2016/09/16

働きがいを生みだす信頼と信任。VSNが実現する企業変革【後編】

約3,000名の正社員エンジニアを擁し、さまざまな企業の技術部門にエンジニア派遣を行っている株式会社VSN

前編(https://cd.zeroin.co.jp/cappy/vsn01/)では、現在VSNの核となっている『バリューチェーン・イノベ―ター』が形づくられた背景とプロセスをお伝えしました。

後編では『バリューチェーン・イノベ―ター』を従業員自らの手で創り上げたように、従業員一人ひとりが主体的に行動する「VSNらしい」組織づくりの手法について、引き続き代表取締役社長の川崎健一郎さんにお聞きします。

編:組織化を推進する中で取り組まれた工夫は何かありますか。
物理的な距離を埋めるために、ITツールを最大限活用しました。弊社では6年程前から社内SNSを導入していたのですが、当時の利用率は僅か33%。なぜ3割しか使用しないんだ、と嘆いていました。

それでも1,000名以上導入している企業ではトップランクの利用率だったようです(笑)。現在では利用率60%を超えていて、毎月のログイン率は90%になっています。

 

編:多くの企業でITツールはあるけど活用されない、という現状があると思います。どのように利用率を増やしていったのでしょうか。
私たちが決めたことは、ルールをつくらないことです。ツールは導入する際、ルールをつくりたくなるんですよね。弊社では発信内容は原則自由で、仕事のことはもちろん、プライベートのことを書いてもいい。個々が気軽に発信できる環境をつくろうと思っていました。

恐らく「業務のことだけ」に限定していたら単なる連絡板になるだけで、ここまで活性化していません。誰かの誹謗中傷やクライアントの機密情報など、本当に最低限の事項だけを禁止して、それ以外は趣味やサークル、同郷の話や普段の何気ない会話まで、何を発信してもいいのです。

コツは最初に経営陣が強引に使うようにしたことです。いきなり「何を書いてもいい」と言われても、やはり恥ずかしいじゃないですか。そこで、経営陣が率先して書いていこう、と推進しました。

一度火がつけば、あとは放っておいてもどんどん活性化していってくれるのですが、最初の立ちあげは幹部がリーダーシップを発揮しないといけません。それに、自分たちが使っていないのに「何で使わないんだ」とは言えないですよね。

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社内SNSを活用し全社員によって投票が行われる表彰制度『VSNアワード』

 

編:組織化とITツールによって、次第にコミュニケーションが変化していったのですね。
場を準備し、経営からビジョンを直接発信し続けたことも大きかったですね。

VSNでは現在、以下3つのビジョンを掲げています。

■バリューチェーン・イノベーターとして、お客様の経営に驚きをもたらす。
■どこにもない誇りを、実現する。
■産業界の新たなエネルギーとなり、世界に通じるイノベーションモデルを確立する。

これらのビジョンはそれぞれ、「お客様に対して」「社員に対して」「社会に対して」の決意で、私が社長に就任して以来、5ヶ年の中期事業計画のもと推進してきました。

現在のビジョンは今期スタートしたものですが、このビジョン伝達を含めた少人数で対話する意見交換の場として、『経営セッション』という会を実施しています。対象はリーダー職以上で、1回あたり20~30名、年間10~15回程度実施してきましたので、3年で約700名と直接対話したことになります。

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経営セッションの一コマ。川崎社長が少人数の従業員と対話を重ねます。

 

この場では好きなことを語りますし、何にでも答えます。「リーダー大変です」「離れているメンバーのマネジメントが難しいです」という相談から、「今のビジョンにたどり着いた背景は?」という質問までさまざまです。

ビジョンは、1度聞いただけで全てを理解するのは難しい。繰り返し語り続けることが重要だと思っているので、リーダーシップを発揮してほしい社員には、なるべく直接語る機会を設けています。

 

編:社内コミュニケーションに相当こだわっている印象を受けます。オフィスもフロアの本当にど真ん中に役員席があって、仕切りも一切なく全社員から常に見えている。これはすごいと思いました。
フラットなコミュニケーションを求めてきましたからね。物理的な壁があると、意識変革だけでは乗り越えられない部分もあります。派遣先にいるエンジニアとはそれこそ物理的な壁があるのに、社内にいる人間同士で壁をつくっている場合ではないと(笑)。

役員室のドアがいつも開いていることを「オープンだ」と謳っているのを目にすることがありますが、ドアが開いているからといって、気軽に中に入ろうとは思わないですよね。

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オープンという意味では他にも、経営会議の議事録を全社員にすべて公開しています。中途入社の社員はみんな驚きますよ。業績、事業課題、誰が何を質問してどう答えたか、果ては事業部長が責任を問われている様子まで出ていますからね(笑)。

国会中継のような状態です。「経営が何を考えているか分からない」とか「会社がどういう方向に向かっているか分かりません」とは絶対に言えないようなレベルです。

 

編:すべてを公開していくことに不安はありませんか。
重要な会社情報がたくさん載っているので、「社外に漏れたらどうするんですか?」とは言われます。これは社員を信用する以外ありません。「みなさんを信頼しているので、取り扱いは気をつけてください。もし流出した場合、罰則を受ける可能性があります」と。

弊社のコミュニケーションの土台は性善説から生みだされます。性悪説から入ると制限ばかりになり、できることは非常に小さく、経営参画度も途端に下がってしまいますからね。

 

編:今後、VSNの”目指す姿”をお教えください。
現在、バリューチェーン・イノベーターをさらに進化させています。2011年からの中期事業計画を5年間で一度やり切り、2016年から2020年に向けた新たな5ヶ年の中期事業計画を打ちだしています。

社員のこれまでの活動によって5年間で400件以上の事業課題を解決し、お客様のみならず同業他社にまで認知が及んできました。お客様からは「我々以上に我々のことを考えてくれている」とのお褒めのお言葉や、取り組みが評価されお客様先の社長賞をいただいたこともあります。

ビジョンの言葉も「バリューチェーン・イノベーターとなり、サービスを革新する。」から「バリューチェーン・イノベーターとして、お客様の経営に驚きをもらたす。」と進化しました。つまり、私たちはもはやバリューチェーン・イノベーターに5年間でなれたのだという意志表示です。

今後は課題解決の目線をさらに高く、お客様のエグゼクティブクラスのみなさんが日頃考えているような事業課題にまでフォーカスしていくことを求めています。成果金額にもこだわり、お客さまの事業にインパクトを与えられるサービスを提供できるようにしたいですね。

同時に社内に対しては、社員の“働きがい”最大化を実現することで、結果として「働きがいのある会社ランキング」のベストカンパニーにランクインすることを狙っています。

6年前に全社員を対象に調査を実施したところ、惨憺たる結果でした。フリーコメントも辛辣なもので、「派遣業なのにVSNでの働きがいとはどういうことか?」「アンケート自体が無意味だ」という否定的な意見ばかりでした(笑)。

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それが最近では、「働きがいがあるか?」という質問に対して「ものすごくある」「まぁある」と回答した社員の割合が2倍以上に向上しています。つまり約半数の社員がVSNで働くことに何かしらの“働きがい”を感じてくれるようになったということです。

もちろんこれで満足していませんが、社員の回答割合も上昇していることから”働きがい”に関する意識が高まっていることも見られ、着実に成果が出てきていると感じています。

 

今年は2020年に向けた5ヶ年計画の1年目で、テーマは「破壊と創造」です。今まで積みあげてきたものも、状況に応じて思い切って捨てたり破壊することもあって然るべきです。

現場ではまだまだ葛藤も多く、“できない理由”がさまざまあることも聞いています。しかしそうした中でも考え続けることがすごく大事です。仮にどうしても「不可能」なのであれば、そんなものはさっさと止めてしまった方がいい。そうでないのなら「どうしたらできるのか」を考え続けて、思い切ったチャレンジを続けていきたいですね。

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この記事の著者

中島 浩太

株式会社ゼロイン
2008年、株式会社ゼロインに新卒入社。インナーブランディング・社内コミュニケーション施策をプロデュースするコミュニケーションデザイン事業、ゼロインの管理部門、新卒採用担当、新規事業を経て、現在はコーポレートブランディング室において広報(社内広報・社外広報/PR)とマーケティングを担当。
インターナルブランディングの魅力的な取り組みを紹介するウェブメディアCAPPYの編集長として、さまざまな企業における企業文化づくりや組織活性化の取り組みを取材。
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