2015/01/15
株式会社ZUU(ズー)は2013年4月に設立、「金融×IT」でエグゼクティブ層の資産管理と資産アドバイザーのビジネス支援事業を展開し急成長しているスタートアップ企業です。
組織の成長スピードを加速させる風土と取り組みについて、COOの原田佑介さん(写真中央)にインタビューさせて頂きました。
―ZUUの事業内容と社名に込められた意味を教えていただけますか?
金融資産3000万円以上の大衆富裕層以上層、私達は”エグゼクティブ層”と呼んでおりその方々向けに、資産運用等の金融コンテンツを提供しています。現在、12のメディアを運営しています。ユーザーの皆さまに株の投資などの資産運用をより身近に感じてもらい、自分の資産の中で投資にかける割合をより増やして頂くための支援をしています。
社名である「ズー」という言葉を聞くと、一般的には「ZOO(=動物園)」を思い浮かべると思います。その通り、一つには、世界中から多種多様な人材が集まる動物園のような場所という意味があります。それに対して、ZUUの”U”はUniversity(ユニヴァーシティ)。ともに学びあって、成長していける環境という意味を込めてます。以前は代表の冨田が教育者を目指していた事や、イェール大学でMBAを取得したときに、優秀な人材が世界中から集まって、学びあう場の魅力を感じていました。ですから、ZUUの事業もカルチャーの重要なポイントに”教育”というキーワードが入っています。長期的には、「全世界90億人が、共に平等に学び、競争出来る環境を創る」ことを目指しています。
―どのようなカルチャーのある会社なのでしょうか?
2013年、「25年後に時価総額100兆で、世界一の企業になる」というビジョンをボードメンバーで掲げました。ただ、道のりは遠く、CEOの冨田や僕が今世界一になれる器をもった人間かと言われればそうではない。まだ到底、米国のFacebookやAppleのレベルに達していません。じゃあどうやってなって行くか?と考えると、成長スピードを速めるしかないということだと思っています。普通の人が成長するスピードよりも圧倒的に速い速度でたどり着くために、成長角度には徹底的にこだわっています。それを実現すべく”鬼速PDCA”というカルチャーが生まれました。
―”鬼速”ですか…!?すごい速そうですが、一体どういう事ですか?
普通の会社で毎月の目標を立てて、月末に振り返りをして、次の目標を立てると思いますが、ZUUはそれを3日でやっています。PDCAを回すサイクルをすべて半週(3日)で回している。3日間のスパンで、何がどこまで進んだのか、そこで気付いたことは何なのか、それをもとに次のアクションにどうつなげていくのかを確認しています。
僕は3年間DeNAにいました。スピードの速い会社ではあったんですが、PDCAを回す速度が早かったかと言われれば、そこまで現場で意識していなかったと思います。カルチャーとして浸透しているわけではないので、なかなか回せない。ZUUではそこを徹底的に浸透させたかった。
やることは至ってシンプルです。シートにプランを書いて、DOがちゃんとアクションプランに落とし込まれているか。その目標に向かって、達成するためのステップがあって、TODOを再分化して落としこんで、ちゃんとやれているか。3日間でどこまでやったのか。やれなかった理由は何か?その細かい一つ一つのDOから何を得られたのか、インサイトを聴く経営陣・マネージャー陣が、その結果を受けて、CHECKの部分、どう変えていくのかを徹底的に確認していく。それを3日で行う、動いてなければミーティングで徹底して動かす。こういう風にPDCAを強引に回していきます。
やることが決まっている中での型にはまったPDCAと違い、スタートアップなので各個人のミッションや業務内容が次々変わっていきますし、ましてや新しくまだ見えていない事業作りの段階でPDCAを毎日レベルでどんどん回していくので、非常にスピード感を持って事業を進めることが出来ていると感じています。何より短期間でPDCAを回すと1週間で驚くほど事業が進むので、楽しいですね。
また、月に一回行う「Extraordinary meeting」では、ゴール目標である山に登るために個人が今の成長速度をどうしたら10倍に上げられるか、携わっているプロジェクトの成果をどうしたら10倍にできるか?という問いをした上で目標を立てています。これを会社全体では、事業全体がどうしたら1000倍のスケールで実現出来るか?という問いをいつも持っているので、その中での個人の10倍の成果を考えることは結構必須ですし、習慣化されていますね。個別の事業を創っていく時点ではリソースも足りないし能力も足りません。ですが、この発想を通じて必要な情報は取りこんでいくし、個人能力も上がっていくと考えていますね。
―スピードを加速させるために、業務レベルで具体的にどのような工夫をされていますか?
例えば日常のコミュニケーションでのスピードの見える化です。当社では基本的にチャットワークなどのチャットツールを使っていますね。正社員で12人しかいないんですが、その人数から考えるとものすごく多くのチャットルームが常に立ちあがっています。細かくプロジェクトを細分化して、それぞれに必要なメンバーをアサインして、ガンガン回していく。その中で特にこだわっているのはいかに早くアウトプットを出すかです。
メール文章作りで重要なポイントではない箇所で時間をかけているとか、悩んでいるとか無駄な時間でしかないので、細かくコミュニケーションを取りながらレビュワーと実行メンバーで全体の方向性を決めて、兎に角すぐにアウトプットを出すようにやりとりをしています。一日ほっとくと複数のチャットルームで100以上の未読が溜まっています。個々人やチームの動きがかなり可視化されているので、管理もしやすいですね。スピードが遅いプロジェクトが一目でわかりますので。もちろん全部のプロジェクトを画一的に見ているわけではありませんが、スピード感は合わせたいと思っています。
あとは徹底した効率化です。例えばGoogleの日本語入力で単語登録とかもこだわっていて、「君は何個やってるの?」と聞いて「10個です」と答えられると、「それだからメールのスピードが遅いのかもね。僕は100個以上登録している。」と言った感じで(笑)300個登録しているメンバーがいたりだとか。そうするとメール打つスピードだけでもどんどん速くなっていく。こういうことをすごく細かいディティールのレベルから共有しています。
―アウトプットにも時間がかかると思いますが、”鬼速化”する工夫などはありますか?
まずアウトプットは必要最小限にすることを意識しています。資料作成については、基本的にパワポは使いません。月一回の振返りミーティングなどでは必要かもしれないんですけど、スライドや資料の枚数の多さがその月の頑張った成果を表すようになってくると本末転倒じゃないですか。なので極力資料の作りこみは無駄だからしないようにします。振り返りも3日に一回の「なるほどシート」というシートで皆が1人10個前後の気づきを共有しているので、振り返りだからって長くなることはありません。
アウトプットの高速化における重要なポイントは、①成果対して精度の高い仮説を持って最短ルートで進めたか?と②その仮説出しのために必要な最低限の情報を最短ルートで集めながら進めているか?、という2点です。そもそも最初の仮説が中途半端だと後で何も得られない大きな非効率になります。ただここの仮説出しにも無駄な時間を使わずに、社外取締役の赤羽が提唱している「メモ書き」で一気に仮説を1〜数分でだします。またそのために情報が必要であれば、1つのことを調べることに対しても、意思決定をするために確からしい情報ってどっから得られるか?って言う問いを設定してからまず考えます。その界隈に詳しい人やルートがないかを探す。無ければメンバーに聞く。もし繋がりがあれば、その人にスカイプさせてください、ミーティングさせてくださいというところから入る。そうすることで、その道のプロの方々が数年かけて蓄積した知見を、大袈裟に言うとたった一時間で手に入れる。草野球からいきなりマイナーリーグでスタートできるんですね。
Extraordinariy meetingは半月に一度本社で開催されている。
―今後の事業の展望について教えてください!
もともと金融リテール市場というのは、売る側と買う側のリテラシーの差分があることで、売り手からすると手数料が高い売りたいものが売れるし、買う側からすれば「良いように言われて一方的に売りつけられる」というイメージがあるかと思います。それを解消するための金融の教育と良いアドバイザーとの出会いををより体系的、かつ効果的に行っていきたいと考えています。具体的には、前者はパーソナルレコメンドされた情報提供、後者は顧客に対してしっかりとコンサルティングをしてくれるアドバイザーと、金融資産に悩むユーザーのマッチングプラットフォームの構築です。
例えばアメリカでは、金融アドバイザー自体を自動化しているサービスも出てきています。情報をビックデータから引っ張ってきて、それをユーザーの行動ログやパーソナルな情報と照らし合わせながら、最終的にソリューションも全部自動で提供するサービスが登場しています。 しかし金融商品というのは、未来の自分の資産を増やしていくためのものですから、買った時点だとまだ資産が増えたかどうかはわかりません。不確実で、買ったもの自体に見えないリスクがある商品に関しては、人は中々踏み出せないと思ってます。金融商品については、最後は人からのアドバイスやひと押しがあって、お客様は商品を買うのではないかと考えています。
なので、最終的に誰のひと押しを得たいかというところまでをテクノロジー化する。例えばアドバイザーであれば、AさんとBさんの属性が全く違っていたとしても、ZUUのプラットフォームである程度ヒトを定量化をし、「あなただったらこのアドバイザーがいいですよ」というところまでを紹介できるような型を創ろうとしています。これまではアドバイザーを比較検討できなかったところを、テクノロジーを使って比較、選択することができるようにします。
全世界90億人が、共に公平な環境で学び、競争しあえる。世界中がオープン&フェアになり、夢に向かって挑戦できる。そういった環境をつくることが僕たちの長期的なビジョンです。
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CAPPY'S EYE
ZUUのオフィスに足を踏み入れると、メンバーの皆さんが情熱的にぎらぎら仕事をしている空気が伝わってきました。PDCAの速さを徹底的に高める事で、他社を寄せ付けないスピードを実現していることに純粋な刺激を受けます。人材採用も積極的に進めていくとのこと。時価総額100兆円企業にむけて鬼速成長を応援しております!
筆者
CAPPY編集部