成長曲線から考える社内コミュニケーション設計に有効な2つの視点

企業にも成長曲線がある

周年行事や年間コミュニケーション戦略を考える際、企業や事業、商品の成長過程を『企業の成長曲線』として描くことは効果的です。その場合、縦軸を「売上・規模」、横軸を「時間」と置きます。

例えば“企業”の場合、創業期はジワジワと売上が上昇していきます。社長も加わって皆でワイワイ・ガヤガヤ、アイデアがどんどん出て、いろいろなイノベーションに挑戦しようと活気に満ちあふれています。

その後、なんらかのきっかけで、成功パターンが見いだされ、成長路線に転じます。頑張れば頑張るほど会社や売上は比例して大きくなり、社員のモチベーションは最高潮。再現性もあがっていきます。一方で、成功要因をきちんと整理し、ビジネスモデルとして形づくる発想にはなかなか至りません。

成長期の後半になると、儲けの仕組みができあがり、より効率的に稼ぐことや、リスクを回避するといった行動が生まれ始めます。あまり革新的なことには手を出さず、自分たちの築きあげたものを守る、既定の路線を遵守する、といった考え方が生まれていきます。

やがて、競合のキャッチアップや、市場変化、シェアの低下などで成長率は低くなり、安定期が訪れます。そうすると利益確保のためにコストにメスを入れたり、組織を変えたり、対症療法的な改善策で何とか凌ごうとします。そして何も効果をあげられなければ、そのまま衰退期に突入します。

保守的な思考に浸った組織の中で、いかに新しいイノベーションを生み出すか?それがこの時期の最大の課題です。縦割り組織や、「時期尚早なのでは?」というリスク回避の発言、「まずはコスト削減だ」といった官僚的な風潮が大勢を支配しています。

社内文書も数多くなり、目的を見失ったかのような会議ばかりが行われていることでしょう。この時期を乗り越え、新たなイノベーションを起こした企業のみが、再び成長路線に舞い戻ることができます。

2つの重要な視点

こうした時期にコミュニケーションをプランニングする場合、重要な2つの視点があります。

  1. 社員が成長曲線のどの時期に入社したのか、あるいは成功体験を積んだのか
  2. 会社だけではなく、事業部や商品、組織にも成長曲線を当てはめて考える

というのも、従業員は入社時期によって「褒められた事=成功体験」が異なります。草創期であれば、いろいろなアイデアを出し、果敢な挑戦をしていたこと。成長期であればガムシャラに頑張って同期で一番出世したこと。安定期であれば、新たなイノベーションの種の発見、全体の収支構造の再構築、といった成果を出したことなど、さまざまです。

社員は自分たちが視てきた世界と、成功体験に基づいて価値判断をし、行動します。彼らの視界を成長曲線にプロットしながら、未来に向けて新しいコンセプトをつくっていく。

骨は折れますが、ダイナミックな仕事でもあります。

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この記事の著者

並河 研

株式会社ゼロイン 取締役副社長
1984年リクルート入社。広報室でインナーコミュニケーション施策や教育映像を手がけ、40年超の歴史を持つ社内報『かもめ』2代目編集長を務める。2009年ゼロインの取締役就任。以降、多数の企業で組織活性化をプロデュース。並行してアメフット社会人チーム『オービックシーガルズ』運営会社、OFC代表取締役としてチームをマネジメント。

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