2018/03/14

社内情報を透明化するマイクロアドの社内ラジオ『スケスケラジオ』

会話や音楽などの音声信号を、電波に乗せて送受信するラジオ。テレビや動画共有サイトなど、映像での情報配信が主流となる一方、ラジオもスマートフォンの初期設定アプリケーションとして搭載され、身近なチャネルとなっています。

データとテクノロジーをかけ合わせたマーケティングプラットフォームを提供する株式会社マイクロアドでは、そんな“ラジオ”を社内コミュニケーションチャネルとして活用しています。その名も『スケスケラジオ』。

ラジオパーソナリティとしてこの社内ラジオを盛りあげている福田裕也さんと山田真利さんに、『スケスケラジオ』の狙いや反響についてインタビューしました。

編集部(以下、編):社内の情報を発信するチャネルとして、ラジオを活用されていると伺いました。取り組みを始めた背景を教えていただけますか。

 

山田さん(以下、山):弊社は『Redesigning the Future Life』未来の生活をリデザインする、というビジョンの下、各部署が業務に取り組んできました。設立から10年が過ぎ、複数の職種や多様な経歴の社員が増えてきた中で、ビジョンの浸透や社員同士での気軽な情報交換が難しくなってきました。社歴の長い社員や経営層と近い存在の社員はビジョンを良く理解していましたが、社歴の浅い社員には伝えきれていない状態でした。

そこで2017年4月、全社が一丸となり、同じベクトルに向かって事業の動きにドライブをかけていこうと、新スローガン『REBORN』が発表されました。その内容を踏まえて組織の課題を語るミーティングを行い、社内の情報を発信する施策を企画することが決まりました。そこで生まれた施策のひとつが『スケスケラジオ』です。

山田真利さん

福田さん(以下、福):入社者プロフィールやその人の得意分野、社内イベントの様子、新しいプロダクトの状況といった、これまで一部の社員しか知らなかった情報を全社に発信し、透明化をはかりました。

「色んなバックボーンをもっている人がいるから面白い」「世代や部署を越えたコミュニケーションを広げる」「成果を収めているひとを褒める」という創業期から培っていたマイクロアドらしい文化を、あらためて復活させる狙いがありました。

福田裕也さん

編:“情報を発信する”という観点でさまざまな施策を検討されたと思うのですが、なぜラジオを選ばれたのでしょうか。

福:ラジオはセキュリティさえ守れていれば場所を問わず、通勤中や休憩中などいつでも聴くことができるからです。映像がない方が集中して情報が入ってきますし、そもそも映像を撮影しようとすると少し仰々しくなってしまうのではと思いました。あとは単純に、遊び心のあるおもしろい場が必要だと感じていました。

編:スケスケラジオはどのように運用されているのですか。そもそも、スケスケラジオというネーミングの由来はどこからきているのでしょうか。

山:社員のミッションや想いを透け透け(スケスケ)にし、社員同士が助け(スケ)合うことで、会社がスケール(スケ)するきっかけにしたい、という想いをこめて『スケスケラジオ』と名付けました。

『スケスケラジオ』を告知する社内掲示ポスター

配信は毎週木曜日で、ポータルサイトと動画共有サイトでアップして全社告知しています。1回あたり約40分間で、前半はゲスト社員を招いた対談コーナー、後半はリスナーからのお便りコーナーという二部構成です。

福:対談コーナーでは、パーソナリティである私と山田が、ゲスト社員に入社動機や仕事内容を聞きながらその方のパーソナルな面を掘り下げていきます。最後は「マイクロアドのいいところ」「期待していること」「今後あなたはどうしていきたいか」など、ポジティブな話で締めるように意識しています。

編:対談コーナーに出演されるゲスト社員の方は、どのようにキャスティングされているのですか。

福:そのタイミングで出演してほしい社員は誰か?は、非常に意識してキャスティングしています。例えば、直近の昇格者やプレスリリースを出した社員、MVP受賞者などです。

実は、当初は出演予定者をある程度先まで事前に決めていたんです。ただ全社の状況が変化する中で、社員に共有したい文脈とずれてしまうことがありました。そこでゲストは収録の1週間前に決めるように変えました。前回の放送内容との繋がりや部署のバランスも考慮して、タイムリーに決定しています。

『スケスケラジオ』の次回出演者を社内のモニター掲示板にて告知

編:運用をする上で気をつけていることはありますか。

福:ひとつは他の社内施策と連携することです。例えばトップメッセージのコンテンツ補完の場として活用しています。社員総会での社長メッセージは、社員総会を金曜日の夜に開催することが多いため、飲んで寝たら内容を忘れがちです。そこで翌週のラジオに社長を招いて、「社員総会でのメッセージ、あれってどういう意味だったんですか」とあらためてインタビューします。

山:あとはリスナー視点も大事にしていて、社長や社員に感想を直接聞くようにしています。配信時間を40分にしていることも、動画共有サイトにアップし始めたことも、「もう少し短い方が聴きやすい」「移動中にも聴きたい」というリスナーの声を反映した結果です。

惰性にしないことにも取り組んでいて、今年のお正月には正月特番を配信しました。役員から順番に挨拶をもらい、最後に社長が2018年の抱負を語る内容です。

福:これは1月1日に聴けるようにしました。ですので、12月中に「あけましておめでとうございます」という挨拶をやり合いました(笑)。コンテンツに変化をつけて、少しずつ良くしていきたいですよね。

編:ラジオでの情報配信を続けてきて、社員の方の反応はいかがでしょうか。

山:「通勤時間に情報収集できることが嬉しい」「部署を越えた交流のきっかけになりました」「雰囲気が明るくなった」「一体感がでる」といったポジティブな反応が多いです。

配信も30回を超えてスケスケラジオ自体が徐々にブランド化されており、「出演するのが夢です!」と言ってくれる社員もいます。出演した社員は喜んでくれていると信じています(笑)。また、同じ部署の仲間が出演するときには、収録している会議室まで見に来てくれる社員もいます。

福:対談では仕事の極意やノウハウについても深く語ってもらっているので、営業で活躍している社員の営業手法を聞いたリスナーから「勉強になります」という声をもらったこともあります。業務のナレッジ共有にもなっていますね。

編:他社でも同じようにラジオを始めようとしたら、担当者の方はどのような点に気をつけたら良いでしょうか。

山:ラジオありきではなく、目的を明確にした上で施策を行うことでしょうか。スケスケラジオは社内のコミュニケーション課題から生まれた背景があります。何のためにやるのかをブレずに持っておかないと、担当する側も協力する側もモチベーションの維持が難しくなると思います。目的を明確にした上で、その手段としてラジオが適正であればやる、という感じです。

また、私が個人的に大切にしていることは、担当者としてスイッチを入れることです。ある意味、違う人格になりきって演じるというか(笑)。ラジオをやり始めたころは緊張していましたし、今でもリスナーがどんな風に思っているのか気になります。だからこそ自分を奮い立たせて取り組んでいます。

福:山田はラジオ収録がある日は、朝のお化粧から気合を入れているらしいです。顔は映らないのにですよ(笑)。でも、それだけ想いを込めて向き合っているのだと思います。

私が開始当初から意識しているのは、経営陣の息をかけないことです。コミュニケーションチャネルとして社内でも認識されたおかげで、社内のいろいろな方から「この人を出演させてほしい」「この人にスポットを当ててほしい」という依頼を受けることがあります。

ですが、あくまで「社員には今、どのような情報が必要か」という視点で、文脈上で違和感のあるものは偉い方からの依頼でもお断りするようにしています。聞くのは社員で、経営陣に聞かせるためにやっているわけではありませんからね。そういう意味で、社長が出演するときは「聞かれたら嫌だろうな」ということも聞きます。実際、嫌そうな顔をしてましたが(笑)。

編:今後はどのようなことにチャレンジしていきたいですか。

山:スケスケラジオは台本がないので、ゲストの飾らない自然な声を聞きだせる施策だと思います。その利点を活かし、例えば新たなプロジェクトが走り出したタイミングでその関係者をまとめてお呼びし、発足の経緯や実態、そのプロジェクトにかける熱い想いや今後の野望などいち早く社内へ伝播する様な取り組みも企画したいと思っています。また、そうした“社員の想い”を社外にも発信していきたいと考えています。

福:社内だけではなく、社外も巻き込んでいきたいんですよね。ほかにも、営業が取引先の方をお招きして一緒に出演いただく構想もあります。マイクロアドのプロダクトをテーマに語っていただくことで、実際に使用しているお客様のリアルな声を伝えることができるのではと思っています。

目指しているのは、「今日のラジオ面白かったよ!」「誰々さんがあんな話してたよ」と社員同士で声を掛け合い、スケスケラジオでの情報収集が当たり前の風土をつくることです。役員がゲストの回は既にそうなりつつあるのですが、すべての放送において興味喚起をどれだけできるか、今後も試行錯誤していきたいです。

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筆者

三浦蒔子

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