスでは社内にポスターを貼りだしたりもしていました

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社内に貼りだされるポスター

心得の内容は、「ビジョンと一貫性のある戦略を立案し、わかりやすく説明します」「ビジョンを実現したいと心から思う社員だけをマネジャーに登用します」「ビジョンとの一貫性のある指示を出します」「ビジョンを常に語ります」「ミドルマネジメントが上記を本気で実践するようフォローします」の5つで、年に2回、これらの項目について役員の評価を全社員にアンケートをとっています。もちろん、取締役も評価対象です。

役員クラスになると、役員の中で差があると感じていても、社員からはなかなか言えないですからね。こうして定量化することで、「もっと発信してください」と言えるようになったと思います。

今期から役員の結果は役員会ですべてオープンにし、互いの改善アクションに向けたアドバイスをし合えるようになっています。役員にも変わっていただきたいという想いから、こうした取り組みを行っています。

LIFULLが描く、ビジョンプロジェクトのこれから

村川さん:私たち社員は、会社が掲げるビジョン実現のために集まっています。そのビジョン実現への道筋をブレイクダウンしていくことで、当社の柱であるLIFULL HOME’Sのビジョンや事業計画が立ち、営業部門、開発部門などのビジョンや事業計画が立ち、それらを支援する経営企画や人事、バックオフィスといった役割にわかれています。

つまり一人ひとりが日々取り組む仕事はすべてビジョンの実現につながっているはずで、もし仕事や指示につながっていないと感じるものがあれば、それはおかしいと言うべきです。

疑問の問いかけは必要なことで、合っているかどうかがわかれば本人はコミットできます。そして仮に間違っているのであれば、そこは修正されるべきところです。基本は上司が問いかけられるので、上司はビジョンを理解して明確に説明できなければいけません。

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LIFULLでは、さまざまな場・機会で、ビジョンに触れ、向き合う機会がある

編:どの役職であっても、部下から問いかけられることを想定して、準備しておかなくてはいけないのですね。

村川さん:ビジョンプロジェクトの活動も6年目を迎え、「ビジョンって大事だよね」「うちの部署でも確認、理解の機会を増やしたいね」と積極的な動きが出てきたことを感じています。本社から離れた拠点からもプロジェクトメンバー参画の応募があります。これは全社にプロジェクトの意義が浸透したからこそだと思います。

中川西さん:ビジョンアンケートの項目も組織の状態に応じて変化しているんです。これまでの“個人”への質問と同時に、2017の6月からは“所属している部署”の浸透具合についても聞いています。個人よりも部署の方が、数字は低くなる傾向があります。「自分はいいけど部署としてはもうちょっと」という状況をどうできるか。少し階段をのぼった感じですね。

村川さん:最終的には、ビジョンプロジェクトを“解散”することが目標です。プロジェクト化して率先する人がいなくても、ビジョンが浸透していて、お互いに語り合い、日々の業務がビジョン実現につながっていると全員が実感していたら、それが最適な形だと思います。早く解散したいですね(笑)。

筆者:中島浩太

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