2014/12/18
企業の経営効率化を実現するERP「ZAC Enterprise」の提供をしているビジネスソリューション事業と、クライアントのマーケティングやブランド戦略を設計するコミュニケーションデザイン事業を展開する株式会社オロでは、社内通貨「Oron(オロン)」を導入しています。デザイナー、エンジニア、営業、プランナーと多様な職種、新卒中途と異なる文化のメンバーが混在する中、コミュニケーションをフラットにする秘訣とは?
現在Oron運用を担当されている社長室の林泰宏さんと、立ち上げを担当された吉田奨さんに話を伺いました。
編集部(以下、編):Oronはどんな制度なんですか?
Oronは一緒に働く仲間に感謝の気持ちを伝える制度と、そこで使用する社内通貨の名称です。社員は会社から毎月3 Oronが支給され、支給されたOronは専用のWebサービスを介して贈ることができます。
株式会社オロ社長室の林泰宏さん(中)と吉田奨さん(左)
もらったOronはアイテムと交換することができます。交換アイテムは「ちょっといいモノ」をコンセプトに、利便性だけでなく、ちょっとセンスが上がるものを選んでいます。Mac Book Airを筆頭に、会社で履けるルームシューズやブランケット、ロゴを使用したオリジナルグッズも好評です。Oronでしか入手できないグッズもあって、例えばゴルフマーカーはゴルフをする社員に非常に人気です。HUMMER(30,000 Oron)もあるのですが、誰が一番に引き換えするか気になるところですね(笑)。
Oron限定アイテム一例(右上から時計回り):トランプ・マウスパッド・カフリンクス・ゴルフマーカー・コンパクトミラー
編:Oronはどのような背景で導入されたのですか。
もともと代表の川田が社内コミュニケーションを非常に大事にしていて。川田の「コミュニケーションを活性化できるきっかけを創ろう」というオーダーで動き出しました。当社が規模拡大に伴い従業員数が単体200人、連結300人に増員、本社のフロアも1フロアから3フロアに増床、支社の数も増え、拡大していたため、社内のコミュニケーション密度が希薄になりかけたことが背景にあったと思います。
オーダーを受けたとき、社員が毎日必ずアクセスする社内システム「ZAC Enterprise」上でコミュニケーションを促進できるものが作れたら面白いな、と。そこでプロジェクトを立ち上げ、ルール策定、サービス開発を行い、社員総会で発表。2012年11月に運用が始まりました。
編:Oronはどのようなタイミングで使われるのでしょうか?
プロジェクトや社員総会の終了後はもちろん、部署異動や結婚時にもよく贈られるようです。まだ数は少ないですが、海を越えて海外の関連会社に贈られることもあります。
Oronの受け渡しですが「誰が」、「誰に」、贈っているのか、すべてクローズにしていて強制力もありません。やりとりが他人から見えると、恥ずかしくて贈ることをためらう人もいます。Oronは集めることや贈ることが目的ではなく、素直な「ありがとう」などの気持ちを気軽に伝えられるツールであれば十分だと思っています。Oronだけでコミュニケーションが劇的に活性化するとも思っていませんしね。
感謝の気持ちを簡単なメッセージとともに贈りあう
編:他にはどのような施策に取り組まれているのですか?
「委員会」が活発です。例えば社内報の編集、PマークやISMSの更新、衛生管理などは事業部横断のプロジェクトチームを編成して、「委員会」として活動しています。あとはコミュニケーション活性化委員会もあります。花見、花火、BBQなどの季節イベントや、社員総会などの社内イベントの中心メンバーを担っています。最近ではブラジルワールドカップ観戦企画もやりましたが、早朝の試合は流石に参加者が少なかったです(笑)。
また、部活動にも会社から補助を出していて、現在は10団体が活動しています。補助にも認可基準があって事業部を跨いだ一定人数の参加が必要です。
編:そういった企画や催し事に対する社内の反応はいかがですか?
こちらもOron同様、強制力はありません。1つ特徴的なことは、役職が上のメンバーほど社内イベントに積極的なことでしょうか。代表が花火大会にお子さんを連れてきたり、役員が家族で参加されたり。年齢が高い社員は家庭があるため土日は参加し辛い、ということはあるかもしれませんが、「楽しいから参加する」自然な風土ができていると思います。
編:Oronも数多く実施されているコミュニケーション施策の1つ、ということですね。
感謝を伝えるツールなので、もらったら純粋にうれしい。その小さな喜びの積み重ねが社内の空気感を醸成して、社員同士の距離を縮めることにつながっていると思います。
私たちは「アイデアとテクノロジー」をコンセプトに事業展開しています。いくらテクノロジー(技術)があっても、アイデアがないと成り立たちません。そして、優れたアイデアは人と人とのコミュニケーションの中からしか生まれません。当社にはデザイナー、エンジニア、営業、プランナーと多様な職種、新卒・中途と異なる文化のメンバーが混在していますが、現在はフラットにコミュニケーションが取れている状況だと思います。いろいろなメンバーが働いているので、その1人1人が強みを発揮できる環境を作り続けたいですね。
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CAPPY'S EYE
「社内のコミュニケーション活性化」を目的に新しい社内制度を導入する際、その制度ですべてのコミュニケーション課題を解決しようとしがちです。しかし、1つの制度を導入したからといって、人と人とのコミュニケーションが急激に活性化するような特効薬はありません。オロのように様々な制度を複合的に運用し続けることが大切なのだと、あらためて感じました。(感謝を伝える社内通貨システムにご興味がある方はこちらからお問い合わせください。)
筆者
中島浩太