2024/04/25

リジョブの一人ひとりが体現する「All as one」!事業と組織創りを貫く文化の正体

美容・ヘルスケア・介護といった“おもてなし業界”に特化した求人サイト運営を行う株式会社リジョブ。前回の記事では、直近の5年で組織面のエポックとして取り組んだ、ソーシャルビジョンの刷新とビジョンマップについてCHOの窪田さんにインタビューしました。

今回は、「All as one」が事業の現場でどのように体現されているのか、リジョブを牽引するリーダーとこれからを創っていく若手メンバーにお聞きします。

思考停止のルール化ではだめ。組織にとっての「All as one」とは?

赤羽 順子さん赤羽 順子さん

赤羽 順子
クライアント支援Div. 兼 toBマーケティングDiv. 兼 リアルマーケティングDiv. 兼 コンテンツグロースDiv. 統括シニアマネージャー(経営幹部候補)

2012年新卒入社。長野県出身。名言は「やるかやる」。新しい取り組みを行う際は最前に立ち、事業と組織の両方を創っていくため に幅広く責任者として推進。営業やCSなどの顧客対応部門だけでなく、BtoBマーケティング、求人コンテンツ強化、リアルマーケティング(ブランディング)などマーケティング部門の立ち上げも経験している。「仲間を集め、志高いチームを創り、他者を巻き込んで推進していくこと」が得意。情熱をもって人生を歩み、人と仕事をする楽しさと喜びを実感できる方と、ぜひ一緒に働きたいと願っている。

編:赤羽さんは新卒入社3期生で入社12年目。組織の変化を5年前や10年前から振り返ってみるとどう感じられますか。

赤羽さん:10年前くらいで言うと、目の前のことに必死だったので、広げる・深めるという思考さえも追いつかないぐらい、事業やチームを前に進めていくことに必死でした。

ただ、自分以外の何かに対して当事者となり向き合っていく文化や社風のようなものは、当時から今まで変わっていないことを、振り返ってみて感じます。

2018年くらいまでは、メンバーみんなが当事者意識として覚悟や責任ということを口に出しながらずっと走り抜けてきました。ただ人も増え、事業もどんどん大きくなっていった2018年頃から、私自身もマネジメントの限界を感じていて、リジョブがもう一段成長するには、組織やチームに対して自分の責任や当事者意識みたいなものを伝達し、広げていく必要があると思っていました。

編:まさに、当事者意識を伝達し、広げていくことが「All as one」に繋がっていますね。それが現れた組織でのエピソードはありますか。

赤羽さん:2020年のコロナをきっかけに、業界や会社について「大丈夫かな」と不安を感じる人は社内にもおり、その時にどのように事業と組織を守っていくかは、窪田や経営陣をはじめすごく議論してきました。時代がどう変わっても、揺るがない強い組織をいかに創っていくかには、一人ひとりが向き合わないといけません。そんな会社創りのようなものに向き合ったエピソードが一つあります。

ある時「在宅ワークの導入をどうしていくか?」という議題が社内で持ち上がりました。この時、マネージャーから「在宅ワークを促進しよう」と言ってしまえば簡単です。ただ、したい人がいるから、市場で当たり前になっているから取り入れていくだけ、というのは創りたい組織ではありません。

そこで、メンバーには在宅ワークについてのメリット・デメリットを踏まえて「どう思う?」「どうしたい?」という投げかけをしながら議論しました。在宅ワークをしたい人もいれば、直接仲間とコミュニケーションをとりたい人もいる。みんなで考えて意思決定をしていき、最終的に私のチームはハイブリッドでの運用になりました。

時代の流れに乗りながらも、必要な時にはきちんと顔を合わせながら、事業を大きくしていくことに向き合っていく。この意志決定をアルバイトさんも含め、みんなで考え答えを出したのです。この時に学んだのは、有事にトップダウンで決めないと動けない組織ではダメだということです。

一つひとつの意志決定を、会社や経営者が判断してしまえばその時は楽かもしれませんが、それでは一人ひとりが思考停止になり、強い組織は創れません。自分が経営者や意思決定する立場だったらどうするのか問い続け、そして決断する。そうすることで当事者意識や全体最適思考が自然と出てくることも、在宅ワークの運用の議論プロセスを通して実感しました。

この、一人ひとりがチームや会社・顧客のために当事者意識の範囲を広げ、何がベストかを主体的に考え実行していく「All as one」とはリジョブの文化であり、経営者など全体を見る人に近しい視点でもあると思います。

編:このあとは、事業と「All as one」の接続について、大貫さんに聞いていきたいと思います。

事業にとっての「All as one」。全社を超え業界と共に真摯にサービスを創っていくリジョブらしいプロセス

大貫 祐輝さん大貫 祐輝さん

大貫 祐輝
WebマーケティングDiv. 兼 リクルーティングDiv. 統括シニアマネージャー(経営幹部候補)

株式会社じげんに2014新卒として入社し、1年間営業に従事したあとM&Aを機にリジョブへジョイン。リジョブでは採用支援Divマネージャー、新規事業の責任者、マーケディングDivマネージャー、幹部候補合宿の企画・運営の責任者などを務め、事業・組織創りの両面を担ってきた。AIや音声検索など新しい技術の台頭によって職探しのあり方、採用活動のあり方が激変していく中で、「リジョブとしてどのようにサービスを磨き上げて美容業界の職探し・採用活動をよりよくしていけるか」を、日々チームメンバーと考え奮闘中。

編:「All as one」がリジョブのプロダクトや事業作りとどう繋がっているのか。大事にされたことがあればお伺いしたいです。

大貫さん:「All as one」の範囲は、「全社」というスコープと「業界」というスコープの二つあるかなと思っています。

まずは全社というスコープですが、2018〜2020年頃、リジョブという求人サービスが「求職者」と「採用企業」が利用するプロダクトである中で、両ユーザーにとって本当に良いサービスなのか、さらなる事業成長を生みだすためにも「全社でちゃんと議論をしていこう」となりました。

ただ、結果を振り返ると、結論は「意図せず、結果的に中(リジョブ内)に閉じることになってしまっていた」という反省がありました。我々に足りなかったのは、企業側・求職者側それぞれに対して、インサイトレベルまでより深く掘り下げて理解することでした。

今では実際のユーザーのインサイト理解をとても大切にしています。23年はリジョブをご利用いただく企業の採用担当者様や求職者の会員様にも多大な協力をいただきながら、一人あたり1時間以上をかけて、年間100名以上へのインタビューを実施し、採用活動/転職活動における課題感やニーズ、リジョブを利用する上での良い点や悪い点への理解を深めていっています。

リジョブのプロダクト改善で巻き込む範囲をマーケティング・開発チームからリジョブ全社へ、さらにそこから業界へ広げていった今、一つ一つの開発のリリースされるスピードだけを見ると時間がかかるようにはなりましたが、クオリティの面が非常に上がってきました。

具体的に言うと新規実装する・改善する機能をこれまでは機能としてそのまま考えることが多かったのですが、その機能の先にあるユーザーの体験として捉えられるようになりました。また「なぜ我々リジョブがそれをやることが大事なのか、ユーザーに対して何を提供出来るようになるのか」に対する自信や確信が、組織的にも、とても強くなったと感じています。

「All as one」が事業全体にいきわたると、今まで得ることのできなかったヒントや事実を掴むことができるようになってきました。リジョブの中で、この感覚を感じられる人が増えたんじゃないかなと思います。

編:インサイトレベルの深堀とは、どのくらいの粒度の質問を行なっていくものなのでしょうか。

大貫さん:求職者様側も企業様も、サイトの利便性やサービスの使い勝手といった観点ではなく、バックボーンから掘り下げていきます。求職者ならこれまでの経歴や、その経歴を歩んできた背景まで掘り下げます。企業様であれば、「採用って何のためにするの?」という視点で事業目標を伺って、そこから深掘りしていきます。

ユーザーの行動についても深掘りして聞いていきます。転職活動をする時に、初めに求人サービスを調べる方もいれば、インスタを見始める人もいます。一つひとつの行動について、なぜそうしたのかみっちり1時間〜1時間半くらいかけて洞察していきます。インタビュー対象者も、サービスを既に利用している方だけでなく、未使用の業界の方などにも実施します。

編:このインサイトをヒアリングする取り組みの中で、サービス改善や成果につながったことはありますか。

大貫さん:実際に働く方の声を反映する口コミ機能の開発に、リジョブらしさを感じました。口コミ系の求職サービスは多々ありますが、これらの大半は口コミが源流で始まったサービスで、最初から口コミがあることを理解して利用するサービスです。

リジョブでも口コミの導入の話は何度も出ていました。しかし、企業様から掲載料をいただいて成り立つサービスなので、口コミによって良い意味でも悪い意味でも実態が明るみに出てしまうことを嫌がる企業さんがいることは確かです。

ただ、ここ一年のヒアリングで、求職者であるユーザーから、「掲載している求人は企業広告の側面があるのではないか」「実態(口コミ)を知った上で企業を選びたい」という需要が上がってきている、という声がありました。

そうした声を受けて、リジョブでは「業界全体を良くしていこう」「働く環境をより良くしていこう」「求職者と採用企業との良い循環を作っていこう」という思いから、口コミ機能の開発の実施が決定しました。この方向性は、企業様から求人掲載を発注いただく事業グループから出てきたんです。営業しにくくなる場面もあると思うので、本来であれば一番嫌がりそうな部門ですよね。

最終的に企業様のご理解もあり、無事実現できました。この口コミ機能のリリースをリジョブがやれたのは、本当にすごいことだと思います。

編:「All as one」の観点からすると業界発展のために口コミ機能は必然で、自分たちのサービスにあるべきカタチだったんですね。これもまた象徴的なエピソードが聞けたなと思います。

4人目の上妻(コウヅマ)さんからは、これからのリジョブの未来を創っていく仲間たちには、リジョブらしい文化がどう浸透しているのかをお伺いしていきたいと思います。

大切と感じる文化を自らが体現し未来に繋げていくことの重要性。きっかけは3年目の合宿から

上妻 潤己さん上妻 潤己さん

上妻 潤己
コーポレート推進UNIT 新卒採用チームリーダー(経営幹部候補)

2019年新卒入社。リジョブには社会課題解決に対しての熱量とビジネス力に惹かれて入社し、入社後は新規事業の介護Div.に所属し、求人メディア事業の推進を営業・CS・マーケ業務を兼任しながら取り組んできた。2022年からは新卒採用のリーダーとして組織づくりにも取り組んでいる。心豊かな社会づくりの実践者として日々活動し、大事にしている言葉は「創造的な利他主義」「全員giver」。

編:ここまでは、リジョブを作ってこられた先輩方の話が中心でした。2019年入社の上妻さんにとって、リジョブで働く面白さ、やりがいってどんなところにあるのですか。

上妻さん:入社当時僕が感じた面白さや魅力は、採用コンセプトである「LOVE&POWER」の考え方でした。根底にあるのは大貫からあった「社内から業界へ」という考え方で、今ではサテライトオフィスのような形で地方創生の分野にも広がりをみせたり、窪田から述べた「咲くらプロジェクト(プロジェクトの詳細はこちら)」などを通じて外に向けて「LOVE&POWER」を広げていたりするところに魅力を感じました。

僕自身、社会のために自分の人生を使いたいと思っていましたので、リジョブの事業とビジョンには心底惹かれていました。

今はその面白さと同時に、リジョブのカルチャー自体を作っていくところにも価値を感じています。ターニングポイントは3年目にありました。それまでは事業に本気で向き合いつつ、上司や会社の今の役割を当然のものだと捉えた上で「もっとこうした方がいい」という考えや、自分視点での「もっとこうしてほしい」という要望を一方的に伝えたりと、自分と会社を分けて外側から意見を言う評論家だったと思います。

ただ、3年目に参加した経営合宿が転換期でした。合宿テーマは、自分の範囲の外で起こっている事を考える内容でしたが、そこで経営陣やマネージャーが入社した時から今までにあった数多くの挑戦や葛藤のエピソードを聞いたのです。

たとえば、介護サービスをプロダクトまで仕立てるにあたって業界や社内からの理解を得るまでにかなり苦労した話や、まだ入社していない新卒採用の場面や辞めていく社員のためにでもすごく時間をかけて、相手の成長のためにと向き合うエピソードなど。たくさんありました。

その時に自分は出来上がった環境で、綺麗なものだけを与えてもらっていたことに気づきました。そこに行き着くまでの努力の過程に目を向けて知れたことによって、先人の方々だけが背負って大変な思いをするのでなくて、「自分自身がそこを担っていきたい」と考える転換点になりました。当事者意識が“自分と社会”だけではなくなり、“自分と組織”が繋がり、その先に社会があるという感じでしょうか。

編:まさに「All as one」を体感する気づきですね。今までお話しいただいたような、自分と会社に境界線をつくらず対話を重ね理解し合うことや、目の前の課題を我がごと化して社会を良くしていくといったリジョブの文化を、若手層や学生に伝えていくための研修にも取り組まれていると聞いています。

上妻さん:新卒研修は毎年代替わりしながら一個上の先輩が作っていて、新卒採用や研修の時点でリジョブの文化をシェアするきっかけになっています。当然僕たちも「LOVE&POWER」を持っている人たちと一緒に働きたいと思いながら採用活動をしています。

ただ、ボランティアではなくビジネスとして社会を良くすることを考える観点は、学生にとってわかりづらい部分も多く、難しいことだと思っています。だからこそ、入社する前段階でこれらをシェアしながら一人ひとりと向き合い、考える範囲を広げていってもらうことを大事にしています。

入社してからもさまざまな部署を回り、経営者視点を身につけるテーマを与えながら、まだ見えていない面をシェアしていくことで、本人たちのLOVEの範囲や当事者意識の範囲を広げていくことを目指しています。

編:「All as one」が脈々と引き継がれて行きますね。

「All as one」を象徴するトライアルは、本質に迫った組織創りの新しい取り組み

窪田 みどりさん窪田 みどりさん

窪田 みどり
Chief Human Officer

2013年中途入社。福岡県出身。座右の銘は「純粋に、真っ直ぐに、濁らず生きる」。大学卒業後、組織コンサルやコーポレートブランディングに携わったのち、2013年に中途入社。2014年のM&Aを機に、経営層とともに新旧メンバーを一枚岩にすべく「新生リジョブのビジョン・カルチャー」を策定。「自分の力を誰かの為に活かしたい」と思う人材が集うリジョブの組織創りに、日々CHOとして深く関わっている。

窪田さん:実は今、トライアルで私のチーム内でみんなで賞与を決めるということを試しているんです。賞与の分配額から、その中であなたはいくらと金額をみんなで決めていく。

編:すごく興味深い取り組みですね!具体的に聞かせてください。

窪田さん:これまで賞与って、目標の達成度で評価が決まり、その評価に応じた金額が賞与として支払われていました。これを目標だけではなく、日々チームでミッションを背負っている仲間と一緒に出した成果として、みんなで分け合ったらどうなるのかを話し合いながら決めていく取り組みです。

チーム内での賞与の適切な取り分を決めると、そのお金の受け取り方の認識や、仲間の存在への認識に変容が生まれてくるんですよね。これはみんなが経営者視点を持って対話をするからこそ成り立つのかもしれません。

編:「All as one」なトライアルの境地ですね(笑)。

窪田さん:そもそも、このお金ってクライアントさんをはじめとする市場からいただいたお金で、社会に循環しているものであり、私たちはその循環しているお金を受け取っているだけの話なんです。それが自身の目標とその結果と繋がって分配が決まっているだけなのですが、それを認識せずに「会社や上司が決めた、評価された」と当たり前に思いやすいことではありますよね。

そういうものだと言うのは簡単です。でも本質的には、賞与を分けることをみんなが当事者意識を持って考えれば、自身の認識もチームや社会との認識も変わり、見えていく範囲が広がっていくと思っています。

これを先に仕組みとしてしまうと、ただのお金の取り合いとなってしまうのですが、「All as one」の全体性という考え方が真に理解されていれば活きてくると思っています。上妻も私のチームなので、分配の議論に参加した一人なんです。

上妻さん:議論していくと、気づきもたくさんありました。賞与は成果ベースで決めるけど、その成果を出すために、さまざまな仲間の貢献や支援があったからこそできたこともあります。

そうなると、貢献ポイントみたいなものが必要になるかもしれません。サポートしてくれたメンバーへの感謝として僕の賞与のうちの何%かを渡すようなイメージです。結果的に成果をだしたのは自分だけど、たとえば、ずっと電話に出てくれた仲間がいるからこそ、僕の成果が出せる時間ができたとも考えられます。当たり前だけど本質的なことをチームでとことん話す。とても貴重な機会になりました。

編:その議論のファシリテーションは難しそうですね。会社自体が一つの社会になるようなことですね。

窪田さん:お金もその対価としての成果も流通し合って成り立っている。対話を重ねている信頼関係のある仲間だからできることだと思っています。このトライアルに挑戦したいメンバーが社内にできてきたら、そのためのファシリテーションができるように、私の部署で体験しながらトレーニングしていけたらと思っている側面もあります(笑)。

編:「All as one」な取り組みの数々、本当に素晴らしかったです。最後のエピソードはここまで挑戦されているのかと驚きました。次はこの取り組みが全社から世の中へと広がった際に取材させて欲しいです!本日はどうもありがとうございました。

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この記事の著者

増田 祐己

元CAPPY編集長(三代目)
業界・企業規模を問わず、インターナルブランディングやインターナルコミュニケーションのプロジェクトを多数プロデュース。経営と現場、2つの視点を持つことを大事にしており、双方のつながりを生みだす共感の接点づくりが得意。
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