VUCA時代のコーポレート・ブランド策定と、「論理思考」「デザイン思考」「アート思考」

VUCA時代のコーポレート・ブランド策定と、「論理思考」「デザイン思考」「アート思考」

インターナルブランディングパートナーとして、人・組織の“ありたい姿”の策定と実現を支援する株式会社ゼロインが、従業員エンゲージメントの高い組織づくりに役立つノウハウをお届けします。

この記事では、コーポレートブランドの策定・浸透サポートやインターナルコミュニケーションのプロジェクトを多数手掛ける三宅が、インターナルブランディングの最前線をお伝えします。

アート思考は、論理思考やデザイン思考と何が違うのか?

前回の記事では、組織文化やマネジメントにおける「アート思考」の重要性や活用法についてお伝えしました。

しかし、アート思考がどんなシーンでも一番役に立つという話ではありません。思考法はあくまでツールであり、目的や用途に応じて使い分けるものです。ゼロインが設計するコーポレート・ブランドの策定ワークショップでも、論理思考、デザイン思考、アート思考など、多様な思考法を組み合わせて実施しています。

たとえば、「論理思考(ロジカルシンキング)」は、課題解決の方策を抜け漏れがないように、事実や事例、データなどの根拠をもとに筋道を立てて検討していく思考法です。

ビジョン・ミッション・バリューの策定では、「SWOT(Strengths、Weaknesses、Opportunity、Thread)分析などで自社の強みや課題を抽出し、3C(自社、顧客、競合)分析などと掛け合わせて、バリュー・プロポジション(自社ならではの提供価値)を定義する」といったワークをよく実施しました。

最近はブランド策定のメインフレームとしてはあまり使用していませんが、短期・中期的な方向性や経営戦略を考えるにはやはり有効な手法だと思います。

強みやらしさを見出し、ワクワクする未来を描く

一方で「デザイン思考」は、ユーザー起点の課題解決の思考法と言えます。

状況の観察、あるいはインタビューやアンケートを通じて、ユーザーの共感ポイントや真のニーズがどこにあるのかを見出し、ブレインストーミングやプロトタイピング(試作)を繰り返してブラッシュアップしていきます。

OODA(Observe【観察】、Orient【方向づけ、状況判断】、Decide【意思決定】、Act【実行】)ループをまわすことで、刻一刻と状況が変化するVUCA時代に対応できる手法です。商品開発や組織変革の現場ではよく使われていますが、ブランド策定でもデザイン思考的なアプローチを取り入れて活用しています。

ゼロインが企画・設計するブランド策定のワークショップでは、まず従業員や顧客のインタビュー・アンケートを行います。そして、それらの回答から自社の強みや“らしさ”、価値観を抽出し、ブランドの核となる要素を定義していきます。自分たちのやりたい仕事や顧客から選ばれている理由、カルチャーといった大切な要素は、すでに社内や従業員の行動の中に必ずあるので、それらを丁寧にひも解いて拾いあげていきます。

そして、変化する状況の中で「実現したいと思う未来像」を描き、「これからも大切にしていくもの」を意思決定します。さらに、その未来を具現化するための組織を設計(まさにデザイン)し、持続的に実践・修正していきます。

これはAI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)と呼ばれる、ポジティブ思考型の問題解決による組織開発手法とも共通するやり方です。

パーパス策定は、向き合い続ける「問い」を見つけること

論理思考やデザイン思考は、課題解決の思考法とお伝えしました。一方、アート思考は「そもそも課題が何なのか」を見つけ出す、問題発見の思考法です。みずから「問いを立てる力」と表現してもよいかもしれません。

最近は、社会的な存在意義を定義する「パーパス」が注目されており、ゼロインでもパーパス策定ワークショップを設計・実施する機会が増えています。その際に重視しているのは、どんな社会課題に応答していくのか、実現したい社会のために、自社が向き合い続ける「問い」を決めることです。似ているようですが、「○○な社会実現のための“解決方法”」を宣言することとは違います。

VUCA時代は「正解のない時代」とも言われます。環境は今後も変化し続け、正解らしきものも変わり続けます。多様性の尊重はますます重要になりますが、正解もまた多様になるということです。決まった1つの正解はなくとも、適切な「問い」を持っていれば、目的や相手にあわせて、その都度、解を出せます。同じ1つの問いから、従業員一人ひとりが、ステークホルダーと共創しながら多様な解を生み出し、それぞれを正解にしていくことができるのです。

パーパスは存在意義であり、長期的かつ組織の根幹となるものです。自社だからこそやる意味があり、自分たちが本気で向き合い続けたいとワクワクできる、そして社外ステークホルダーも共感し、共創できる。そうした大きな問いが必要なのです。

そうしたときに大事になるのが、アート思考的なアプローチです。そもそもアートには正解も不正解もありません。ワークショップでは一人ひとりの感情や直感を大切にし、自分たちの内なる声に耳を傾け、掘り下げ、対話します。そこから“自分たちらしい”共通の信念にもとづく問いを発見し、言葉として定義・表現していきます。「自分たち起点」かつ「問い」だからこそ、強く揺るぎなく向き合え、より本質的に試行錯誤し続けることができるはずです。

VUCA時代に、特にパーパスやアート思考が重視される理由を感じていただけたでしょうか。とはいえ冒頭でお伝えした通り、コーポレート・ブランドの策定シーンでは何か1つの思考法に頼るのではなく、今回ご紹介した3つの思考法を組み合わせながらワークショップを設計して実行します。

どのような思考法を活用しようとも、ゼロインが大事にしているのは、組織としての思いをカタチにするだけではなく、従業員一人ひとりが持つ「個人の思い」と「組織の思い」を接続することです。

まずは、みなさん自身のパーパスを見つけるところから始めてみてはいかがでしょうか。

この記事の著者

三宅 柚理香

株式会社ゼロイン シニアコンサルタント
1997年からリクルートグループにおいて人材領域を中心に採用広報の企画・制作に携わる。2010年、株式会社ゼロインに入社。インターナルコミュニケーションのコンサルティング、コーポレートブランドの策定・浸透サポートなど多数プロジェクトに従事。現在はシニアコンサルタント 兼 コミュニケーションデザイン総研責任者。

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