2017/02/03
スタッフプロフィール写真にこだわることで、社内外で今までにないコミュニケーションが生まれ始めた株式会社マクロミル。前編ではその『ブランディングプロジェクト』の取り組みと効果をうかがいました。後編では、取り組みを推進していく際のポリシーと、それが生まれた背景について紹介していきます。
引き続き、広報室の大石真史さんと下瀬貴子さんにお話をうかがいました。
編集部(以下、編):(前編で紹介した)『ブランディングプロジェクト』は、社外からのブランドイメージを意識したプロジェクトから、会社と社員、社員同士を繋げることにも効果を発揮しました。その効果について、推進されているお二人はどのように感じていらっしゃいますか。
下瀬さん(以下、下):会社と社員、社員同士の繋がりの醸成は会社としても取り組むべき課題です。例えば、弊社では2016年に会社が目指すべき方向性や社員として大切にしたい信念を、Macromill Group Vision, Mission, and Valuesとして海外も含めたグループ全体で策定しました。
特に強く意識し始めたきっかけは、これまでの二度の経営統合でしょうか。2010年にはヤフーバリューインサイト社と、2014年にはオランダにあるMetrixLab社と統合を行いました。
2010年の統合時は、マクロミルもヤフーバリューインサイトも社員数は300名程度と同規模で、事業内容も同じマーケティングリサーチでしたが、風土は全く異なりました。
マクロミルは若いメンバーが多く、特に営業力を武器にしてベンチャー気質の風土で急成長してきた会社。一方のヤフーバリューインサイトは、社員の平均年齢も高めで安定感があり、高い分析力に定評のあるプロフェッショナル集団。
統合後は、社内で「あの人は、元マクロミルだよね」「元VI(ヤフーバリューインサイト)だよね」という会話が聞かれることも多く、ある事業部長から「今後そういった話はしないように」と話があったほどでした。
大石さん(以下、大):そこから事業はさらに拡大し、新卒も中途もそれまで以上のペースで採用し始めました。300名規模であればなんとなく意思疎通が図れていましたが、今ではグループでの社員数が約1,700名にまで増え、経営層も大きく入れ替わりました。
これまでの環境と比較すると、会社と社員や社員同士の関係性がどうしても希薄になりがちな中で、広報室ではさまざまな取り組みにチャレンジしてきました。
例えば、自分の業務内容や課題意識、今後のビジョンなどを他の社員の前でプレゼンテーションする企画『わたしのしごと』。1~2カ月に1回の頻度で開催していますが、毎回100名を超える社員が集まり、他部門の業務を知ることで自身のキャリアプランや働き方を考える機会になっています。
それから、通常よりも1時間早く出社して、ゆるい繋がりのグループで集まりながら朝食を食べる『シャッフルモーニング』。
また、イントラネットの『NOW』を通じて、あるテーマに該当する社員へコメントを寄せられる『称えてミル』という企画も実施しています。例えば前回のテーマは「あの人がいるから助かった、縁の下の力持ちと思う人」でした。特にコメントが沢山集まった人のインタビュー記事を掲載することもあります。
編:会社や社内の変化を目の当たりにしてきたと思いますが、お二人は当時、その変化をどんな風に感じていらっしゃいましたか?
下:私は新卒でマクロミルに入社し、経営統合をした2010年は入社2年目でした。統合の際の全社イベントでは、若手が当時話題になっていた映画の世界観を再現して笑いを誘うムービーを流したんです。
マクロミルでは全社イベントの冒頭にそのようなムービーを流すのが定番なのですが、ヤフーバリューインサイト側ではそういった文化がなかったようで、なかには急な演出に戸惑う社員もいたようです。「会社が変わった」と感じた瞬間でした。
大:私は、2010年の統合をきっかけにヤフーバリューインサイトからマクロミルへ入社しました。私自身は落ち着いて見られるので、「元VIでしょ」とよく言われたことに戸惑いを感じていましたね。
ヤフーバリューインサイトでも広報を担当していて、マクロミル入社当初は別の部署に所属していたのですが、いずれはまた広報の業務に携わりたいと思っていました。ただ広報の仕事は会社への思い入れが大切なので、もしマクロミルを好きになれなかったら辞めることも考えていました。
先ほど下瀬が言った統合の際のイベントで流れたムービーを見た時に「あ、面白くて温かい会社だな。ここの一員に早くなりたい」と感じました。
それから半年、一年と経過してマクロミルという会社をどんどん理解する中で、マクロミルのカルチャーは自分に合うしとても好きだと思えたので、広報へ異動後は、マクロミルの魅力をしっかりと伝えていきたいという意識でいます。
編:客観的な視点を持っていらっしゃるからこそ、会社の良さを純粋に見られるのかもしれませんね。会社が大きく変わっていく中で、柔軟にそれに対応して変化するものと、一方で守っていくべきものもあるかと思います。
大:変化するものと守っていくべきものの観点では、社内報の『ミルコミ』を2016年の4月にリニューアルしたタイミングで、広報室としての編集方針を話し合いました。
リニューアル前に、当時の上司だった役員が語った「変えるのは簡単、実は変えずに守るということのほうが難しいということを忘れないで欲しい」という言葉が印象的でした。マクロミルは、変化を恐れずにどんどん変わってきた会社で、広報はその旗振り役でもあったので、ある意味で意外な言葉でした。
激動の変化の中で管理部の役員を担ってきて、感じたことがきっと沢山あったのだろうと思います。確かにこの言葉には広報として考えなければいけない本質があると感じました。
そこで、この言葉を噛みしめて、マクロミルのDNAというか、引き継いでいくべきカルチャーは何かということを徹底的に議論し、「これだけはポリシーを持って“変えない”」ことをまず初めに決めました。それが、『ユニーク』『ユーモア』『クリエイティブ』の3つの編集方針です。
変えないものを決めたことで、それ以外は変わったとか、昔の方が良かったんじゃないかとか言われてもいい、「恐れずに思い切ってやっていく」と決意することもできました。
編:決められた『ユニーク』『ユーモア』『クリエイティブ』の方針ですが、『ブランディングプロジェクト』や見せていただいた『ミルコミ』、『NOW』から共通して感じられますね。
大:『ユニーク』『ユーモア』『クリエイティブ』は広報室からの宣言で、それを体現するものが『ミルコミ』や『NOW』、そして『ブランディングプロジェクト』といった活動です。
宣言だけでは一方的な押しつけになってしまいますが、こういった取り組みや目に見えるものがあることで、(前編で紹介したように)お客様や社内からの反響があり、社内を巻き込みながら進められているのだと考えています。
編:最後に広報としての今後の目標を教えてください。
大:会社としてVision, Mission, Valuesを決めたタイミングで、4つの要素があるValues(※)の中から自分たちが最も大切にする“Team Value”を1つ選んで宣言しました。
Think New, Think Deep
Act Now, Act Together
Be True, Be Open
Own It, Enjoy It
広報室として選んだValueは「Own It、Enjoy It」。
『ユニーク』『ユーモア』『クリエイティブ』のポリシーのなかにも込められている“楽しむ(Enjoy)”文化を伝え、サポートできるのは広報だよねという理由からです。
自分たちは社内唯一の「エンタメ担当部門」だとも思っています。今後も楽しい取り組みや仕掛けを、社内のさまざまな部署を巻き込んで体現していきたいと思います。
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CAPPY'S EYE
変化の激流の中で「変わるべきこと」と「貫いていくこと」。テクノロジーも情勢も経済もどんどん変化していく現代、多くの企業も柔軟に対応していくことが求められます。だからこそ、「貫いていくこと」に対して改めて決意を持つことも、会社と社員を繋ぐひとつの要因となっていくのかもしれません。
筆者
ミーヌ