2016/11/04

ママ社員向け社内報『ママ報』が生みだす社員と会社のつながり

“働き方”改革のパイオニアとして、多くのチャレンジングな制度を生みだす株式会社サイバーエージェント。働くママ社員が増える同社で、「ママ(mama)がサイバーエージェント(CA)で長く(long)働く」という想いから2014年に生まれた『macalon(マカロン)パッケージ』に今年6月、新たに3つの制度が追加されました。

前編ではそのうち『おちか区ランチ』『認可外保育園補助』についてうかがいました(前編はこちら)。後編では『ママ報』について詳しくご紹介していきます!

前編に引き続き、『macalonパッケージ』立ち上げメンバーである人事の田村さんにお話をうかがいました。

編集部(以下、編):先輩ママ社員の体験談や会社の最新情報を伝達する『ママ報』ですが、これにはママ社員同士だけでなく、会社とママ社員をつなげる役割もあるようですね。

『ママ報』は働いているママ社員はもちろん、産休・育休中の社員の自宅にも郵送しています。3つの制度を新しく導入しようと構想を始めたのが2016年の初頭。私は仕事に復帰してちょうど一年くらいで、新しい制度づくりにも関わっていました。

育休・産休の実体験で感じた不安のひとつが、休み中の会社との距離です。社員のソーシャルメディアや社員総会への参加から、何となくは会社の状況を理解できていましたが、やはり働いているときのような“生の情報”が入ってこないことに寂しさを感じていました。

周りのママ社員に聞いたところ、やはり同じような不安・寂しさを抱いていたことから、産休・育休中のママ社員と会社をつなげるものを作りたいと思い、『ママ報』が生まれました。

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『ママ報』創刊号の表紙

 

編:「復帰したら浦島太郎状態だった」という話、多くの会社で聞かれますよね。会社とママ社員をつなげるために、『ママ報』ではどのような情報を載せているのでしょうか。

まずは会社の様子を感じてもらおうと、社員総会の様子や社長のプレゼン内容、表彰された社員を紹介しています。同じ部署の人が表彰されていたりすると、「あの人、頑張ったんだな」と産休・育休中のママ社員にとっても励みになっているそうです。

ただ、それだけでは普段発行している社内報と変わらないので、ママ社員が安心できる情報を選んで掲載しています。創刊号は『おちか区ランチ』のリリースも兼ねた刊行でしたので、『おちか区ランチ』でのママ社員同士の会話を具体的に紹介しました。

また、復帰して働いているママ社員の一日のタイムテーブルも好評でした。同じ会社のママ社員なので、復帰後の自分の働き方を具体的にイメージできることが大きいようです。

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編:あとはどのような反響がありましたか。

先輩ママ社員のインタビューを見て「この人に会って詳しく話をしたい」という声をもらいました。参考になる情報を届けられたのかなと感じた瞬間でしたね。

一方で、ママ社員以外からの反響も大きかったことは驚きでした。『ママ報』をきっかけに、出産を経験していない社員が将来の働き方を考えたり、男性社員がパートナーを気遣うようになったりしたそうです。

編:そのうち『パパ報』も登場しそうですね(笑)。『macalonパッケージ』全体として、当事者のママ社員の満足のみならず周りの社員の理解や巻き込みがうまく回る設計になっていると感じます。

私たちは制度を作るときに「シラケのイメトレをしておく」という鉄則を大事にしています。制度の対象にならない社員の不公平感や反発を徹底的にイメージする、ということです。

「働く女性をサポートする」という言葉だけを聞くとすごくいいことに聞こえます。ただ、会社には多様な社員が在籍していて、男性もいれば、まだ子育てをしていない人も、産むことを選択しない人もいます。社員全員にとって100パーセント公平な制度は難しいのですが、「シラケない」ことにこだわっています。

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編:ここで言っている「シラケる」とは、具体的にどういった状態なのでしょうか。

例えば、『エフ休』『妊活休暇』で女性の休みが増えると、上司や周りの男性社員は「どうして女性ばかり休めるんだ」と不公平を感じる可能性がありますよね。私たちは制度を始める前に、そうしたメンバーを持つ管理職に「どういう休まれ方をされたら不信感を抱きますか」というヒアリングを行いました。

すると「頑張っている社員が本当につらいのを我慢していたら、ぜひ休んでと言いたくなるけれども、普段から勤怠が悪い人が『エフ休です』と当然のように権利を行使されるとやっぱり嫌」というような声があがってきました。これが「シラケ」だと考えています。

こうした「シラケ」を生まないように、『macalonパッケージ』を導入する際はまず説明会を上司向けと、利用する女性向けとに分けて実施しました。それぞれに向けて、「この制度はお互いに配慮し合ってこその制度で、当然の権利だと思った時点で成り立たなくなる。そこは理解して活用してください」と伝えました。

編:なるほど。『macalonパッケージ』で「シラケ」が起こってしまった例はあるのでしょうか。

嬉しいことにまだありません。徹底的に「シラケ」をイメージしたこともありますし、制度を使う社員の側も会社の意図をきちんと理解して活用してくれていることが大きいと思います。むしろ「うちにはこんないい制度があるよ」と積極的に社外に発信してくれています。

編:もし他の会社で『macalonパッケージ』を真似したい場合に気をつけるポイントはありますか。

「安心」と「挑戦」のバランスは大切にしています。『macalonパッケージ』は「安心(福利厚生)」に近い制度ですが、「安心」ばかりを充実すると享受するのみの人が増えてしまう可能性があります。

「安心」の状態を足掛かりに、ますます「挑戦」してもらう。そのセットで会社も社員もますます発展していけるのだと考えています。

編:制度を作る側の偏らない視点が秘訣なのですね。とても勉強になりました!ありがとうございました。

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ミーヌ

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