来期戦略の実現性を高める経営メッセージの制作タイミング

年明けの経営メッセージは、秋口から考える

私たちの現場でも、秋にはすでに来年の経営メッセージをどう作っていくのかがテーマになり始めます。年頭といえば年賀状が定番ですが、最近では動画でトップメッセージを発信する企業が増えてきています。弊社でも30秒から2分ぐらいの年頭メッセージ映像の制作をお手伝いしようと、先日そのサンプル版を作成しました。

それは、私が経営トップ役となって抱負や戦略を語り「今年も頑張っていこう!よろしく!」と締めくくるシナリオです。最初はさすがに「えー?今まだ9月じゃない。来年の自社の抱負、戦略を語れと言われても…」と思って収録を始めたのですが、やっていくうちに、想いが漲ってくる感じがして、“のっていく”自分に気づいたのです。

「今年は、こんなことに挑戦したい。こんなことを実現したい。そのためには、こういうことに取り組みたい」と語りながら、どんどんアイデアが浮かんでくるのです。そして、時はまだ9月。いま口に出した新しい取り組みや挑戦も、今から準備すれば本当に1月からスタートできるかも知れない。そう思い始めたのです。

今年はどんな年にするか。トップとして自分の会社をどのような1年にするか。年頭の静謐な空気の中で考えるのはもちろん定番ですが、前年の秋に考えることで、実現するための準備期間があり実行確率がぐっと高まるイメージを持てたということでしょうか。

意識したい3つの記憶

いろいろと検索してみると、私が年頭メッセージのサンプル映像収録で体験したことは「未来記憶」と言われているようです。

人には、「過去記憶」「現在記憶」「未来記憶」という3つの記憶があるそうです。

過去記憶は「あのときこういうことがあった」という記憶、現在記憶は「目先でこれをしなければ」という記憶、未来記憶は「これからこういうことをしたい」というワクワクした記憶だと定義されています。

『未来記憶』(池田貴将著/サンマーク出版)によると、経営トップやリーダーは、何よりも自分自身が良い感情の状態でいるために、自分自身の「未来記憶」について豊富に描く必要があるということです。リーダーがビジョンを語ることができるのも、失敗をしてチャンスと捉えられるのも「未来記憶」があるからだそうです。どんな困難な状況であっても、明確な未来を見据え続けていることがリーダーの絶対条件なのかもしれません。

ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術:できるリーダーは「未来記憶」を持っている! (1/2) [池田貴将,ITmedia]より)

年末年始、年度末年度初めの恒例の業務として「経営メッセージ」を「その時」に考えるのではなく、時間のゆとりをもって、1~2か月前に自分自身の「未来記憶」をフル活用して考え、口に出して語ってみる。それにより、現実化していく未来が増えるような気がした出来事でした。

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この記事の著者

並河 研

株式会社ゼロイン 取締役副社長
1984年リクルート入社。広報室でインナーコミュニケーション施策や教育映像を手がけ、40年超の歴史を持つ社内報『かもめ』2代目編集長を務める。2009年ゼロインの取締役就任。以降、多数の企業で組織活性化をプロデュース。並行してアメフット社会人チーム『オービックシーガルズ』運営会社、OFC代表取締役としてチームをマネジメント。

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