2017/01/27

クライアント、社員、チームをも繋ぐ社員の「プロフィール写真」、そのこだわり

スーツ姿が凛々しい男性に、笑顔がまぶしい女性、はたまた決めポーズの男性。何かの雑誌の切り抜き?と思うような写真の数々ですが、実は株式会社マクロミルの社員の写真です。社内外で使用するプロフィール写真は通常、入社の際に人事が撮影するか社員自身で用意する場合が多く、スマホで撮影したものや何年も前のものなど、格好良いとは言い難い写真になりがちです。

しかし同社ではこのプロフィール写真にこだわることで、社内外で今までにないコミュニケーションが生まれたといいます。そこで今回は、本プロジェクト推進者である広報室の大石真史さんと下瀬貴子さんにお話をうかがいました。

編集部(以下、編):これほどこだわって撮影するには、手間も時間もかかるかと思います。始めたきっかけを教えていただけますか。

大石さん(以下、大):お客様へのご提案時に提出する弊社スタッフ体制図や、外部セミナー等の講師としてお招きいただく際に使用するプロフィール写真が、テイストやクオリティがばらばらでお世辞にもカッコいいとは言えない写真ばかりだったことがきっかけです(笑)。

弊社はマーケティングリサーチを専門として、リサーチ結果をもとに企業やサービス・商品のマーケティングやブランディングのアドバイスをしております。部分的とはいえ、ブランドについてのアドバイスをしている会社が、ブランディングにこだわっていないと感じたら「本当にこの会社に任せられるのか?」とちょっと不安になりますよね。

私は広報という仕事柄、デザイン会社やWEB制作会社といったパートナー企業のデザイン性高い提案書を目にしてきました。その経験から、弊社もサービスで打ち出している世界観と、お客様の目に触れるものとの間にギャップがない状態を目指したいと感じたのです。

そこで2年ほど前に広報が音頭をとって、プロフィール写真だけではなくノベルティなども含めて、顧客接点の中でマクロミルのブランドに繋がるもののクオリティを上げていこうと『ブランディングプロジェクト』を立ち上げました。

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大石真史さん

 

編:なるほど。当初は社外からのブランドイメージを意識したプロジェクトだったのですね。

大:まずは広報から一部の営業部門に声をかけて写真を撮り始めたのですが、徐々に「うちも撮ってほしい」と声がかかるようになり、現在は120名以上いる営業社員の大半を撮影し終えています。

編:プロフィール写真が変化したことで、お客様からはどのような反響があったのでしょうか。

下瀬さん(以下、下):弊社の社員が常駐させていただいているお客様には、担当者の方に「10階に常駐しております。お気軽にご連絡ください」というプロフィール写真付きのマグネットを作り、お渡ししたことがあります。

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制作したプロフィール写真付きマグネット

 

デスクにマグネットを貼れるスペースがあるので、目についてよいのではという意図です。写っている弊社の社員が陽気な性格なのでちょっとふざけた写真なのですが、「なにこれ?」と笑われながらも使っていただけたようです。

 

下瀬貴子さん

 

編:確かに顔やその人のキャラクターが分かると連絡を取りやすくなりますよね。では、そのように社外向けに始まったプロジェクトが社内で話題になり始めたのは、何がきっかけだったのでしょうか。

大:プロフィール用の写真を撮影したついでに、社員一人ひとりの個性が出るポーズでも撮影をしていました。そのユニークな写真を弊社のイントラネット『NOW』上で、面白コンテンツのひとつとして掲載し始めたんです。

すると掲載された社員から次々に「(社内で)すごく声をかけられました」「今日1日で何人にも突っ込まれました」とたくさんの声が届きました。『NOW』には「いいね」ボタンを付けているのですが、多い時だと100を超えることもあります。私たちも、ついでに始めたことだったのですが、意外な反響の大きさに驚きました。

 

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クラシックバレエが趣味の社員が、ポーズを披露

 

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ダイエットに成功した社員が、痩せた姿を自慢げに公開

 

下:それからは、個人の写真だけではなくチーム単位での依頼も来るようになりました。例えば「異動前にチーム写真を撮って欲しい」とか、弊社はサークル活動が盛んなのですがそのメンバーから「新しく作ったTシャツを着て、記念写真を撮ってほしい」とか。

他にも、中堅の同期メンバーを集めて撮った写真に「私たち、実は同期です。」と説明を加えて『NOW』に公開したところ、そのメンバーが同期と知らない社員も多かったようで「驚いた」という反響がとても大きかったです。

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営業部の集合写真

 

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「私たち、実は同期です。」2008年新卒入社のメンバーが集結

 

写真を撮るために集まる、というのも良いきっかけになるようです。なかなか集まる機会がないので、久しぶりに集まって盛り上がっていたりします。チームで撮影するときも、最初はみんな「えー」とあれこれ言うのですが、撮影しているうちにノッてくるのか、どうゆうポーズを撮ろうかと自然と話が弾んでいくんです。

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広報内に機材が揃っており、撮影ができる社員もいるため、すべて社内で撮影

 

大:この写真を活用して、チーム力の向上に取り組んだ部署もあります。

20人程度の企画系の部署だったのですが、マーケティングや営業企画など仕事内容がバラバラのため部署内でのコミュニケーションが少ないことに課題を持っていました。そこで部署のマネジャーが「チームの皆で仕事をより楽しくできたら」と考え、撮影した写真を活用し、コミュニケーションが増えて士気があがるアイテムを作り始めました。

下:ちょうどその部署の方針が決まったタイミングだったので、表には皆のプロフィール写真を並べ、裏には意識すべきことを書いたクレドを記載しました。それだけでなく、それぞれの特長が面白く紹介されたカードも作り、子どものころに集めたゲームのカードのように、通常バージョンとキラカードを用意してユーモアを加えていました(笑)。実際、社員同士で交換して楽しんでいたようです。

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それぞれの特長が面白おかしく書かれたカード。顔写真を使ったハンコやフィギアなども作成

 

大:その部署のマネジャーの「こんなに人生の時間を使って1日の長い時間を過ごしているのに、職場での写真や働いている姿が映像や写真で残っていないのは結構寂しいことだよね」という言葉は、今でも私の心に残っています。だからこそ、ちょっとバカバカしいかもしれないけれども、部署の皆で記念になるものを作ろうと思ったようです。

編:そのような反響をお聞きすると、このプロジェクトが社内に浸透していることがうかがえます。

下:『NOW』での写真掲載が大きかったですね。『NOW』は私たち広報が運営しているのですが、社員に見てもらえるイントラネットを目指して大幅にリニューアルをしているんです。今では社員が1日1回は見てくれているので、「広報が面白いことをやっているな」とか「こんな反響があるなら自分たちもやりたいな」と社員が思ってくれるようになったのではと思っています。

大:プロジェクトを続けていると、クライアントからも「あの写真かっこいいですね」とか「面白いですね」「おしゃれですね」と反響をいただけるようになりました。営業はクライアントからのこうした言葉が一番嬉しいようで、そこから次第に社内全体で「ブランドを意識する」という共通認識ができ始めました。

広報は「ロゴはこういう使い方をしないでください」など規制する側になることが多く、うるさい存在だったと思います。ただ、このプロジェクトが浸透し始めて「広報が言うなら聞こう」とか「広報に手伝って欲しい」という声も聞かれるようになり、私たちの存在も変わってきたと感じています。

編:一緒に取り組んでくれる部署や社員が増えれば、また新たな挑戦もできるようになりますし、良いスパイラルが起きているのを感じます。ただ一方で、面白い取り組みであるからこそ「遊びすぎなのでは?」、「こんなの意味があるの?」という声は無かったのでしょうか。

大:『ブランディングプロジェクト』は社外の方の目に触れる会社のブランドクオリティを高めよう、という目的を持っています。確かに面白い写真だけだと「無駄なのでは」という意見も出たかもしれません。しかし、この目的についてしっかりと伝えることで意図を理解してもらっています。

編:目的をしっかりと伝えることが、面白い取り組みを推進していく際のポイントですね。

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CAPPY'S EYE

クリエイティブを追求し、ユニークで、ユーモアが盛り込まれた『ブランディングプロジェクト』。同社の広報活動では「ユニーク、ユーモア、クリエイティブ」をポリシーに掲げ、さまざまな取り組みが行われています。後編ではそのポリシーが生まれた背景と取り組みを紹介していきます。

筆者

ミーヌ

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