社員総会とは、1年や半年ごと、多い会社では3ヶ月(四半期)ごとに実施される社内イベントです。社員総会で実施されるプログラムは企業によりさまざまですが、定番のプログラムでは、業績の振り返り、経営方針・戦略の共有、企業理念・ビジョンの発信・浸透、社員表彰、懇親会などが一般的です。
以前は社内の大会議室や外部のホテル・貸会議室を利用して社員が一堂に会するオフライン(リアル)の実施形式が一般的でした。ただ、テクノロジーの進化や感染症対策の観点から、ウェブ会議システムなどを利用したオンライン開催も普及し、オフラインとオンラインを融合したハイブリッド社員総会も生まれています。
社員総会はどのような目的で実施され、どのような効果を生みだせるのでしょうか。今回は社員総会の目的や企画例を紹介しながら、成功事例や運営を成功させるポイントをお伝えします。
目次
社員総会とは?社員総会を行う目的とは?経営方針や戦略の共有社員のモチベーションの向上社内コミュニケーションの活性化社員総会を開催する時期社員総会の開催方式オフライン社員総会の特徴オンライン社員総会の特徴ハイブリッド社員総会の特徴社員総会のコンテンツ例業績の振り返りや新しい経営方針・戦略の共有トップスピーチ・プレゼンテーション業績優秀表彰や社内アワードの表彰懇親会やエンタメコンテンツ社員総会の成功事例社内イベント『DLN Spirit Day』で、新ビジョンを従業員全員が体感する(大和ライフネクスト株式会社)全社キックオフミーティングは、つながりと兆しを体感する社内イベント(S社)森永乳業グループのオンライン社内表彰イベント『Morinaga Milk Awards』(森永乳業株式会社)社員総会を成功させるポイント開催目的の整理・明確化一過性にならない社員の巻き込み参加する社員目線での環境整備ゼロインなら社員総会の設計から実行までをサポートまとめ社員総会の意味について、国語辞典では「社団法人における意思決定機関」であると記されています。株式会社における株主総会に該当し、役員の選任や解任など重要な事項を決定するときに実施されるものです。ただ、株式会社などの営利企業における社員総会は、異なる意味で利用されています。
通常、株式会社などで「社員総会」といえば、1年、半年、3ヶ月といった節目のタイミングに実施される、社員が参加する社内イベントです。呼び方は企業によってさまざまで、社員総会、全社総会、キックオフミーティング、あるいは企業名を冠した「○○day」といったイベント名で実施する企業もあります。
節目のタイミングに行われるため、業績の振り返りや社員表彰といった前期に関する内容と、新しい経営方針や経営戦略の伝達といった次期に関する内容が一般的で、さらに企業の価値観を再認識する企業理念の共有・浸透や、社員同士の交流を促す懇親会もよく実施されます。
社員総会はどのような目的で実施されるのでしょうか。プログラムやコンテンツは企業によりさまざまですが、次のような目的が一般的です。
社員総会の場は、経営や事業責任者が社員に向けて直接メッセージを伝える絶好の機会です。こうしたトップメッセージは、経営方針や戦略といった事業のかじ取りに関する内容もあれば、ビジョン・ミッションといった企業の存在意義や中長期の目指す姿も扱われます。
単に事実や内容を伝えるだけであれば、メールや社内報などの文字情報でも伝えることはできます。ただ、社員の共通認識を促進し、その実現に向けた行動を生みだすためには、一人ひとりに「なぜやるのか?」を感情とともに伝えて共感をつくり、「やりたい」「実現したい」という内発的な動機づけが必要です。やらされ仕事ではなく、主体的に取り組めているかどうかは行動の質や量、ひいては企業成長や業績に大きく影響します。
全社員を集めてメッセージを発信するときに、何を伝えるか、どのように伝えるかは非常に重要なテーマです。社員総会で「会社が存在する意味や意義」「会社が社員に求めていること」「何を実現して社会にどのように貢献したいか」などを共有することで、社員一人ひとりが自分の業務にあらためて向き合うきっかけになります。
そのため、近年の社員総会では未来志向に重きを置いて、ビジョン・ミッションや会社として目指すありたい姿の共有を主テーマにする企業が増えています。
多くの社員総会では、優秀な成果を挙げた社員を称賛する表彰式を行います。営業成績や何かしらの数値目標の達成を評価する業績表彰が代表的ですが、イノベーションや変革に挑戦した社員のプロセスやスタンスを称賛する表彰や、優れたマネジメントを行った管理職の表彰、ビジョン・ミッションを体現する社員の表彰など、さまざまな種類の表彰式が行われます。
表彰は、表彰される社員と、表彰されなかった社員、それぞれに良い影響を生みだします。表彰された社員は、会社や周囲から認められ、称賛されることで、自分の仕事に自信を持ち、「次もこの場に立ちたい」とより高いモチベーションで仕事に励みます。表彰されなかった社員も、受賞社員に刺激を受けて「自分もあの場を目指したい」と、より前向きな姿勢で仕事に取り組むようになります。
ほかにも、経営・マネジメント層から社員に対する感謝の伝達や、顧客・取引先からの感謝の声を集める手法もあります。社員一人ひとりが、自分の取り組む仕事の価値を感じられ、「ビジョン・ミッションの実現に向かえている」「誰かの役に立てている」ことを実感できれば、モチベーションの向上に期待ができます。
会社の規模が大きいほど、日常業務において他部署・他拠点の社員とコミュニケーションを取る機会は少なくなります。また、テレワークや働き方の多様化が進んだ結果、同じ部署に所属していても、実際に顔を合わせたことがない、という状況に陥っている組織もあります。
そうしたとき、社員総会の機会を活用することで、なかなか親交のない社員同士にコミュニケーションの場を与えることができます。タテ・ヨコ・ナナメと、生みだしたい交流の対象によって、得られる情報や生まれるコミュニケーションの中身は変わってきます。身の回りの仲間からは聞けない体験談や、自分の担当領域以外で行われている仕事など、顔や名前といった基本情報から、人となりや仕事に生きる話まで、コミュニケーションのテーマは自由に設定できます。
これまでにない社内コミュニケーションの創出は、ただ社員同士が仲良くなるだけではなく、生産性の向上や業務改善、イノベーションなどの新しいアイデアが生まれる可能性があります。「自分を知ってもらえている」ことは、会社に所属することへの安心感を生みますし、会社全体の雰囲気が良好となることで、働きやすい職場づくりから、エンゲージメント向上まで期待できるようになります。
社員総会の開催時期は年に1回や半期ごと、多い企業では3ヶ月に1回と、企業によって頻度や回数にばらつきがあります。ただ、前期の振り返りを実施するとなると、決算や人事評価などが一区切りついたタイミングに開催することで、情報を正確に伝達できるようになります。この開催時期は毎回のお決まりにすることで、参加する社員も心の準備ができ、日常化していきます。
開催時期に目途がついたら、関係各所への連絡や調整、詳細な日程決めを行います。そのうえで、外部会場を利用するのであれば会場検索にはじまり、プログラムの設計、コンテンツの準備、各種制作物の手配など、準備を進めていくことになります。表彰式を実施する場合は、同時期に表彰者の選定も行う必要があるため、人事や評価者とのスケジュール調整が発生します。
社員総会はその重要性から多くの準備と期間を要します。早めに年間の開催スケジュールを決めておき、余裕をもって準備や調整に取り組めるようにしましょう。
社員総会の開催方式は、「オフライン社員総会」「オンライン社員総会」「ハイブリッド社員総会」の3種類に分けられます。それぞれの開催方式にどのような特徴やメリット・デメリットがあるのかを紹介します。
オフライン社員総会は、社内の大会議室や、外部のホテル・貸会議室を借りて、社員が一堂に会する形式で実施します。オンライン社員総会が普及するまではオフライン社員総会が一般的でした。
非日常な空間に身を置くことで、日頃の業務から完全に離れて、社員総会のメッセージに集中できることが特長です。開放的な会場、大きなスクリーン、整った音響設備など外部会場のメリットを活用しながら映像や音楽などにこだわることで、臨場感のある空間演出が可能です。さまざまな演出を取り入れることでイベントとしての品質、ひいては社員の体験の質を高めることができます。
また、普段はコミュニケーションを取る機会が少ない部署や役職が異なる社員や経営者と時間を共有できるため、ワークショップや懇親会を取り入れることで、より密接な交流機会となります。
ただし、会場手配やイベント設営、当日運営など大がかりな準備や専門性が必要になるため、規模や内容によって外部のイベント会社を活用する必要があります。また、外部会場が1年前から予約で埋まってしまうことも少なくありません。やむを得ない事情でキャンセルになった場合、契約内容によっては多額のキャンセル費用が発生するリスクもあります。
参加者が多いほど、会場費やイベント関連費用などの支出だけでなく、社員の移動を含めて1日営業を停止することによる事業へのインパクトも発生します。社員総会にどれだけ投資をするのかは、社員総会の目的や効果をどこまで重要視するか、会社の文化や風土によって大きく変わってきます。
オンライン社員総会は、インターネット環境とウェブ会議システムなどのITツールを活用しながら、オンライン形式で実施します。近年のテクノロジーやデバイスの進化、ITツールによって大きく普及しました。
遠隔の拠点で勤務する社員でも移動を伴わずに簡単に参加でき、感染症対策にもなるので安心・安全に実施することができます。さらに、どれだけ人数が増えても会場手配が不要なため、ハード面ではオフラインほど費用が発生しません。
一方で、インターネット環境やデバイス環境によって見え方が左右されてしまうので、配信画面の品質担保には注意しなくてはなりません。あらかじめ社員の視聴環境を確認し、入念にリハーサルを行いながら調整していく必要があります。配信品質を高めるには、特殊なカメラや照明などオンライン用の機材手配が必要ですし、運営スタッフも必要です。さらに、安定的に配信するために通信回線の増強工事などが発生する場合もあります。
参加する社員の観点では、オフラインの非日常、没入できる環境とは異なり、メール確認やほかの仕事ができる環境に身を置いての視聴になります。画面を見続けるだけではすぐに飽きてしまうので、社員の注目を喚起するプログラムやコンテンツに工夫が必要です。
よくある失敗は、オフラインで実施していた内容をそのままオンラインに移行して実施するケースです。時間が長く感じ、プログラムも単調に感じてしまうため、社員の満足度が下がってしまいます。社員を参加させるワークショップなどの企画やツールの活用、映像の使用、プログラムの短縮など、抜本的な見直しが求められます。
会場費やイベント運営費でコストが下がった分、オンラインでも満足度を高められる演出やコンテンツに投資をして、品質・効果を高めにいくことが重要です。
ハイブリッド社員総会は、司会や経営層、表彰受賞者など一部の参加者がオフラインで集合して社員総会を進行し、その模様を撮影した映像を社員がオンライン視聴する形式です。会社によっては、社員がオフライン参加かオンライン参加を選べる形式もあります。
選択式の場合、オフラインで参加可能な社員は臨場感を味わいながら周囲の社員と直接コミュニケーションを取ることができます。一方で、遠方の社員や諸事情のある社員はオンラインで無理なく参加できるという、オフラインとオンライン、どちらのメリットも享受できます。ただし、オフライン開催に必要な会場やイベント運営準備だけではなく、オンライン開催に必要な配信機材も必要になるため、準備が複雑化します。
オフライン参加、オンライン参加を事務局側で決めると、適切にコストコントロールができるようになります。おすすめは、司会や経営層、表彰受賞者など、何かメッセージを発信する限られた社員を招いて、それ以外の社員はオンライン視聴するスタイルです。この場合、オフラインの会場は小規模で済むため、社員総会内のコンテンツに費用を投じられるようになります。
社員総会のコンテンツは目的によって多種多様ですが、ここでは代表的なコンテンツ例を紹介します。
社内総会の場では、業績の振り返りや新しい経営方針・戦略の共有がよく行われます。
振り返りでは、業績だけでなく、期初に定めた戦略・KPIなどがしっかりと進捗したのか、問題や未来に向けた課題は見つかったのか、経営や事業責任者の目線から振り返ります。社員一人ひとりは、自分たちの仕事の積み重ねがどのような成果につながったのかを把握することができます。
経営方針・戦略の共有では、ビジョン・ミッションや中長期経営計画に関する言及や、短期的な新しい1年で何を目指すかのゴールを共有します。このとき、ゴールだけではなく、「なぜやるのか?」や「どのようにやるのか?」といった「Why」や「How」まで絡めながらメッセージすることで、社員のモチベーションや本気度を高めることができます。
基本的な流れは、過去の振り返りから未来に向けて、時間の流れをイメージしながらプログラムを設計します。
オンラインで開催する場合には、配信画面だけでは話し手の温度感や熱量が伝わりにくいため、長時間に及ぶと参加者が飽きてしまう可能性があります。資料の投影だけではなく、視聴者を引き込む演出を取り入れることが重要です。また、未来の話やイメージしにくい抽象的な話をする場合には、短くても映像を取り入れることで、メッセージを分かりやすく、端的に伝達することができます。
社員総会におけるメインコンテンツのひとつが、経営者によるスピーチ(プレゼンテーション)です。
日頃、目の前の仕事に向き合っている社員たちに労いや感謝の言葉を伝えるとともに、目の前の仕事から少し目線を引き上げて、会社として実現したい未来をイメージできるメッセージを発信していくことが重要です。このとき、あまり遠い未来の話や突拍子もない未来を伝えては逆効果になってしまうため、「自分たちはすでにその未来に向けた一歩を歩んでいる」「この1年間で、私たちはこんなに変化・進化できた」と、一人ひとりの取り組みや成長を認めながらメッセージすると効果的です。
劇的なアクションや言い回しなどは重要ではありません。シンプルな言葉でも、気持ちや想いがしっかりと伝わることで、「自分も実現したい」「がんばっていこう」と社員のモチベーションの向上を促すことができます。
成績優秀者・部署の表彰も、社内総会でよく行われるプログラムです。表彰枠や選定基準は企業によって異なりますが、営業成績や優れた取り組みを選出するケースが多いのではないでしょうか。
近年では、企業理念にもとづいた社内アワードを実施する企業も増えています。「ビジョンの実現に近づく取り組み」や「会社が求めるバリューをもっとも体現した社員」など、数字であらわせる業績表彰とは異なる基準で選出され、プロセスやスタンスがフィーチャーされる傾向にあります。コンテンツの設計によっては、事前に候補者が選出され、社員総会の中でプレゼンテーションを行い最優秀者が決定する、という仕立てもあります。
表彰は称賛と栄誉であり、受賞社員とそれ以外の社員、双方に良い効果をもたらします。流れ作業のように表彰していくのではなく、しっかりと時間を取って行うことが望ましいと考えられます。特に、受賞者がコメントやプレゼンテーションできる場づくりがおすすめです。表彰された社員が何を考え、どのような壁を乗り越えて素晴らしい成果を実現したのか、共有ポイントを明確にして発信することで、本人も仕事のたな卸しができますし、聞いている社員もロールモデルとして仕事の参考にできます。
表彰は、「会社が何を評価するのか」を明確にメッセージすることになります。社内で増やしたい行動・スタンスがあるのであれば、表彰基準の見直しやアワード新設によって、社内変革に取り組むことができます。そのとき、社員総会における表彰式は、目指す姿を象徴的に社内共有する場として非常に効果的なプログラムです。
懇親会やエンタメコンテンツを設けて、社員同士のコミュニケーションを促すことも大切です。社員総会の構成で多いのは、第一部で戦略や表彰に関する内容の共有、第二部で社内コミュニケーションを促進する交流コンテンツ、という二部構成です。
懇親会やエンタメコンテンツは、現状の組織におけるコミュニケーション課題を整理することで方向性を定めやすくなります。タテ・ヨコ・ナナメのどのコミュニケーションを生みだしたいのか、日頃の社員交流はどの程度行われているのかなど、要素を整理しながら企画や組み合わせを決めていきましょう。まずは顔と名前を知るところからなのか、同年代との新しい交流を生みだしたいのか、日頃連携して仕事する職種同士の理解促進を実現したいのか、いろいろとアイデアが出てくると思います。
なお、こうした楽しい企画に関しては、社内から参加者を募ってプロジェクト型で決めていく方法が効果的です。おもしろいことに参加したい社員は社内に必ず存在しますし、現場からプロジェクトメンバーが出てくると、その後の広報や現場巻き込みでもスムーズに進みやすくなります。
社員総会に取り組む企業は、どのようなイベント・コンテンツを企画しているのでしょうか。社員総会の成功事例を3つ紹介します。
大和ライフネクスト株式会社は、新しいビジョン・行動指針である『DLN SPIRIT』披露の場として、社内総会を実施しました。DLN SPIRITを共有するシェアード・ビジョンと懇親会の2部構成となっています。
参加者全員に配布したリストバンドが映像に合わせて光り出すという演出で、オープニングから会場を盛り上げます。新ビジョン作成に至った背景やプロセス、思いについて伝えるプレゼンテーションでは社長がヘッドセットで登壇し、映像も織り交ぜやスーパープレゼン形式です。従来の社長スピーチに対するイメージを一新する仕上がりで、参加者の印象に深く刻み込まれる発表となりました。
続いてのトークセッションタイムでは DLN SPIRIT策定に携わったメンバーが、言葉に込めた思いなどを自分たちの言葉で語ります。さらにリアルタイムで投票やコメントをシェアできるシステムを採用することで、会場全体を巻き込むトークセッションとなりました。
S社様は、年に1回、全国から従業員を集めて全社キックオフミーティングを開催しています。2,500人が東京ビッグサイトに集結し、『Find CoLors!』のコンセプトのもと、一人ひとりの特色と個性豊かな彩りを再認識する場をつくりあげました。
プログラムは表彰式、事業方針説明会、懇親パーティーと大きく3つに分かれます。演出の仕立てを前年から大きく変えており、人が集まることの意味を感じてもらうために、参加感やLIVE感など、その空間でしか味わえない人の感情を強く意識しました。
従業員アンケートでは、オープニングの満足度96.6%、表彰式の満足度94.3%、事業方針説明の理解度98.7%と、非常に高い満足度を実現しました。普段会えない人と会い、事業を越えたつながりと兆しを感じ、一体感を抱く、目標達成の起爆剤となるキックオフミーティングとなりました。
全社キックオフミーティングは、つながりと兆しを体感する社内イベント|ゼロイン
全国から従業員2,500人を集めて実施した社内イベント「全社キックオフミーティング」の事例です。表彰式、事業方針説明会、懇親パーティーと3つのコンテンツで、一日かけて実施されます。従業員アンケートでは95%を超える非常に高い満足度を獲得しました。
社内表彰式は、驚きと感動、圧倒的な栄誉感で包む|ゼロイン
全社キックオフミーティング内で実施した社内表彰式の事例です。参加感、LIVE感を重視し、メッセージ映像やアカデミー賞形式のサプライズ発表を導入するなど、発表の緊張感を参加者全員で共有しました。喜びや感動、感情が伝播する社内表彰式となりました。
森永乳業株式会社様は、2017年に創業100周年を迎え、森永乳業グループのコーポレートスローガン・経営理念を新たに策定しています。この新しいコーポレートスローガンと経営理念の体現に向け、森永乳業グループは「社員一人ひとりがみずから考え行動する自律型組織」を目指して組織づくりに取り組んでいます。この自律型組織づくりの一環として、理念・行動指針の理解を深める『夢共創フォーラム』と、社内表彰制度『Morinaga Milk Awards』を、それぞれ集合型イベントとして企画・実施してきました。
『夢共創フォーラム』は、経営理念や行動指針、森永乳業グループの未来まで、日常の仕事を離れて一日かけてじっくりと考えるイベントで、日本各地の事業所やグループ会社から、役職も業務内容も異なる多様な社員が集まり、役職を抜きにしてフラットな状態で対話できるように設計されたプログラムに参加します。
『Morinaga Milk Awards』は、5つのテーマで社員の功績を表彰する社内表彰制度です。表彰テーマは『社長賞』『年間提案大賞』『トライアル&エラー大賞』『活き活き大賞』『イクボス大賞』で、森永乳業グループ社員6,000人超が対象となっています。
社員総会の成功は、社員のモチベーション・エンゲージメント向上において高い効果が期待できます。社員総会の成功には、次のポイントが重要です。
社員総会の成功には、何よりも目的の整理、明確化が欠かせません。これまでずっと社員総会を開催してきた会社では、実施することが当たり前になってしまい、開催自体が目的となっているケースがあります。目的が曖昧なまま開催しても、大きな投資に見合うだけの効果は得られませんし、場合によっては社員の労働意欲を削いでしまう可能性すらあります。
目的を明確にするためには、会社が中長期で「何を実現したいのか」「どのような会社でありたいのか」といった、目指す姿を策定するところからはじまります。そうしたときに、短期では何を実現するか、現状と目指す姿にはどのような乖離があるか、乖離を埋めるために社員にどのようになってほしいのか、社員には何を伝えればいいのか、と分解できます。
そのうえで、社内施策としてどのような方法が適しているのか、手段を検討していくことになります。課題によっては、社内総会でない場づくりや、社員総会プラスアルファの施策が必要な企業もあります。状況によっては、年間の社内コミュニケーションプランを設計する必要もあります。
ポイントは、社員総会だけですべてを完結させようと思わないことです。社員総会の1日で何かを変えることは難しく、社員も日々の仕事に戻ってしまえば、伝えたメッセージも徐々に薄れていきます。そのうえで、社員総会のその日にどうなってほしいのかを定め、オンラインとオフラインどちらが適しているのか、プログラムは何を実施すればいいのか、組み立てるステップを踏んでいきます。
社員総会に限らず、社内イベントや社内コミュニケーション施策を実施する際は、社員をいかに巻き込めるかが成功のポイントです。どこかの部署や事務局が社員総会のプロジェクトオーナーとなって進めることは重要ですが、そのメンバー内で完結してしまっては、「主催者」と「参加者」に完全に分かれてしまいます。本来は、社員一人ひとりが主役であり主体者になるはずなのですが、「忙しいのに社員総会なんて」「聞いても意味がないから参加したくない」と、ときにクレームにも近いような声が挙がることすらあります。
すでに述べたように、社員総会を実施したからといって、次の日から社員の意識や行動が劇的に変化するわけではありません。社員総会はあくまで象徴的な日であり、きっかけにしか過ぎないのです。社員総会は当日だけでなく、事前、事後と幅広い時間軸で考えることで、ビジョンや経営方針との接点を増やすことができ、理解・共感を高めることにつながります。
社員の巻き込みではじめやすいものは、懇親会の盛りあげプロジェクトを立ち上げて、社員に参加してもらう方式です。同じ部署や近い年齢で盛りあがることもいいですし、あえて幅広い部署・世代から選出して交流の幅を広げる選択肢もあります。仕事から離れて何か楽しいテーマを考えるのであれば、会話に困ることもありませんし、さまざまな立場から意見や考えを取り入れることができます。
ほかにも、アワードの受賞者を巻き込んで営業勉強会やノウハウ共有会、キャリア相談会などの企画を実施することで、ロールモデル人材をエヴァンジェリスト化する案もあります。社員総会のコンテンツに、顧客や取引先のインタビュー映像を取り入れて、一緒に自社の強みや「らしさ」を抽出するプロジェクトを実施することもできますし、未来を担う若手社員を集めてブランドプロジェクトを実施することもできます。
経営や事務局だけで決めたメッセージは、重要ですが退屈でもあります。「自分はどうしたいのか」「自分なら何ができるのか」をみずから考え、周囲に発散し、ディスカッションできるようになると、「自分のこと」として会社のメッセージを受けとるフックになっていきます。
社内総会には主に3つの開催方式があることを紹介しました。参加する社員にどのような「体験」を提供するのか、オフラインであれば会場選び、オンラインであれば配信システムの選定は非常に重要なポイントです。
会場選びでは、アクセスや費用、見栄え、演出の自由度など、さまざまな条件を複合的に踏まえて選定しなければなりません。ある程度の規模を超える人数を収容できる会場は、東京近郊には限られるため予約が集中し、1年前から埋まっていることもざらです。企画・演出先行で会場を選ぶ方法もありますが、人数やアクセスをもとに会場を抑えてからその会場で実現可能な企画・演出を決めていく方がおすすめです。
なお、会場は必ず下見が必要です。イベント企画・運営を外注する場合には、イベントパートナーと一緒に下見に行きましょう。最寄りからのアクセスや、クローク、喫煙所、トイレの数、ホワイエの有無や、天井の高さやスクリーンサイズ、音響設備など、企画・運営に欠かせない情報はしっかりと把握しましょう。
オンラインやハイブリッドで実施する場合は、視聴環境のサポートもケアしましょう。社員によって視聴デバイスが異なる場合や、スマホでしか閲覧できない社員がいる場合は要注意です。自宅から参加する場合には、安定したインターネット環境が整っていない場合もあります。あらかじめ社員の視聴環境を確認しておきましょう。
配信システムもウェブ会議システムの延長線上のものから、バーチャル空間でアバターを活用して参加できるものまで、いろいろなサービスが展開されています。一長一短あるので、それぞれの特性を把握して、最適なシステムを選びましょう。
社員総会は、会社として見据えているビジョンや目標、存在意義などについて経営層から発信し、全社員で向き合う重要な社内イベントです。
社員総会ついて、「経営側から発信するメッセージの浸透度を高めたい」「自社での企画や運営には限界がある」「高い効果を得られる社員総会のプログラム・演出を知りたい」などのお悩みがある企業様は、ゼロインにご相談ください。
ゼロインは、インナーブランディングや社内イベントのプロジェクトを年間200件以上手がけており、豊富なプロデュース経験で培ったノウハウを活かして、社員総会の設計から各種制作、イベント運営までワンストップでサポートしています。経営や事務局へのヒアリングから組織文化・ビジョンを紐解き、目的達成に向けたベストなプランを提案します。
社員総会は、会社と従業員をつなぐ、代表的な社内コミュニケーション機会です。ビジョン・ミッションや経営計画・戦略を従業員に共有することで、会社の目標や方針への理解・共感を生みだすと同時に、その実現に向けた従業員の行動を促す重要なきっかけです。参加者の心情を考慮したプログラム企画、コンテンツ設計が重要であり、「誰に」「何を」伝えて、「どのような行動」につなげたいのか、目的や役割を整理することでより効果的な場になります。
自社内での企画・運営にお悩みの場合は、ゼロインが目的整理からサポートいたしますので、まずはお問合せください。
この記事の著者
中島 浩太
株式会社ゼロイン
2008年、株式会社ゼロインに新卒入社。インナーブランディング・社内コミュニケーション施策をプロデュースするコミュニケーションデザイン事業、ゼロインの管理部門、新卒採用担当、新規事業を経て、現在はコーポレートブランディング室において広報(社内広報・社外広報/PR)とマーケティングを担当。
インターナルブランディングの魅力的な取り組みを紹介するウェブメディアCAPPYの編集長として、さまざまな企業における企業文化づくりや組織活性化の取り組みを取材。