トップメッセージの定着率をあげるラーニングピラミッドの考え方

スピーチの定着率は5%

前回のZEROIN News5月号では、『忘却曲線』のお話をしました。ポイントは、スピーチの内容は20分後には4割、1時間後には6割、1ヵ月後には実に8割が忘れ去られてしまう、というものでした。

今回はさらに驚愕!?の事実をお伝えします。それは、伝える方法によって定着率は大きく変化するということです。

例えば、座って聞くだけの「講義形式」では、その内容の5%しか定着しないと言われています。単純な計算ですが、「講義形式」で伝達したトップメッセージの1ヵ月後の定着率は、『忘却曲線』の20%と、「講義形式」の5%を掛け合わせると、1%。なんと!伝達した内容の100分の1しか記憶に残らない可能性があるのです。

これは『ラーニングピラミッド』といって、学習の定着率に関してアメリカの大学で研究されたモデルです。1つのコンテンツに対する平均学習定着率は、講義形式が5%、資料や書籍を読むと10%、映像などの視聴覚の利用で20%、実演を見ると30%、他者との議論で50%、練習や実践の体験で75%、他者に教えることで90%まで上がると言われています。(※数字には諸説あるようですが)

つまり、より能動的な行為を行うほど定着率が上がるということです。ご自身の学習の経験を振り返ってみると、確かにそんな気がしませんか?

社内コミュニケーション施策に落とし込む

この『ラーニングピラミッド』モデルをインナーコミュニケーションの手法に置き換えると、スピーチ5%、紙の社内報10%、映像共有20%、事例のプレゼン・ロープレ見学30%、グループワークやセッション50%、学んだことの実践で75%、ナレッジ共有会などでスピーカーとして人に教えると90%、と置き換えることができます。

社員総会や方針共有会、幹部会議の現場では、メモやアンケートの記入によって定着をはかっている担当者の方もいらっしゃると思います。

内容の定着率を高めたい、また当事者意識を高めたいという目的に対して、わたしたちがご提案しているのは「グループワーク・セッション」です。

例えば、経営トップからのキーノートスピーチや「20年後の世の中は?」という環境認識に関するコンテンツの後に、15~30分程度の時間でグループセッションを実施、感想や決意のシェアを行います。これだけでコンテンツの浸透度は相当変わります。

さらにワールドカフェ形式で、セッションを複数回繰り返せば、全社的なブレストタイムにつながり、色々な気づきやアイデアが生まれることもあります。

ただ、社員総会や方針共有会は、コンテンツが山盛りになりがちで時間を多く割けないのも事実。そんなときは数分でも構いません。ちょっと席を立ちあがり、前後両隣りの4人程での簡単な感想交換をお薦めします。聞いた話を短い時間の中でアウトプットするプロセスが大脳に刺激を与え、クロックアップさせるのでしょう。ほんの数分であっても、これは意外に効果があります。

会の前半や中盤の重要なメッセージ後に入れ込むと、一気に当事者意識度が高くなり、その後のコンテンツ浸透度を高める効果も期待できます。

「会議」は伝える側と受け取る側、という一方通行のスタイルが染みついていると、「シェアタイム」には抵抗があるかもしれません、しかし、『ラーニングピラミッド』を思い浮かべていただき、定着率向上を意識したコンテンツを一度検討されてみてはいかがでしょうか。

この記事の著者

並河 研

株式会社ゼロイン 取締役副社長
1984年リクルート入社。広報室でインナーコミュニケーション施策や教育映像を手がけ、40年超の歴史を持つ社内報『かもめ』2代目編集長を務める。2009年ゼロインの取締役就任。以降、多数の企業で組織活性化をプロデュース。並行してアメフット社会人チーム『オービックシーガルズ』運営会社、OFC代表取締役としてチームをマネジメント。

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