こう聞かれて、すぐに「はい」と自信をもって言える方はそう多くないかもしれません。米国ギャラップ社の従業員エンゲージメントに関する調査によれば、日本では「熱意あふれる社員」はわずか6%(ちなみに米国は32%)と139カ国中132位。
一方で「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合が24%、「やる気のない社員」の割合はなんと70%にもなります。日本人の回答の仕方の特性も影響しているとは思いますが、なんともさびしい結果です。
この従業員エンゲージメントとは、自分の組織や仕事に熱意を持ち、自発的に力を発揮しようとする貢献意欲のことです。簡単に言えば、組織や仕事にワクワクすること、ワクワクしてしまう(内から“湧く”ものですからね)ことだと思います。このワクワクを、どうすれば増やしていけるのでしょうか。
最近は、従業員のエンゲージメントを高めるためにコミュニケーションの年間戦略や施策設計についてご相談をいただくことが増えてきました。従業員エンゲージメントの高い組織は、人材の定着や活躍、業績向上にもつながるという調査データが出ていますが、実施している施策が本当に効果的なのか、みなさんも日々、頭を悩ませているのではないでしょうか。
私たちがお手伝いする企業様、たとえば同業界の2社で同じコミュニケーション施策を実施する場合でも、そのやり方は大きく異なることがよくあります。1社でうまくいったやり方も、別の会社だと同様の反応が得られないのです。一体この違いはどこからくるのでしょうか。
私たちはその要因の一つが、企業文化にあると考えています。組織をコンピュータにたとえるならば、企業文化はOS=オペレーティングシステムのようなものです。最新のアプリ(=様々な施策や制度)を入れても、OSが古いと反応が悪くうまく作動しないことがあるかと思いますが、時代の変化にあわせてOSは随時アップデートしていく必要があります。
また、同じアプリでもWindowsとMacでは別で設計されるように、施策も企業文化にあわせて設計することが肝要だということです。サブタイトルにもある「企業文化とコミュニケーション」の関係性、これを紐解いていくのがこの連載の二つ目のテーマです。
三つ目のテーマは、人と組織、あるいは企業文化の令和時代のあり方について模索することです。先日、総研で実施した調査でも、世代別で分析すると、自分ごと化に大事な要素が若手世代と他の世代とでは異なる結果が出ました(これについては次回、お伝えします)。価値観は少しずつ変化しており、あわせてコミュニケーションのやり方も変えていく必要があります。
令和最初の仮面ライダー“ゼロワン”の主人公はAI企業の青年社長だそうです。紹介文には「一見AIそのものが“悪”のようにみえます。しかし本当にそうなのでしょうか?本当の悪はAIを恐れ、AIの能力の前に自分を諦め、考えることをやめた人間たちの中にこそ存在するのかもしれません」とあります。
技術そのものが問題なのではなく、使う人間側の意識や見方次第で、技術やシステムは良いものにも悪いものにもなります。時代の変化を恐れるのではなく、捉え方や意識を変え働きかけることで、組織システムや仕組みはよりよいものに更新していけるのではないでしょうか。
仮面ライダーシリーズは常にその時代を反映してストーリーがつくられていますが、私も総研ライターゼロインとして令和時代の企業文化やコミュニケーションのあり方を発信していきたいと思います。
この3つのテーマに、みなさんのお悩みや問題意識との接点を、何らか見出していただき、今後も読んでいただけたなら幸いです。次回は先ほど少し触れた総研調査の結果について具体的にお伝えします。
この記事の著者
並河 研
株式会社ゼロイン 取締役副社長
1984年リクルート入社。広報室でインナーコミュニケーション施策や教育映像を手がけ、40年超の歴史を持つ社内報『かもめ』2代目編集長を務める。2009年ゼロインの取締役就任。以降、多数の企業で組織活性化をプロデュース。並行してアメフット社会人チーム『オービックシーガルズ』運営会社、OFC代表取締役としてチームをマネジメント。