2018/02/14
編集者(以下、編):業務改善チームの全体像をお伺いできますか。
竹内さん(以下、竹):業務改善チームは、売上を上げつつ残業時間を減らし、働きやすさや社員満足度を高めることを目的としたチームです。
メンバーで週に1度、30分から1時間のミーティングをしています。残業時間を減らすには、業務のムダの削減がポイントになるので、ミーティングでは社員アンケートの結果から浮き彫りになった日常の課題や、メンバー自身が感じている業務への課題について、解決策を話し合っています。
業務改善チームミーティングの様子
編:どういったきっかけで業務改善チームが発足されたのですか。
竹:きっかけは社長からの指名で、立ち上げは2016年12月ごろでした。私は新卒2年目なのですが、入社してしばらく働いていると、「この業務を今やる必要があるのかな」「この業務を削減すれば残業が削減できるのではないか」といった働き方への違和感や疑問が出てきました。
私は仕事もしながら自分の時間も大切にしたいと思っています。オシャレもしたいし、友人とも遊びたい。もっと時間をバランスよく使えないかな、とずっと考えていました。
北野さん(以下、北):その様子を見ていた社長の「もっとイキイキ働いてほしい。不満をもっている社員の意見を大事にしよう」という想いから、業務改善チームが発足しました。
背景には、当時の完全退社が20時半だったのを、さらに早めていきたいという全社的な動きもありました。これは単に残業を削減するだけではなく、成果をあげるための生産性向上が前提です。ですので業務改善チームにはそのミッションを担ってほしい、という思惑です。
編:どのような方がメンバーとして参加されているのですか。
竹:メンバーは社長をはじめ、役員2名、あとは新卒1年目~3年目くらいまでの若手社員が参加しています。
私が業務改善チームのことを知ったのは本当にいきなりでした。グループウェアに会議の予定が登録されており、会議に参加してみると社長・役員・課長・チーフ・新卒1年目の私と同期の子の2人で正直驚きました(笑)
しかし社長から「本当に変えていきたい」という強い想いを聞き、同時に私たちへの期待を感じたので、全社の代表として「やっていこう」と思いました。
編:具体的な活動はどのように進めたのでしょうか。
竹:まずは各部署の業務を把握するため、現在行っている業務をすべて書き出すところから始めました。営業がやっていること、サポート部がやっていること、同じ業務内容がある場合は統一させ、削減できる業務は削減、分担できるものは分担しました。
また、時間がかかり効率が悪くなっている課題を把握するため「自分なりに改善できるところはありますか」という全社アンケートも実施しました。アンケート結果は、すぐに変えられるもの、変えられないもの、などのセグメントに分けて集計を行いました。
そこからは、例えば作成に10分かかっていた提出物を簡略化して1~2分で作成できるものに変更するといった、なるべく短時間で行えるような案を提案し、実行しています。
ルーティン業務や細かいところに目をつけ、日常の行動プロセスを改善し、業務効率化をはかっています。
編:冒頭うかがった、「完全退社を早めたい」というミッションに対しては、どのように取り組んだのですか。
竹:まずは『残業の見える化』をおこないました。自分のパソコンに「私は今日○時に帰ります」というカードをつけるシステムをつくり、退社時間を宣言し合うことで帰りやすい環境をつくったんです。カードは『19:00』『19:30』『20:00』の3段階になっており、注意喚起をうながすように20時に近付くにつれて赤くなるようになっています。
残業の見える化カード
残業を強制的に見える化したことで、「19時なので帰ってください!」と先輩後輩関係なく社員同士でアラートを上げられるようになりました。また『20:00』のカードばかりつけていると、「毎回このカードを貼っているよね」と突っ込まれます。自己申告することや、お互いが言いやすい環境になったことで残業への意識が変わったと思います。
北:また社内だけではなく、お客様にも弊社の取り組みや退社時間を徐々にご認識いただけてきているので、双方でしっかりとスケジュールを決められるようになっており、そういったお客様のご協力も大きいと感じています。
北野由佳理さんと竹内鮎美さん
編:続いて、メディア事業部では、個人の集中タイムを設けられていると伺いました。取り組みの全体像を教えてください。
北:メディア事業部の中で“ムリ、ムダ、ムラ”を失くそうと始まった施策で、『ZONE TIME』と呼ばれています。メディア事業部には、WEBのチームもあれば紙媒体のチーム、画像を作るチームもあり、個の作業時間が多いため集中する時間がそれぞれ違います。
そうした中で、メンバーから「集中している時間に話しかけられると、集中力が切れてしまう」「集中する時間がほしい」という声が多くありました。そこで13時半~15時までの1時間半、私語厳禁で集中する時間として設けたのがZONE TIMEです。
13時からの30分間は自分が行う業務をチーム内で共有し、ZONE TIMEが終わったあとにレビューを行う時間を設けています。レビューの時間を設けることで、以前は1時間半で終わらなかった作業が、今回はできるようになった、などメンバーの成長が可視化できる時間にもなっています。
編:ちなみにZONE TIMEの時間設定にはなにか意図があるのでしょうか。
北:午前中は普通にコミュニケーションを取り、お昼休憩が終わってから気持ちを引き締め直す意味でこの時間帯に設定しています。また、人間の集中力は90分しかもたないという話を聞いたことがあり、時間を90分としています。
編:メディア事業部以外のみなさんも、ZONE TIMEのようなものがあるのですか。
竹:営業部ではまだ導入していません。常に相談が飛び交っている環境なので、上司や先輩に話しかけられない時間があると逆に効率が悪くなってしまうかもしれません。しかし話にはあがっていますね。
北:現在はメディア事業部のみの取り組みですが、メディア事業部以外のメンバーも、社内にある集中スペースに行って黙々と作業をしていることがあります。
編:最後に、『ライフワークバランス大賞』について教えてください。
北:ライフワークバランス大賞は、売上目標を達成しており、かつ残業時間が少ない人を表彰する社内表彰です。全国の社員が参加する全体会議で毎月実施しています。
竹:業務改善チームを発足した当初は、「残業を削減しなくてはいけない。とはいえ、業務も沢山ある」「20時までは残っていいんだ」という考えや意見が多くありました。
そこで、目標を達成しながらも残業が少なかった人を表彰して称賛する、ということをやり始めたのがライフワークバランス大賞です。
北:人事部が事務局としてやっていることもあり、ただ表彰するだけではなく、しっかり人事評価にも反映されています。
編:表彰を取り入れられて、効果や変化はありますか?
北:この表彰はあくまで達成者の中で最も残業時間が少なかった社員が対象となります。「限られた少ない時間の中で目標を達成していく人が評価される」ということが、風土として少しずつではありますが定着してきたと思います。この表彰を続けている中で、「来月は表彰されたい」「来月はもっと頑張ります」というポジティブな声が増えてきました。
竹:また受賞者にはどのように残業時間を抑えたのかをスピーチしてもらっているのですが、すぐに取り組めるような内容が多く、ほかの社員たちの業務改善行動につながっていると感じています。
編:今後、取り組んでいきたいことはありますか。
竹:時間や残業に対しての意識が薄れないよう、今ある施策の継続と強化をしっかりおこなっていきたいです。
毎月第三水曜日に開催される、
月に1度、従業員が社内カフェスペースに集まって昼食を取るイベント、フレンドシップランチの様子
北:現在は業務改善チームが中心となって社内の働きやすい環境をつくってくれていますが、もっと一人ひとりが自発的に動けるような新しいプロジェクトをどんどんやっていきたいですね。
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CAPPY'S EYE
「生産性を高め、残業を減らす」ことが、昨今、多くの企業で課題になっています。では実際、世の中の企業ではどのような対策が施されているのか。
「雇用のミスマッチを失くすこと」を事業の軸とし、人材サービス企業として急成長を遂げている株式会社プレシャスパートナーズでは、社員が気持ちをひとつに、働く環境を自分たちが主体となって整えているそうです。
その取り組みについて、同社の広報部 北野由佳理さん、『業務改善プロジェクト』担当の竹内鮎美さんにお話を伺ってきました。
筆者
三浦蒔子