現代のビジネス環境において、社内コミュニケーションの質は企業の成長と成功を左右する重要な要素です。しかし、リモートワークや多様な働き方が急激に広がる現代において、従来のコミュニケーション手法では解決できない課題が浮き彫りになっています。たとえば、情報共有の遅れや従業員間の信頼関係の低下は、組織全体の生産性や士気に悪影響をおよぼす可能性があります。
一方で、効果的な社内コミュニケーションは、従業員のエンゲージメントを高め、組織文化を醸成し、企業ブランドを強化する強力な武器となります。近年注目されている「インナーブランディング」や「エンゲージメント向上」の取り組みを通じて、従業員が組織の一員として誇りを持ち、積極的に貢献できる環境を構築することが求められています。
本記事では、インナーブランディングのプロジェクトや施策を年間200件プロデュースするゼロインが、社内コミュニケーションを取り巻く課題を整理し、その改善に向けた具体的な施策を、最新の事例や実践例を交えながら解説します。組織全体の連携を強化し、従業員一人ひとりが主体性を発揮できる環境づくりに向けたヒントとして参考にしてみてください。
目次
社内コミュニケーションの重要性社内コミュニケーションとは何か社内コミュニケーションを活性化することの企業メリットテレワーク時代の課題と重要性社内コミュニケーション不足によって引き起こされる課題部門間の連携不足が生む問題従業員間の信頼関係の低下オンラインと対面のコミュニケーションの違い社内コミュニケーション活性化の成功事例事例|20周年式典は、100年続く企業を実現する「はじめの一歩」事例|SAPジャパン50周年記念式典は、緑鮮やかな庭園で交流するファミリーイベント事例|社内運動会を通じたチームビルディング!急成長する組織の絆づくり事例|グループビジョン実現に向けた基盤づくり!社内文化祭『CULTURE FESTIVAL』社内コミュニケーションを活性化させる施策アイデアインナーブランディングを基盤としたビジョン共有ストーリーテリングを活用した一体感の醸成オンボーディングプロセスの最適化社内イベントを通じた横断的な社内コミュニケーションの促進フィードバック文化の醸成社内報ブランドを活かしたコミュニケーションツールの最適化社内コミュニケーション不足が企業に与える影響生産性への悪影響離職率の上昇イノベーションの停滞従業員満足度への影響組織文化への影響社内コミュニケーション活性化のためのロードマップ現状分析の方法チームごとの課題発見と共有目標設定とKPIの策定改善プランの策定と共有PDCAサイクルの活用コミュニケーション施策の定期的な見直し社内コミュニケーションならゼロインにお任せまとめ インナーブランディングの全体設計から浸透施策の企画・実行をワンストップ支援!
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社内コミュニケーションとは、企業内部で行われる情報、意見、感情のやり取りを指します。単に従業員同士の会話ややり取りを指すのではなく、会社から従業員に向けたメッセージ発信など、人ではない情報の流れも社内コミュニケーションに含まれますこのプロセスは単なる情報伝達にとどまらず、組織文化の醸成や従業員のモチベーション向上にも深く関与しています。
また、最近ではデジタルツールの普及により社内コミュニケーションの形態は大きく変化しています。適切なコミュニケーションが行われなければ、従業員間の誤解や連携不足が生じ、結果的に企業ブランド毀損や業務の非効率化、業績にまで悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、社内コミュニケーションは単なる業務連絡や関係性を意味するのではなく、組織全体のパフォーマンスを支える重要な基盤として位置づける必要があるのです。
社内コミュニケーションを活性化することで、企業は以下のような大きなメリットを享受できます。
技術革新や働き方の多様化を背景にしたリモートワークの普及によって、社内コミュニケーションの重要性はさらに高まっています。従来の対面コミュニケーションでは実現できていた非言語的な情報(表情や声のトーンなど)の欠如や、孤立感の増加といった課題が浮き彫りになりました。また、たまたまオフィス内で出会って立ち話をするような、偶発的なコミュニケーション機会も圧倒的に失われています。
このような課題を解決するためには、オンラインツールの効果的な活用や、従来の方法を補完する新しいコミュニケーション施策やコミュニケーション機会を、強い意志のもとで導入・推進することが求められます。フルリモートではなく曜日を決めた出社日を設ける、定期的なオンライン会議やチャットツールを通じたカジュアルな会話を促進する、社内の動きを積極的に共有するプラットフォームの導入など、多くの会社で施策やツールを掛け合わせて関係強化を実現しようとしています。
企業内では、部門間での情報共有が十分に行われない場合、業務の重複や見落とし、非効率化が発生しやすくなります。このような状況は、プロジェクトの進行遅延や、部門ごとの目標のズレを引き起こす原因となります。また、異なる部門間での目標や戦略の不一致が、会社全体の方向性を曖昧にすることがあります。
こうした問題を解消するためには、部門横断的なプロジェクトの推進や、定期的な連携ミーティングの実施が重要です。また、共通のプラットフォームを活用することで、部門間の透明性を高めることが可能です。
社内コミュニケーションが不足すると、従業員間の信頼関係が低下し、チームワークに悪影響を及ぼします。信頼関係の欠如は、従業員満足度の低下や居心地の悪さ、職場環境全体の満足度低下を招きます。特に、問題が長期化すると、離職率の上昇やパフォーマンスの低下といった深刻な結果をもたらす可能性があります。この課題を解決するには、従業員同士がお互いを知る場、業務以外のつながりを持てる機会、直接意見を交換できる場の提供、リーダーシップやマネジメントによる関係構築の推進が不可欠です。
オンライン環境でのコミュニケーションは、情報伝達の効率性が高い一方で、非公式な会話の減少や意図の誤解といった課題が生じやすい課題を持ちます。特に、非言語的な要素が欠如することで、感情やニュアンスが伝わりにくくなり、感情や心理的な要素を起因としたトラブルが発生しやすくなります。一方、対面のコミュニケーションは、細かな感情表現やリアルタイムのフィードバックが得られるため、信頼関係の構築において優れています。この二つの特性を理解して適切に活用することが、現代の多様な働き方に対応するための鍵となります。
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当社の設立20周年では、1年をかけて社員参加型の周年プロジェクトを実施し、企業理念・ビジョンをリニューアルしています。企業理念・ビジョンのリニューアルでは、経営陣・管理職が中心となって、ゼロインを「過去から現在」「現在から未来」の視点で丁寧に紐解きながら、半年の期間をかけて年度も議論を重ねて策定したものです。
この企業理念を、周年プロジェクトの集大成となる20周年式典の場で、創業者である代表が、自身の原体験や創業の思いを交えながら共有しました。さらに、新しい理念を社員がどのように理解し、どのように自分自身の仕事と紐づけて行動していくのか、テーブルに分かれてビジョンワークを実施しました。新しい理念が書かれた大きな模造紙を目の前に、一人ひとりが自由に書き込んでいきました。
ビジョンをもとにしたコミュニケーションは、会社と社員の接点づくり、社員同士のビジョン共有につながり、周年というハレの場も相まって活発なコミュニケーションが生まれました。
ドイツに本社を置くソフトウェア企業のSAP SE様が実施した50周年記念式典の事例です。
当日は従業員の家族や友人も招待しており、久しぶりに会った仲間やその家族が旧交を温め、こどもたちは会場で遊び回る、SAPに関わる多様な人々が交流を楽しむ会となりました。SAPジャパン様は、これまでも社内で実施するコミュニケーションイベントに家族を招待しており、アットホームな職場文化が培われています。
医療・介護・建設領域に特化した人材紹介サービスを提供する株式会社HR CAREER様は、チームビルディングを目的に社内運動会を実施しました。
HR CAREER様は設立からわずか4年で従業員数100名を超える急成長を遂げた、平均年齢29歳と若手社員が大半を占める活気あふれる会社です。これまで社員が一堂に会する全社会を年に一度実施してきましたが、今回は「チームビルディングで社内運動会をやりたい」という発案から、はじめての社内運動会を企画しました。
センコーグループホールディングス株式会社様(以下、センコーグループ)は、グループ全社員とその家族が参加対象の社内文化祭『CULTURE FESTIVAL 2023』を開催しました。
今回開催した『CULTURE FESTIVAL 2023』は、文化・スポーツ推進担当による活動の一環です。文化祭という社内イベントを通じて、「文化を楽しむきっかけ」と「人と人とのつながり」をつくることが目的に置かれました。イベントは社員主体で実施することが大事にされ、イベント企画や事前の社内広報、イベント当日運営は、入社1~6年目の社員による実行委員会が中心となって活動しました。
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インナーブランディングの観点から、社内コミュニケーションを強化するには、まず企業のビジョンを明確にし、それを従業員に共有することが重要です。ビジョンは、企業が目指す方向性や価値観を示し、従業員が自身の役割を理解するための基盤となります。
具体的な施策として、ビジョン共有イベントの開催や、企業理念を日常的に目にすることができる環境づくりが挙げられます。たとえば、社内掲示板やデジタルサイネージを活用してビジョンを可視化することで、従業員が常に企業の方向性を意識できるようになります。
また、一方的な発信・共有だけではなく、全社的なミーティングやワークショップの場づくりを通じて、従業員がビジョンに対して主体的に意見を述べ、理解を深める場を創出することも有効です。これにより、従業員が自らの業務を企業全体の目標と結びつけて考え、周囲と対話できるようになり、コミュニケーションの質が向上します。
ストーリーテリングは、従業員の心に訴えかけ、企業文化や価値観を深く理解させるための強力な手法です。企業が直面してきた課題や成功事例をストーリー形式で共有することで、従業員の共感を引き出すことができます。
社内ニュースレターや動画コンテンツを活用して、成功体験や企業の歴史を従業員に伝えることで共通の価値観やらしさを認識でき、組織全体の一体感が醸成されます。さらに、個々の従業員に関連する体験を語ってもらい、その内容を取り入れたストーリーを共有することで、従業員一人ひとりが企業において重要な存在であると実感できる環境を整えることが可能です。
ストーリーテリングを通じて、従業員が企業のビジョンに対する感情的なつながりを持つようになれば、自然とコミュニケーションも活性化します。
新しい従業員が組織にスムーズに馴染むためには、効果的なオンボーディングプロセスが欠かせません。このプロセスを社内コミュニケーションの一環として設計することで、従業員が早期に企業文化を理解し、積極的なコミュニケーションが生まれやすくなります。
具体的には、企業の価値観や文化、ビジョンを共有する初期研修を充実させるコンテンツが有効です。また、メンター制度を導入し、既存の従業員が新入社員に対して業務や文化について直接サポートする仕組みを構築することで、新入社員が孤立することを防ぐことができます。こうした取り組みにより、新しい従業員が迅速に組織の一員としての自覚を持ち、活発なコミュニケーションを取る基盤を築けます。
部門や階層を越えた社内コミュニケーションを実現するためには、社内イベントの活用が効果的です。特に、インナーブランディングの視点を取り入れながら社内イベントを設計することで、従業員が企業文化に対する理解を深めるとともに、横断的なつながりを形成できます。
たとえば、全社的なビジョン共有イベントや、従業員表彰式、趣味や興味に基づくワークショップを開催することで、部門を越えた交流が可能となります。また、オンラインとオフラインを組み合わせたハイブリッド形式の社内イベントは、リモートワーク環境下でも一体感を醸成するのに有効です。これにより、従業員が自らの役割を認識すると同時に、他のメンバーとのつながりを深める機会が提供されます。
社内イベントは、会社の戦略・方針の伝達や社員表彰、あるいは社員間の交流を目的として自社内で企画・運営されるイベントです。社員間の交流を目的とした企画であれば、運動会や社員旅行のように対象が広く大がかりなものもあれば、部活・サークル活動のように有志が集い開催されるものもあります。ほかにも、季節性を取り入れた社内イベントとして、お花見や浴衣イベント、クリスマスパーティーや忘年会なども考えられます。
さらに、周年記念パーティーなども社内イベントの一つです。このように、社内イベントはさまざまな機会や企画のもと、社内コミュニケーションの活性化を目的に活用されます。
社内コミュニケーション不足を感じている場合、タテ・ヨコ・ナナメを意識した部署間を越えて交流できるイベントもおすすめです。日々の業務上で接点のない社員と交流し、意見を交換することで新しい出会いから気づきや刺激が得られることもあります。
会社が認める高い成果や行動を体現した社員を称賛する社内イベントが社内表彰式です。社内表彰制度を導入している企業は50%を超えている、という調査もあります。従業員のモチベーションにも効果があり、モチベーションは企業の生産性に大きく関わってくるため効果的な施策です。
日々努力している従業員には、努力に応じた評価を与えることが必要です。「努力をしたところで何も報われない」と従業員に思われると、エンゲージメントの低下が懸念されます。社内で目立つのは営業などの数字が分かりやすい職種ですが、数字だけでなくプロセスや行動、あるいはビジョン・ミッションの体現度などを表彰対象に含めることで、多くの社員を表出することができます。
社内表彰は、各企業独自の基準に沿って選定・評価されます。一貫した基準があれば、「これぐらい頑張れば自分も評価されるときがある」と判断できるので、やる気につながり、業務に対してより真剣に向き合うようになります。また、表彰の栄誉感を高めることで、「自分もあの場に立ちたい」という動機が形成されますし、表彰者への質問や勉強会といった日常的なコミュニケーションが促進されます。表彰された本人だけでなく、周囲の社員のモチベーション向上や学び合いにつながることも、社内表彰のメリットです。
フィードバックの文化を育むことは、社内コミュニケーションを強化するために不可欠です。機会というよりは、従業員が自由に安心して意見を述べられる心理的安全性のようなコミュニケーション環境を整えることで、相互理解が深まりを加速させられ、より良いコミュニケーションが実現します。
具体的な施策としては、定期的な一対一のミーティングや匿名アンケートの実施が挙げられます。これにより、従業員が自身の意見や不満を共有しやすくなります。また、リーダー層が従業員からのフィードバックを積極的に受け入れ、その意見を反映した施策を実施することで、信頼関係が構築されます。フィードバックを通じて、組織内のコミュニケーションが活性化し、従業員のエンゲージメントが向上します。
1on1は、上司と部下が1対1で定期的に行うミーティングです。多くの企業で上司と部下のミーティングは実施されていると思いますが、通常の目標設定面談や評価面談とは目的・役割に違いがあります。
ミーティングで会話される内容は、具体的な業務進捗の確認などではなく、本人の気づきや自発的な行動変化を生みだす機会です。単なる業務報告で終わらせずに、上司は部下の考えや悩みを傾聴し、「どうしていきたいのか」という内発的な動機づけを引き出すコーチングやフィードバックが求められます。
1on1は、ミーティングルームで行うケースとウェブ会議システムを利用して遠隔で行うケースがあります。通常は週1回、最低でも月1回以上の実施が望ましいとされます。1回あたりの所要時間は30~60分程度で、短いサイクルで繰り返し行う点が、1on1の大きな特徴です。
社内報は経営メッセージや全社のお知らせ、社員インタビューなどを共有する媒体です。従来は、紙の冊子の配布が一般的でした。近年ではインターネットの発展、それに適応するサービスの開発により、ブラウザで閲覧するウェブ社内報やスマホアプリなどの社内SNSで代替する企業も増えています。また、より簡易的な方法としてメルマガ形式で配信する企業もあります。
紙の場合は編集や印刷に時間がかかるため、毎月や隔月ごとの発行が一般的でした。ただ、紙からウェブにプラットフォームが置き換わったことで、週次や毎日のペースで何かしらの企画を更新する運用も一般的になりました。
規模の大きな会社ほど、社員同士が顔と名前を認識することは難しくなります。特に入社直後では、他の部署の人や仕事についてほとんど何も知らないというケースもあるでしょう。しかし、社員が求める情報を社内報から得られるようになれば、コミュニケーションが今よりスムーズになります。
社内ブランドを反映させたコミュニケーションツールの導入やデザインは、従業員が企業文化を日々感じるための手段となります。たとえば、企業のロゴやカラーを活用したツールやポータルサイトを活用することで、統一感のあるブランドイメージを維持しながら、効率的な情報共有が可能となります。
また、こうしたツールを活用して、従業員が互いのアイデアや成功事例を気軽に共有できる場を提供することも重要です。このような取り組みは、情報共有の効率性を高めるだけでなく、従業員同士のつながりを強化する役割も果たします。
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社内コミュニケーション不足は企業の生産性に大きな影響を与えます。重要な情報が適切に共有されない場合、業務の重複や非効率なプロセスが発生します。また、意思決定の遅れがプロジェクトの進行に悪影響を与えることも少なくありません。こうした状況が続くと、従業員のモチベーションが低下し、企業全体の競争力が損なわれる可能性があります。
さらに、部門間や従業員間の連携不足により、目標の不一致が生じることもあります。この結果、組織全体が一体となって目標に向かうための力を失う可能性があります。これらの問題を回避するためには、情報共有のプロセスを見直し、迅速かつ正確に情報が伝達される仕組みを構築することが重要です。
従業員間のコミュニケーションが不足すると、職場環境全体に悪影響を及ぼします。特に、従業員が自身の意見が尊重されていないと感じた場合、エンゲージメントの低下や不満の増加につながります。これにより、離職率が上昇し、企業にとっては大きな課題となります。
離職率が高まると、新たな人材を採用し、育成するためのコストが増加します。また、既存の従業員にかかる負担も大きくなり、結果としてさらなる離職を招く可能性もあります。このような連鎖を防ぐためには、従業員一人ひとりの声をしっかりと受け止め、フィードバックを活用して職場環境を改善する取り組みが必要です。
自由な意見交換や情報共有が不足すると、企業内でのイノベーションが停滞するリスクが高まります。特に、異なる部門や多様なバックグラウンドを持つ従業員間での連携が希薄になると、新しいアイデアが生まれる機会が減少します。イノベーションの欠如は、企業の競争力や市場での立ち位置に直接的な影響を与える可能性があります。
これを防ぐためには、従業員が自由にアイデアを提案できる環境を整えることが不可欠です。具体的には、定期的なブレインストーミングセッションや、部門横断型プロジェクトの推進などが有効な手段です。さらに、提案されたアイデアを積極的に評価し、実現可能なものを迅速に採用する仕組みを構築することで、企業全体の創造性を高めることができます。
社内コミュニケーション不足は、従業員満足度にも深刻な影響を及ぼします。職場での孤立感や不安感が増すと、従業員が職務に対して意欲を持てなくなることがあります。また、自分の意見や考えが共有されない環境では、従業員が組織に対する帰属意識を失いがちです。
これを改善するためには、定期的なコミュニケーションの場を設けることが重要です。非日常な社内イベントや懇親会も良いですが、コミュニケーションにおいては接点数も重要ですので、日常的なチームミーティングや一対一の面談を通じて、従業員の意見や要望を積極的に聞く仕組みを導入します。また、意見が反映されたことを明確に伝えることで、従業員の満足度を向上させ、エンゲージメントを高めることができます。
コミュニケーションの不足は、組織文化全体にも悪影響を与える可能性があります。たとえば、従業員間での信頼関係が希薄になると、協力やチームワークが損なわれることがあります。このような状況では、従業員が自ら行動を起こすことをためらい、結果として組織全体の活力が失われることになります。
組織文化を守り、向上させるためには、トップダウンとボトムアップの両方のアプローチを組み合わせることが必要です。リーダーが模範となり、積極的にコミュニケーションを図る一方で、従業員が自発的に意見を共有できる環境を整えることで、組織全体が一体となって成長することが可能です。
効果的な改善を進めるには、まず現状の課題を明確化することが重要です。アンケート調査やインタビューを実施し、従業員が感じている問題点や改善希望を把握します。また、既存のコミュニケーションの流れを観察し、データで現状を可視化することで、具体的な改善ポイントを特定することが可能です。
さらに、分析結果を共有し、全従業員で課題意識を共有するプロセスが大切です。これにより、改善活動への参加意欲が高まり、効果的な施策の実行が期待できます。
現状分析を進める際には、全社的な視点だけでなく、チームや部門ごとの課題を掘り下げることも重要です。それぞれのチームには異なる文化やワークフローが存在し、課題も多様です。
具体的には、各チームが抱える問題を定期的なミーティングで洗い出し、それを可視化します。その後、全社の場で共有することにより、部門間の課題や成功事例を横展開することが可能となります。このプロセスを通じて、組織全体が抱える課題への理解を深め、解決に向けた意識を高めることができます。
改善施策を効果的に進めるためには、具体的な目標設定とKPI(Key Performance Indicators)の策定が不可欠です。目標は「チームミーティングの参加率を80%以上にする」や「社内コミュニケーション満足度を5ポイント向上させる」といった、達成可能で測定可能な形で設定します。
また、KPIを策定する際は、短期的なものと長期的なものをバランスよく設定することが重要です。たとえば、短期的なKPIとしては「3ヶ月以内に新ツールを導入する」、長期的なKPIとしては「1年以内に離職率を5%低下させる」といった目標が挙げられます。
目標とKPIが決まったら、改善プランを具体化します。このプランには、アクションステップ、責任者、タイムラインを明記し、従業員全員が進捗状況を把握できるようにします。
さらに、改善プランを全社的に共有し、透明性を持たせることが重要です。これにより、従業員が改善活動に主体的に参加しやすくなり、目標達成に向けた一体感が生まれます。
改善を継続するには、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)のPDCAサイクルを活用することが有効です。まず、計画段階で具体的な施策を設計し、それを実行に移します。
次に、実施した施策の効果を評価します。この評価プロセスでは、KPIに基づいてデータを収集し、目標達成状況を確認します。必要に応じて施策を見直し、改善することで、次のPDCAサイクルに活かします。
改善活動は一度きりではなく、定期的に見直すことが重要です。組織の状況や外部環境が変化する中で、施策も柔軟に調整する必要があります。
たとえば、半年ごとに従業員満足度調査を実施し、その結果を基に新しい施策を追加したり、既存の施策を修正したりします。定期的な見直しを通じて、コミュニケーション施策の有効性を維持し、組織全体の改善を続けることができます。
ゼロインは、大手企業から中小・スタートアップ企業まで、幅広い規模・業種のインナーブランディングや社内コミュニケーションに関する施策をプロデュースしています。年間200件以上のプロデュースを通して培った経験と知見が強みです。組織課題に悩む経営者や、施策の企画・実行にお悩みの担当者の方に寄り添い、策定から企画実行までを一貫して取り組んでいます。
特長は、共感と行動を起こすコミュニケーション設計です。多様性が求められる時代に、部署、役職、年齢など異なる背景を持つ従業員の心情に寄り添いながら、企業文化・風土に応じた施策や場づくり、メッセージ策定にこだわっています。
社内コミュニケーションの戦略設計から、イベント企画・運営、映像やサイトなどのメディア制作まで、社内コミュニケーションに関連するプロジェクトはゼロインにすべてお任せいただけますので、社内コミュニケーションに関するお悩みごとがあれば、まずはご相談ください。
社内コミュニケーションは、企業の成功や持続可能な成長を支える重要な要素です。本記事では、その重要性や課題、改善のための具体策について考察してきましたが、根底にあるのは「人と人のつながりを大切にする」というシンプルな理念です。
コミュニケーションを改善する取り組みには時間と労力がかかりますが、その先には従業員一人ひとりが企業の一員であることを実感し、誇りを持って働ける環境が待っています。まずは小さな一歩から始めてみてください。一つの施策が組織の活力を引き出し、さらなるイノベーションや成長につながるきっかけとなるはずです。
みなさんの職場がより良いコミュニケーションの場となり、組織全体が一体感を持って未来を切り拓いていくことを応援しています。
この記事の著者
中島 浩太
株式会社ゼロイン
2008年、株式会社ゼロインに新卒入社。インナーブランディング・社内コミュニケーション施策をプロデュースするコミュニケーションデザイン事業、ゼロインの管理部門、新卒採用担当、新規事業を経て、現在はコーポレートブランディング室において広報(社内広報・社外広報/PR)とマーケティングを担当。
インターナルブランディングの魅力的な取り組みを紹介するウェブメディアCAPPYの編集長として、さまざまな企業における企業文化づくりや組織活性化の取り組みを取材。