2016/07/28

本気で働き方改革!決意を表すカルビーのオフィスに潜入

パンケーキにフレンチトースト、はたまたかき氷とオシャレなスイーツが次々と登場する昨今。でもやっぱり、家で一息、パーティでわいわい、オフィスでリフレッシュ、そうした場面で欠かせないのは懐かしのあのお菓子たち。

ポテトチップス、じゃがりこ、かっぱえびせん…、大人も子どもも魅了するカルビー株式会社のロングセラーです。最近ではフルグラの大ヒットも記憶に新しいところ。

こうしたヒット商品を生みだし続けるカルビーの職場には、果たしてどんな秘密があるのでしょうか。2つの取り組みをメインに、同社のコミュニケーションとワークスタイルの進化についてお聞きしました。

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東京駅八重洲口からすぐの本社に入ると、まず圧倒されるのは全長83.5mの横長で解放感にあふれたオフィス。総務人事や商品企画、品質保証など、本社機能を担う約300人の従業員が働くオフィスは、大人数でも顔をあげれば誰がどこにいるのか見えるように設計されています。

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席はフリーアドレス制。4人席でコミュニケーションがとりやすい「コミュニケーション席」に、仕切りがあって1人で集中できる「ソロ的」、さらに集中して仕事をするために電話・私語が禁止されている「集中席」の3つに分かれています。

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会長・社長の座席はオフィスの中央。仕切りも何もなく「おっ、ここに社長?」と驚いてしまうような、誰でもフラッと立ち寄れる空間。

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立ち話でもコミュニケーションがとりやすいようにと、キャビネットは約90㎝と低めに作られていて、パソコンを置くのにちょうどいい高さ。実際、そこかしこで立ちながら打ち合わせをしている人が。

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座席を決めるのは「ダーツシステム」。オフィスに入ってすぐに設置されている専用のパソコンで、「コミュニケーション席」「ソロ席」「集中席」から今日の自分の働き方に合った条件を選択すると、自動的に席が決まります。

コミュニケーション席とソロ席は最長5時間、集中席は最長2時間までと決まっています。つまり、1日に朝と昼の最低2回は席替えをしなくてはいけないということ。多くの人が昼休み明けに新しい座席を取り直すそうです。

ちなみに最長の時間は制限されていますが、時間内であれば1時間ごとに座席を選択し直すことができます。時間を意識した働き方をしてほしい、という意図が込められた仕組みです。

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社内外とのコミュニケーションに欠かせない役割を担う、広報の幕内理恵さんにオフィスづくりに込められた想いや意図について、お話をうかがいました。

 

インタビュー

編集部(以下、編)まずは、このようなオフィスを作られた背景を教えてください。

現在のオフィスに移ってきたのは2010年。それまでは、赤羽にある地上9階、地下1階立ての自社ビルに本社機能を置いていました。部署ごとに部屋があり、一人ひとりに固定デスクがあり、社長室がある、よくあるオフィスでした。

それが2009年に松本(代表取締役会長 兼 CEO)と伊藤(代表取締役社長 兼 COO)の体制になり、ガラッと変わりました。

特に松本は「人間は、横には動くが、縦には動かない」という言葉を持論にしています。誰かに話をするのにエレベーターや階段を使っていちいち移動していてはコミュニケーションは進まない、と。そのようなこともあり「まずはオフィスから変えていこう」と移転が決まりました。

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編:なるほど。勝手に座席が決まってしまう「ダーツ」という仕組みがとてもユニークですが、これはどのようにして生まれたのでしょうか?

実はフリーアドレスはここに移転する以前に、一部のオフィスで導入していました。ただその時は各自が好きな席に座る形式で、いつも窓際とか、仲のいい人で集まるとか、フリーアドレスといいながら緩やかに席が固定化している状況になってしまいました。

この経験を踏まえて、部署を横断した「本社移転プロジェクト」でアイデアを出し合い生まれたのが、ダーツで自動的に席を決めてしまう仕組みです。

編:環境も仕組みもガラッと変わったのではと思いますが、従業員の方からの反応はいかがでしたか?

最初は「ダーツで決めるなんて遊びじゃないか」「自分の部下がどこにいるか分からず管理ができない」といった意見も確かにありました。そうした話を移転プロジェクトメンバーが松本に相談したところ、「世の中にはフリーアドレスじゃない会社はごまんとある、嫌なら辞めたら?」と一刀両断。

その言葉を聞いて、メンバーも「ひるむことなくやっていこう」と自信を持つことができたようです。

編:「嫌なら辞めたら?」は、松本さんの本気度を感じますね。

そうですね。プロジェクトメンバーを鼓舞するための言葉だったと思いますが。もちろん意見の中でも建設的なものにはきちんと耳を傾けて改善しています。

フリーアドレスは導入から6年経過して、今ではもう固定席にもどれない、という従業員が多いように感じます。毎日のように社外の方がオフィス見学に来られるので、そうして注目されることが会社への誇りにもつながっているようです。

編:それ以外にも、このオフィスにして何か良い効果はあったのでしょうか?

やはりコミュニケーションの取りやすさは劇的によくなりました。

会長、社長の席も全く壁がないので、会長が出社してきたな、今なんか忙しそうだな、とすぐにわかります。会議室もガラス張りで、役員たちが集まってくると「何か起こったのかな」と察知できます。

弊社には業務の3原則「簡素化・透明化・分権化」という言葉があるのですが、問題も隠さず見せるオフィスの作りに「透明化」を実感しますね。

また、執行役員以下、部長や課長もメンバーと同じようにダーツで自動的に席が決まるので、若手の従業員の横に執行役員が座ることも。若手とお客様との電話を聞いて、「ちょっと今の話し方よくないんじゃない」と執行役員に注意される、なんて状況も起こっていますね(笑)。

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編:若手の従業員にとってはドキドキですね(笑)。

そうなんです、気が抜けないですよね(笑)。

私の場合だと、テレビ局から「今日中に生放送で使いたいので商品を送ってください」など、突然のオーダーが来たりします。ただ、本社には在庫がない場合もあるのですが、その電話がたまたま物流の担当に聞こえていて、「それだったら確かあったよ」と用意できたことがありました。フリーアドレスでよかった!と実感した瞬間です。

あと、お菓子の会社ですので試作品がまわってくることがあるのですが、それを食べながら周りの人と新しいコミュニケーションが生まれることもありますよ。

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編:フリーアドレスならではの効果ですね。オフィス以外で、働き方に変化はありましたか?

まずひとつは、上限週2回の在宅勤務が本格導入されたことです。今までの固定席・固定電話ではどうしてもオフィスという「場」に縛られがちでしたが、今はどこでも仕事ができる環境が整いました。

管理側の「部下が見えないと管理できないのでは」という不安もフリーアドレスで徐々に払拭され、心理的にも在宅勤務を受け入れやすくなり、男性も女性も制度を活用しています。

もうひとつは「ライフ・ワーク・バランス」の意識が高まったことです。カルビーでは従業員の生活(ライフ)を重視していて、こうした言い方をしています。

松本はよく「早く来て早く帰れ。仕事が終われば午後2時に帰ってもいい」と言っています。厳密にいうとコアタイムがあるので2時には帰れないのですが、意識としてはそのくらいでよいと。松本の発言と、ダーツスタイルの時間を意識する働き方、さらに様々な人事施策にチャレンジすることによって“効率的に働いて早く帰ろう”という雰囲気が定着してきました。

私自身、子育て中のため時短で働いているのですが、周りもそうした働き方を理解してくれているので非常にやりやすいです。

編:それだけのいい効果であれば、本社だけでなく全国に広がってほしいですよね。

実は、本社だけでなく支店にまでフリーアドレスが広がっています。本社のようなダーツシステムは人数的に合わないので、おもちゃのビンゴゲームを使って、出た数字で席を決める、などの工夫をしています。どの支店も本社からオーダーしたわけではなく、それぞれが自発的に始めてくれました。

編:少ない人数ならではの工夫もおもしろいですね!支店のみなさんにはどうやって広がっていったのでしょうか?

本社に出張で来てフリーアドレスを体験した人が、支店に持ち帰って始めてみたパターンもあるようです。そうした情報をイントラネットでもこまめに発信をしていて、そこを見て別の支店にも広がったり。イントラネットでのコミュニケーションにも弊社ならではの工夫があるんです。

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カルビーのコミュニケーションアップを後押しする2つ目の取り組み、“LOOP plus”は第2回に続きます!第2回はこちら(https://cd.zeroin.co.jp/cappy/calbeeintranet/)。

筆者

ミーヌ

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