「うちの社内報は読まれているだろうか?」「費用対効果は可視化できるのか?」、これらは社内報担当者が異口同音におっしゃる悩みです。私がお手伝いした中には「ビジョンを語ることが大きな役割なので、読まれているかは問題にしない」と言い切る部長さんもいらっしゃいましたが、そこまで言い切れるのは珍しいケースです。
「どうすれば読まれるのか?」という悩みをお聞きしたとき、私は書店やコンビニに並んでいる雑誌の表紙を参考にすることをお薦めしています。雑誌は「人を立ち止まらせ、買ってもらう」という大命題をクリアするために、表紙や中吊り広告にすべてを掛けているといっても過言ではありません。
表紙を飾るモデル、五感に訴えるキャッチ、行動を想起させる見出しなど、各要素が嚙み合うことで、手に取らせレジへと向かわせます。雑誌の表紙をGoogleで画像検索すると、その涙ぐましい努力を垣間見ることができます。
『勘違いメークで人生終えますか?』(美的)
『徹底的に使い倒す 確定拠出年金』(サンデー毎日)
『死なないカラダの作り方。』(GQ)
これらに自社の課題やコミュニケーションテーマを当てはめてみると、どうなるでしょうか?『勘違い営業で今期終えますか?』、『徹底的に使い倒す 新人向けマニュアル』、『死なないリレーションの作り方。』…、何やら新たな企画が浮かぶ気がしませんか。
社内報は本来、全社方針や中長期戦略、トップの意向、階層間のコミュニケーション課題などを丁寧にあたりながら、ロジカルに組み立てるものです。がしかし、手に取ってもらえなければ何も始まりません。ときには、雑誌の企画真似っこアプローチをバリエーションのひとつとしてお薦めしたいと思います。
ちなみに、私がよく注目しているのが業界誌です。
閉じられた世界の中で発行され、購入され続けなければならない宿命を持つ業界誌。その世界で生き残ってきた特集やコーナーから、ぜひ参考にしたい“脅威の粘り”を紹介して終わりたいと思います。
『遥かなる豚…最終回:都市の豚』(養豚界)
『できていますか?カビ毒対策』(養豚界)
『仕事とトレーニングを両立させる10箇条』(IRON MAN)
『週2回で鍛えるトレーニングプログラム』(IRON MAN)
『ランナーの30%が経験あり ひざ痛撃退!』(ランナーズ)
『寝ても覚めてもサブスリー座談会』(ランナーズ)
『ポケモンGOの襲来に各寺院はどう対処すべきか、問題はあるか』(月刊住職)
『LINEは災害時の緊急連絡や布教にも有用なのか』(月刊住職)
『恐山のイタコに口寄せをしてもらって分かった話』(月刊住職)
いかがですか。手に取りたくなりませんか?
この記事の著者
並河 研
株式会社ゼロイン 取締役副社長
1984年リクルート入社。広報室でインナーコミュニケーション施策や教育映像を手がけ、40年超の歴史を持つ社内報『かもめ』2代目編集長を務める。2009年ゼロインの取締役就任。以降、多数の企業で組織活性化をプロデュース。並行してアメフット社会人チーム『オービックシーガルズ』運営会社、OFC代表取締役としてチームをマネジメント。