2018/09/06

老舗企業ハナマルキが取り組む、未来志向の100周年イベント

1918年(大正7年)11月1日に長野県で創業し、2018年に100周年を迎えたハナマルキ株式会社

『次の100年へ』をテーマに100周年プロジェクトを立ち上げ、2018年5月26日(土)・6月30日(土)に、全社員とその家族を対象とした周年イベント『感謝の集い』を盛大に執り行いました。

ハナマルキでは、この100周年という節目の機会をどのように捉えていたのでしょうか。100周年プロジェクトを担当した、取締役マーケティング部長 兼 広報宣伝室長の平田伸行さんに、このイベントに込めた想いや、イベントによってもたらされた効果について伺いました。

編:『次の100年へ』というテーマはどのような背景で策定されたのでしょうか。

2015年に100周年のプロジェクトチームが発足したのですが、100周年のテーマは、過去を振り返らない、未来へ向く「次の100年へ」でいこう、と速やかに決定しました。2012年に『液体塩こうじ』という独自開発した新商品を発売し、それが将来の主力商品になり得る可能性が見えてきていて、3年後の2018年にはその可能性がさらに大きくなっているはず、「未来へ向いていく」という方向性は社内でも共感を得られるだろうと考えていました。

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編:100周年ロゴも創られたと伺いました。制作の背景やデザインの意味などを教えていただけますか。

100周年の象徴となるものが欲しかったので、ロゴを創ることにしました。今回はデザイン性を重視、「次の100年」をイメージできるもの、というオーダーで、外部パートナーの方にデザインしていただきました。

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コンセプトは、『たくさんのH』です。100周年の“100”にも見えますが、“H”が繋がっているようにも見えるシカケになっています。「次の100年」を感じさせる先進的なデザインのロゴに仕上げました。また、“H”には社名である「Hanamaruki」、100周年の「Hundred」、伝統を進化させるための「Hybrid」、温かい家庭をイメージさせる「Home」など、さまざまな意味を内包しています。

編:社員の方が対象の社内イベントで、マーケティング部や広報宣伝室を担当されている平田さんが事務局になるのは珍しく思います。何か意図はあったのでしょうか。

私自身、マーケティング部として参画していたわけではなく、2015年に立ち上がった100周年プロジェクトチームの一員として参画していました。委員は、座長を務める社長、専務、経営管理部管掌の取締役、経営管理部長、そして私の5名です。100周年のプロジェクトに関われること自体が光栄なことだと思っていましたので、私が率先して旗振り役となり、プロジェクトチームの想いをくみ取りながら、意志をもって進めました。

プロジェクトが立ち上がった段階で、大きなテーマが2つありました。ひとつが長野県の伊那工場に『みそ作り体験館』を新設することです。こちらは建築会社の方と早々に動き出し、すでに建物は完成、2018年11月1日にオープン予定です。

そしてもうひとつが、社員とその家族に感謝を伝えたい、ということでした。ハナマルキが創業以来守ってきた、「社員を大切にする経営」に通ずる考え方です。そこで100周年という節目に、日ごろの感謝と慰労の気持ちを伝える『感謝の集い』を開催することにしました。

 

編:『感謝の集い』としてイベントを企画するにあたって、特に意識したことはありますか。

全社員とその家族が一堂に集うイベントというのは、今の社員は初めての経験になりますし、しかも100年に1度のイベントですから、一人ひとりの心にしっかり響き、深く記憶に残るものにしたい。そして社員はもちろん、そのご家族にも日ごろの感謝をしっかり伝えて、「ハナマルキで働いていてよかった」と思ってもらうことを意識していました。

くわえて、ハナマルキへの“誇り”を改めて感じてほしいという考えもありました。大正時代から100年も続き、商品力も極めて高くブランド力もある。そして新製品の開発にも積極的に取り組み、世界の調味料に変革を起こそうとしている。この「感謝の集い」を通じて、その「誇り」を全員で共有できればいいなと考えていました。

そこで今回は、『次の100年へ』というテーマの下でクリエイティブに一貫性をもたせ、イベント全体を通して「新しい時代のはじまりと期待」をメッセージングできるよう、コンテンツを細かく設計しました。

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編:では、100周年イベント『感謝の集い』について詳しく伺わせてください。

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編:冒頭で投影したオープニング映像は、どのようなコンセプトで制作されたのですか。

会のスタートにふさわしい、ワクワク感を醸成できるような映像にしたいと思いました。「みそ作り体験館」が、まさに「次の100年」を象徴するインパクトのある建物でしたので、題材として「みそ作り体験館」を使うことは早々に決めていました。あとは細かな表現の部分をどうするかでしたが、制作会社の方にはいろいろと表現の工夫していただきました。

オープニング映像は、イベントの始まりを象徴するだけではなく、イベントの意味や目的、世界観を伝える重要なコンテンツです。ですので、映像の“画”の面白さだけではなく、音や言葉の持つ力も活かそうと、コピーライティングにもこだわりました。

制作会社の方に私の想いをうまく言語化していただき、素晴らしい映像に仕上げていただきました。

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編:この日は料理にもこだわられたと伺いました。どのあたりを工夫されたのでしょうか。

当社は「液体塩こうじ」という汎用性の高い調味料を持っていますので、液体塩こうじを使った、オリジナルの「100周年スペシャルメニュー」でいきたいと考えました。普段、社内で液体塩こうじを使った調理や試食はしていますが、社員がこれまでに体験したことないメニューを提供したい。その意図をシェラトン・グランデ・トーキョーベイホテルの料理長にお伝えしました。

編:具体的なメニューのリクエストなどもされたのですか。

こちらからは、液体塩こうじを使っていただくことだけをお願いして、メニューについての具体的なリクエストは一切していません。すべて料理長にお任せして、事前に試食だけさせていただきました。メイン料理をフィレかサーロインを選べるようにしたり、子ども用のメニューも年齢に応じて3種類ご用意いただいたり、食物アレルギーについても考慮いただいたりと、非常にきめ細かく対応していただきました。

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編:歓談中に上映された映像は、どのような映像ですか。

海外で液体塩こうじを展開するために使用しているプロモーションビデオです。アメリカやフランスの有名シェフに『液体塩こうじ』を使っていただいていますが、そのシェフのインタビューで構成されている映像です。液体塩こうじが、海外の有名シェフにも評価されていることを、社員のご家族にも伝え、「次の100年へ」の可能性を感じてもらいたいと考えました。

編:歓談中はゲーム大会もやられたのですね。

幅広い年齢層がいる中でみんなが楽しめるゲームコンテンツは何か、時間的な制約もあり、実は企画内容はとても悩みました。どんなゲームなら時間をコントロールできるか、何度もシミュレーションした結果、じゃんけんを織り交ぜた○×クイズを行うことに決めました。

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最初はじゃんけんをして一気に人数を絞り、勝ち残った20人くらいを壇上にあげて〇×クイズを行いました。5位以上に賞品を出したのですが、壇上にいる人だけの勝負になってしまうと見ている方は盛り上がらないので、「テーブル賞」として勝ち残った人と同じテーブルについている人にも賞品を用意しました。その甲斐もあり、会場からも声援が上がり、最後まで盛り上がりました。

編:1位の賞品が社長手作りの燻製サーモンだそうですね。

これは社長自らが手掛ける一品で、実は社内でも有名です。ただ、お客様への贈答用ですので、社員の口に入ることはありません。私は、たまたまテレビ撮影の機会があって食べたことがありますが、燻製の概念が変わるほどのおいしさでした。

社長は「これが1位の賞品でいいのかな」と言っていましたが、私はこれ以上ふさわしいものはなかったと思います。当日は、社長から直接サーモンを渡す演出でしたが、とても和やかなムードになりました。受け取った社員も大変喜んでいて、周りにいた社員も羨ましがっていました。

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編:終演セレモニーでは日本フィルハーモニー交響楽団の演奏があり、おなじみのサウンドである「おみそな~ら ハナマルキ」の演奏もあったそうですね。

イベントの前に楽団の皆さんとお話しする機会がありまして、私が冗談半分で「おみそな~ら ハナマルキ」の演奏があったらおもしろいですね、とお話ししましたら、快く引き受けてくださいました。ただ、実は、そう簡単なことではなかったようでして、オーケストラ用に編曲して全員で音合わせをして、とかなりご負担をおかけしてしまいました。楽団の皆さんが、このイベントを盛り上げようと引き受けてくださったのだと思います。ありがたく、嬉しいことですね。

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編:会の終わりには、当日撮影した映像を即興で編集したエンディング映像を上映したそうですね。

会の最後のコンテンツですから、このエンディング映像は相当にこだわりました。映像については、当日は記録映像用のカメラを2台入れ、カメラマンだけではなく撮影箇所を細かく指示するスタッフもアサインしたことで、入場から退場まで参加者の豊かな表情が撮影できました。ただ、映像だけなく、音楽、メッセージコピーも重要で、音楽は制作会社の方に素晴らしいチョイスをしていただきましたが、問題はメッセージコピーで、この内容は何度も書き変えて、イベントの直前でようやく仕上がりました。

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編:『感謝の集い』を無事終えられて、いまどのように感じていますか。

まずは終わってホッとしています。過去、ハナマルキでこんなに大きなイベントを開催する機会はなかったこともあり、実はすごく不安でした(笑)。

ただ、実際に開催してみて、その不安は全く必要のないものでした。社員やご家族から「参加してよかった」という声をいただくことができました。中には「エンディング映像で涙が出た」というコメントもあり、非常にやりがいのある、楽しい仕事をさせていただきました。会社の想いや考えをメッセージするのは、こうしたイベントが間違いなく有効だとも思いました。

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今回のイベントは、社員とその家族に、「ハナマルキに誇りを持ってもらう」こと、「次の100年を感じてもらう」ことを目指しました。これをきっかけとして次の100年に向けて、全社一丸となって進んでいきたいですし、今後、事あるごとに、この「感謝の集い」のことが社内の会話で出てくれば嬉しいですね。

編:イベント後、社内に変化は見られますか。

イベント当日の様子について、「映像がよかった」とか、「食事がおいしかった」とか、仕事以外の会話のきっかけになり、当社が目指す「ハイコミュニケーション」につながっているかなと感じます。

このイベントをきっかけに、社内から「もっとこうしましょう!」「これをしたいです!」という自発的な声やアクションがより活発化してくるような気がします。社員一人ひとりがハナマルキの新しい価値を生み出していけるようになると、より強い会社になっていきますね。

社長とも「あのイベント以降、イベントの話が共通の話題になって、社内での会話がより盛り上がるようになりましたね」という話をしていました。また、社長より「10年に1度くらい、こうしたイベントをやるのもいいね」とのことでしたので、その時が来れば、今回以上のイベントになるよう企画したいと思います。

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筆者

三浦蒔子

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