2016/05/11
2000年の創業以来、「世の中に元気を与え続ける会社でありたい」という企業理念のもと、ブライダル事業を日本各地で広く展開している株式会社ノバレーゼ。
婚礼プロデュース、婚礼衣裳、レストランの各領域において、独自コンセプトのサービスを次々にリリースしています。
”結婚”という重要なライフイベントを担当する仕事柄、「働くスタッフ自身が幸せでないとお客様を幸せにできない」という考え方を大事にしており、社内イベントや教育研修、人事制度の拡充に注力しているそうです。
実際、2016年3月17日にVORKERSが発表した「20代のやる気を高める企業ランキング」でも7位にランクインしています。
そんなノバレーゼの全スタッフが年間通じて最も楽しみにしている社内イベントが、毎年4月に開催される社員総会『ノバスポ(ノバレーゼエキスポ)』です。この社員総会が社内コミュニケーションに果たす役割とは、いったい何なのか。
CAPPY編集部では4月某日、舞浜アンフィシアターで開催されたノバスポに潜入。企業文化が色濃く反映されたイベントの舞台裏を探るべく、ノバスポを担当する広報室長の松井環さんにお話を伺いしました。
編集部(以下、編):当日は開場前から店舗ごとに盛りあがっていて、熱気に圧倒されました。オープニングアクトもまさかスタッフの方がされているとは思えないクオリティで、さまざまな企業様の社員総会を拝見してきましたが、歴代一位の盛りあがりでした(笑)。
あの雰囲気がノバレーゼらしいと思っています。オープニングアクトを担当したのは支配人を務める人間なのですが、約3週間前にオーダーしたとは思えないクオリティで、私たちとしても想定外でした(笑)。
提供している商品やサービスは“上質””洗練””モダン”を目指していますが、根底にある考え方は「自分たちが楽しむことで、お客様も楽しませていきたい」というものです。
仕事やプライベートを含めた自分の生活が充実すれば、それだけ人にも優しくできますからね。そういう意味でも、”楽しむ”ことを大事にしたイベントが多い会社だと思います。
編:当日はお揃いのTシャツを着用して、みんなでペンライトを掲げて、一体感がありましたね。
Tシャツは『ノバT』と呼んでいて、毎年新しいデザインのものを制作しています。本来Tシャツはカジュアルなものですが、当社では制服という扱いで、社内イベントでは正装として認められています。レアモノのノバTを着ているスタッフがいると「このデザイン、懐かしいね」と盛りあがったりするんですよ。
以前は店舗ごとに仮装をして、ベストドレッサー賞を開催していたこともありました。当時は社員数もまだそう多くなく、自社の式場で開催できるクローズな環境でしたからね。
それが2010年から自社の式場では収容しきれず外部会場を借りて開催することになりました。そうすると平日の大手町にマリリンモンローの仮装をしたスタッフが30人出没するような状況になりまして(笑)。これでは周囲へご迷惑をおかけしてしまいますので、それから仮装はやめることになりました。
ですので今回の盛りあがりでも、以前と比較すれば随分と大人しくなったと思っています。
編:大人しくなってあの盛りあがりですか。すごいですね…。ちなみに、社員総会はいつ頃から実施されているのですか。
社員総会自体は創業してすぐ、2002年から続いている会長の浅田の肝いりイベントです。
構成は三部構成になっていて、第一部が入社式&配属発表、表彰、代表からのメッセージ。第二部がゲストライブ、第三部が余興大会、というのが今年の基本的な流れです。
編:第一部では表彰に時間をかけられていましたが、どのような意図で設計されているのでしょうか。
当社には、頑張る人にスポットライトを多く当てる企業文化があります。頑張ったスタッフをきちんと評価してあげて、評価されたスタッフが輝いているのを見た周囲のスタッフが自分も頑張ろうと思う。そうした良いサイクルを生みだすきっかけにしたい、という想いが込められています。
同時に当社には、個々人が競争するのではなく、お客様にいい結婚式を提供することだけを追求し、チームが一丸となって研鑽し続ける文化があります。そのため受賞者は周りへの感謝がとても強く、この人のためだったら頑張りたいと思えるような、周囲から慕われる人間性の高いスタッフが選ばれています。
逆に言うと、そういう人でないと結果は出ないということだと思います。「自分さえ良ければいい」という人は周囲の人間が付いてきませんし、そうしたスタンスはお客様にも露呈します。真面目に、謙虚に、誠実にやっていれば結果が出て、会社もそれを認めてくれるんだという強烈なアピールの場になればと思っています。
編:店舗全員で喜びを共有していたのが印象的でしたが、そうした理由があるんですね。表彰は新人賞と部門別で実施していましたが、それとは別に表彰されていた『Nコン(ノバレーゼコンテスト)』について教えてください。
Nコンは管理職以外が参加必須の作文コンテストです。スタッフに自身の1年間を振り返ってもらい、頑張ったことや仕事を通じて感じたことなどを2,500文字程度にまとめて提出してもらうんです。そこからエリア予選を実施して14人をエリア代表として選出、ノバスポで1位を発表しています。
ちなみに予選は一緒に働くスタッフの前で発表・共有する形式です。このプロセスが重要で、共有を通じて一緒に働いていても気づかなかった仲間の想いや頑張りを理解することができるんです。
そしてこの予選では必ずしも役職者が代表者を決めるのではなく、仲間から推薦された人が選出されることもあります。必ずしも成績がいいスタッフが選ばれるわけではありません。壁にぶつかった人、逃げ出そうと考えた人、そこを乗り越えた人。そうしたストーリーは全スタッフが持っていますからね。
1位含めた14人のエピソードは、歴代の1位のエピソードと併せて毎年冊子にして、全社員に配布しています。
今回のNコン1位を受賞したスタッフは、成績は優秀でしたが仕事、お客様との向き合い方に葛藤を抱えて本人は苦しんでいました。でもこの1年で乗り越えて、前を見て歩いていくんだ、という強烈なメッセージが印象的でした。
編:成功体験だけではなく、そうした生々しい吐露があると聞いているスタッフは勇気づけられますよね。あの人でもそんな苦悩や葛藤を抱えていたんだ、と。このノバスポの実施前後では、参加者にはどのような変化があるのでしょうか。
最終的には全員のモチベーションが高まる場になっていて、「次の1年も頑張ろう」という気概になってくれていると感じます。ただ、そうした感情に至るまでには、本気で表彰を目指していたのに表彰されず落ち込んだり号泣したりするスタッフもいて、総会ではさまざまなドラマが生まれています。
ノバスポは当社にとって最大級のコミュニケーションツールなんですよね。実は3月と4月は結婚式が多くスタッフは忙しい時期ではあるのですが、みんながこのノバスポを大事にしていて期待値も高く、ノバスポにかけるエネルギーはすごいものがあります。
編:松井さんはノバスポの運営をしながら、どのようなことを感じているのですか。
今年は役割のない時間帯があったので客席からステージを見ていたのですが、途中から参加しているスタッフがどのような表情をしているのか気になって、結局舞台袖からスタッフの顔を見ていました(笑)。自分が楽しむよりも、参加するスタッフが楽しんでくれていることが嬉しいんだなと、改めて感じます。
実務面では舞浜アンフィシアターを使用するのが今年で4回目でしたが、外部会場になると照明や音響、舞台機構などプロの方々へ細かく依頼内容をお伝えしないといけませんし、前日に急遽アイデアを追加依頼することもあるので調整ごとには非常に苦労します。
一般的にこの規模のイベントになると、イベント会社に委託することが多いと聞きますが、当社の場合は企画立案からパートナー選定、運営管理に至るまで全て社内で行うため、ノバスポを創る実行委員にとっても勉強になっていますよね。結婚式と同様に失敗の許されないイベントで、華やかな舞台の裏では多くの人の協力と苦労があって成り立っていることが経験できます。
編:これからのノバスポについて、構想を教えてください。
スタッフ同士がコミュニケーションを取れる時間を、もう少し設けてもいいのではと考えています。というのも、社員数が増えてきたので、自分のチームや店舗を超えて交流する機会が少なくなっているんです。
また、スタッフによっては第一部から第三部まで見ているだけのスタッフも出てしまいます。そうしたスタッフが生まれないように、全体を巻き込んで全員が参加できるようにするためにはどうすればいいのかは考えています。
あとは会社が大事にしたい考え方や言葉を、整理・凝縮して発信する場としてもっと活用していきたいですね。会社自体も、今年の3月に当社代表取締役社長が創業者の浅田から荻野になり転換期を迎えています。
浅田が創業から15年かけて積み上げてきた大事なものを残していくことはもちろん、荻野がこれから新たに作っていくものもあると思います。荻野は今年のノバスポで「陽の当たる道を堂々と歩もう」「お客様にも、スタッフにも、誠実に」「50年後、100年後も世の中から信頼される会社を目指そう」というメッセージを発信しました。
トップが理念やビジョンを語ることは非常に重要だと思いますので、ノバスポを活用して発信していきたいと思います。
インナーブランディングや社内コミュニケーション施策の企画・設計に関連するノウハウを、お役立ちブログで公開しています。
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この記事の著者
中島 浩太