人を動かす経営メッセージの書き方~経営の言葉を、現場の言葉に~

経営メッセージ×テキストマイニングで傾向が見える?

1月もあっという間に前半が終了しました。『1月は行く、2月は逃げる、3月は去る』と言われるように、これから3月の年度末に向かって慌ただしい日々が本格化していきます。

昨年の暮れに年頭所感を仕上げたばかりの経営メッセージご担当者にとっても、管理職向けの方針発表、新年度の方針発表、入社式など、会社から従業員に対するメッセージ伝達の場が続々と控えていて、気が許せません。

くわえて、そのメッセージのテーマ設定にも頭を悩ませるのではないでしょうか。グローバル環境の変化や働き方改革、AI(人工知能)やRPA(ロボットによる業務自動化)などは、どのような企業でも話題に挙げたいでしょうし、かといって誰でも知っているような内容では、聞き手に響きません。

先日、あるお客様の経営者スピーチの内容を検討するミーティングに参加した際、社内報や社長メルマガ、コーポレートサイトなど、過去に経営から発信してきたメッセージを“テキストマイニング”してみました。

テキストマイニングは、メッセージ内容を名詞、動詞、形容詞などの単語・文節で区切り、それらの出現頻度や言葉の相関を分析することで、情報や傾向を可視化することができます。コールセンターやSNSなどで収集できる顧客の声分析や市場トレンド分析など、マーケティングでよく使われている手法です。

ゼロインではこのテキストマイニングを、経営メッセージの傾向把握や、それを受けた従業員の反応分析に活用しています。ちなみにそのお客様の分析結果は「不動産」「お金」「わし(僕)」が頻出ワードで、思わずみんなで笑ったものです。

「明治維新150年」で始まった安倍首相の年頭所感を分析してみると、「できる」「日本」「未来」「見据える」「守り抜く」「創る」が目立ちます。IT企業A社では「社会」「幅広い」「お客様」「IT」で、「お客様」が重要度の高いキーワードとして表示されました。

それぞれのメッセージの中から、大事にしているテーマが浮かんでいるのではないでしょうか。このような傾向を踏まえ、年間を通じてキーワードをあえて変えずにいくのか。それとも、キーワードを変えることで異なる印象を狙いにいくのか。参考にすることができます。

経営の言葉では伝わらない。“現場の言葉”が浸透の秘訣

トップからのメッセージに関連してもうひとつ。経営メッセージの作成に際して、お客様にお薦めしていることがあります。それは、経営の言葉のオンパレードではなく、現場の言葉に置き換えてみてください、ということです。

たとえば生産性には、「無駄を省きなさい」「時間当たりのアウトプットをあげなさい」という経営からの圧力が含まれます。このとき、現場の言葉(=従業員目線の言葉)に置き換えてみる努力が必要です。「早く帰って好きなことをしよう」「市場価値をあげよう」など、生産性をあげることで自分がどう変われるかを想起できる言い方です。

ほかにも、ある経営者は現場に生産性を語るため、本社ビル裏にある“行列のできる牛たん食堂”を例に挙げて「いかにして無駄な時間を削除しているか」「そのことで自分たちがどのようなメリットを得ているか」を紹介していました。

また、意識改革を実現するために、本当にあったクレームを紹介してお客様像を具体化された経営者の方もいます。それまでの「まぁそんなこともあるけど、他にもやることあるし…」という風潮を断ち切るために、一般論をやめて具体的に語ることで経営が「お客様」にきちんと応えていく姿勢を強く打ちだし、ついに現場が本気になったと聞きます。

文脈を汲み取り忖度をしてくれない(笑)手ごわい現場を前に大変な毎日ですが、“人を動かす”言葉づくりが、今年もまた始まります。

あとがき

この記事の著者

並河 研

株式会社ゼロイン 取締役副社長
1984年リクルート入社。広報室でインナーコミュニケーション施策や教育映像を手がけ、40年超の歴史を持つ社内報『かもめ』2代目編集長を務める。2009年ゼロインの取締役就任。以降、多数の企業で組織活性化をプロデュース。並行してアメフット社会人チーム『オービックシーガルズ』運営会社、OFC代表取締役としてチームをマネジメント。

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