2018/09/18

全社員おそろいのスニーカーでバリューを体現?ユナイテッド、バリュー策定の挑戦

ユナイテッド株式会社は、モーションビート株式会社と株式会社スパイアの合併により2012年12月に誕生しました。

合併以降、『日本を代表するインターネット企業になる』というビジョンと、『挑戦の連続によりあたらしい価値を創り出し、社会に貢献する』というミッションを掲げ、アドテクノロジー事業やコンテンツ事業、インベストメント事業を展開。大きな躍進を遂げてきました。

設立から6年目となる2018年4月には、社員全員が働く上で大切にする価値観『バリュー』を新たに策定しました。約1年を費やしたというこのバリュー策定には、どのような経緯があったのでしょうか。

そしてバリュー浸透施策の一環として有名メーカーとコラボレーションし、オリジナルスニーカーを作ったそうです。「全社員おそろいのスニーカーを作る」という前代未聞のユニークなアイデアはどこから生まれたのでしょうか。

コーポレートカルチャー本部 採用育成部 マネジャー 柏山奈央さんに伺いました。

編集部(以下、編):ビジョン・ミッションはいつ策定されたのでしょうか。またバリューの必要性をいつ頃から感じていたのでしょうか。

ビジョン・ミッションはユナイテッドを設立してすぐに経営陣で作成しました。ビジョン・ミッションについては半期に一度、全社員が集まるキックオフをはじめ、さまざまな場面で代表が発信してきたので、かなり浸透していると思います。

バリューの必要性について話すようになったのは、会社設立から4~5年目くらいでしょうか。ユナイテッドは全く異なる文化を持つ2社が合併した会社なので、設立当初は「ユナイテッドってこういう会社」と言えるものがありませんでした。

それが少しずつ、ユナイテッドらしさに関する会話が、社員の間で交わされるようになってきました。ただ、具体的に言語化されたものはなく、一人ひとりの感覚で捉えている状態が続いていましたね。

一方で、経営陣の中でも、せっかく出てきている“らしさ”を、会社として明文化した方がいいのではないか、という風潮が高まっていました。当時、主軸としていた事業も軌道に乗っていたこともあり、『バリュー』の策定が経営計画の重要施策として決定したんです。そこには、全社員が同じ価値観を共有することで一体感を生み、組織力向上につなげたいという想いがありました。

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編:バリュー策定にあたり、どのようなことから取り組まれたのでしょうか。

策定にあたり最も意識したのは、全社員を巻き込むことです。経営陣から「これが我が社のバリューです」とトップダウンで与えるのではなく、社員一人ひとりが「これが自分たちのバリュー」として納得できて、かつ共感できるものにしたいという強い想いがありました。

そこで、全社員を対象にアンケートを実施したんです。自由回答で記述式にしたのですが、単語だけが並んでいる回答もあれば、びっしりと書き込んでいる回答もあり、いろいろな考えがありましたね。

アンケート設問の設計では、バリューにつながる言葉をきちんと拾えるように、質問の仕方を工夫しました。「ユナイテッドのいいところはどこ?」「ユナイテッドとして、これからどんな風になっていきたい?」「ユナイテッドがより成長していくために必要なことは何?」など、未来に向かうポジティブな発想の項目が中心です。

バリューの策定に向けて、“ユナイテッドらしさ”と向き合って考えるきっかけを、社員に持ってもらえたと思います。

編:最終的にどのような言葉になったのでしょうか。

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この言葉に至るプロセスについては、キーワードの抽出後、経営陣と採用育成部のメンバー、現場社員で計4つのグループを作り、グループワークを行いました。各グループで必要だと思うキーワードを選び、「その言葉の意味するところは何か」「なぜそれが必要か」「それが将来どうつながるのか」「どのような場面で使われるのか」など、さまざまな角度で議論を繰り返しました。

そうした議論を踏まえて、最後は早川(代表取締役会長CEO)と金子(代表取締役社長COO)、当時の私の上司、そして私の4人で決定しました。

編:改めて完成までのプロセスを振り返ってみるといかがですか。

「いいものを作りたい」という気持ちはありましたが、そのために何をすればいいのかはずっと手探り状態で、常に試行錯誤していた気がします。当社の研修や採用に携わっていただいている外部の方にアドバイスをいただきながら、他社のバリューを参考にしたり、ときには直接お話を聞きに行ったりもしました。

最初に策定の年間スケジュールを引いたのですが、全くその通りには進みませんでした(笑)。バリューの発表は2018年4月でしたが、実は発表タイミングは組織コンディションを鑑みて2度見送っています。今か今かという感じで、4月に発表できたときは「やっと出せた」と、達成感とホッとした気持ちが入り交じりましたね。

編:責任重大かつ、時間のかかるプロジェクトだったかと思いますが、どのような思いで取り組んでこられたのでしょうか。

経営の意志としてバリュー策定の目的が明確にあったので、プレッシャーなどを感じることはありましたが、会社のビジョン実現に向けて重要なことを担っているという自負があり、やりがいを感じながら取り組んできました。

このバリューは今いる社員、そして今後ユナイテッドを創っていく未来の社員のスタンスになります。社員が迷ったときには心の拠り所になってほしいですし、より良いパフォーマンスの原動力にもなってほしい。そうした未来のことまで見据えて取り組むことができたのでなかなか思うように進められず辛い時期もありましたが、常に気持ちを前向きに保つことができました。

編:バリューにちなんで、全社員おそろいのスニーカーを制作したと伺いました。スニーカー制作までのプロセスを教えてもらえますか。

バリューを日常化させるには「社内で話題になるくらい意外性のあるもの」が必要だと考えていて、他社さんではやっていないオリジナリティのある施策をとにかくブレストしました。そこで生まれたのが『スニーカー』です。

バリューに因んで『№1』の素材を使っているもの、『チャレンジ』を表せるもの、などを考えていた中で、『自責自走』に因んだスニーカーというアイデアが出た時には、いろいろなものがピタッとはまったと感じました。

そこで、まずはスニーカーのメーカーさんに手あたり次第連絡しました。全社員分を準備しようとすると200足になってしまうので、数量の問題で引き受けていただけない状況が続きました。とにかくお電話をして製作の背景や意図を説明する毎日でしたね(笑)。

最終的に引き受けてくださったのがアディダスさんでした。いくつかご提案をいただきながら、型は既存のもので、カラーなどをカスタマイズできるスニーカーに決定しました。最終的にカラーはコーポレートカラーを使って3種類のカラーバリエーションで製作し、インソールには社名が入っています。

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編:社員の方々の反応はいかがでしたか。

とてもいい反応でした。朝会で採用育成部から簡単に経緯の説明をして、その後一人ひとりに渡したのですが、その場で履いて喜んでくれている社員もいました。今も社内で履いている人がいますし、プライベートでもジムでトレーニング時に履いている人もいるようです。制作者としては、とても嬉しいですね。

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編:ほかに、バリューに関連した取り組みは何か行っていますか?

社内の『ハーバー』というリラクゼーションスペースの本棚に、バリューコーナーを作りました。弊社には外部のブックコーディネーターがいて、その方が5つのバリューに因んだ本をピックアップしてくれています。社員はその本を自由に手に取ることができ、バリューに対する興味喚起ができていると思いますね。

他には、役員全員の『バリュー宣言』をしています。「この1年、〇〇のバリューにコミットします」と、ウェブ社内報で役員全員がバリューに対する約束をしています。そうすることで、経営陣が率先してバリューを体現しようとしています。

社員向けには、『バリュー賞』という取り組みも実施しています。『みんレポ』という全社員が閲覧可能なメール日報の中から、最もバリューを体現している仕事や行動を週次でピックアップし表彰するという取り組みです。

事業部長以上が“持ち回り”でピックアップすることで、直接自分の上司ではない部長や役員に日々のアクションが注目される機会を創出し、日報を書くモチベーションにもつながっているようです。

編:今後、バリューに関して考えている取り組みなどはありますか。

今はまだバリューを社内に浸透中の段階なので、カジュアルな施策が多いですが、今後はより事業や業績にも紐づけた戦略的な取り組みにチャレンジしていきたいです。

同時に、社外に向けた広報にも積極的に取り組んでいきたいと考えています。まだまだやるべきことは多そうですね(笑)。

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筆者

竹井淳子

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