周年でともに未来を描く!組織の状況に応じた多彩なワークショップ設計

2023年12月にゼロインの設立25周年イベントが実施され、その中で各部門の5年後ビジョンの共有が行われました。ゼロインが掲げる「すべての働くを元気にする」という企業理念を踏まえ、「5年後の30周年に私たちがつくりだしている、すべての働くが元気になっている社会」がテーマです。

このビジョン共有に向けて、まずは部門ごとにワークショップを実施して、実現したい社会を描き出しました。そして、それをもとにプレゼンや演劇やコントなど、自由な形式で発表しています。各事業の“らしさ”があふれる、とてもワクワクするものに仕上がっていました。(25周年イベントの様子をまとめたnoteはこちら

部門ごとのワークショップは、クライアントのビジョンやパーパス策定をサポートしているコミュニケーションデザイン部門の三宅が、各部門のリーダーと相談しながら個別に設計・ファシリテーションを行っています。今回は、それぞれに特色のあるビジョン・ワークショップの多様なやり方をご紹介します。

一人ひとりのWILLをもとに、ありたい姿を描き出す

基本的なワークショップのモデル・あり方は、ポジティブアプローチにもとづいています。現状の課題から「あるべき論」で未来を考える問題解決型は短期的な戦略立案には有効ですが、より長期的なビジョンやパーパスなどを策定する際にはこちらが向いています。一人ひとりの想いやらしさを見つめ、組織との接点を見つけ、お互いに混ぜ合わせながら、ありたい姿・理想像を描いていきます。

初回のセッションでは、自分にとって手応えのあった仕事について語り、そこで発揮された価値や強み、らしさ、大事にしていたスタンスなどを、聞き手と一緒に見つめていきます。まずはそれぞれの仕事の少し深い部分を知り合い、お互いに承認し合うことが大事です。このプロセスを経ることで、価値の再確認をしながら対話の土壌をつくることができます。

そして、ここで出たキーワードを整理し、共通項やその組織ならではの独自性を探り、自分たちがすでに持っているコアとなる要素を見出していきます。

次に、社会変化も見つめながら、「理想の社会」と「自分たちのありたい姿」を描き出していきます。現状の延長では到達できないような非連続な未来を描くこと、そして自分たちがやりたいとワクワクすることが大切です。本気で実現したいけれど、どうすれば良いかすぐには分からないこともありますが、だからこそ向き合い続けることでイノベーションは生まれます。

未来のイメージを言葉だけでやりとりしていると、どうしても抽象的なキーワードでの対話になりがちです。そこで、どんな人たちと、どんな関係性やアクションや価値が生まれていると良いのか、具体的な未来のシーンをイメージすることが重要です。

そのために、ありたい姿を絵に描いてもらったり、時にはレゴシリアスプレイ®️などを使って立体で表現してもらったりします。こうした言葉以外の表現手法を活用することで、より直感的にそれぞれの内にある想いや互いの共感を引き出すことができるようになります。

続いて、描き出したありたい姿に向かっていくために、「すでに自分たちが持っているらしさや価値の何をさらに強めるのか」、また一方で「何を変え、何を新たにつくっていく必要があるのか」、未来からバックキャスト(逆算)して考えます。

このとき、自分たちだけではなく、どんなステークホルダーと未来を共創していきたいのか、その中で自分たちはどんな存在でありたいのか、対話を通じて掘り下げていきます。

多角的な視点から質問を投げかけながら、自分たちの存在意義や価値のコアを突き詰めていきます。そうして、それらの多様な可能性を包含した一つのビジョンに集約していきます。

組織にあわせた6組織6様のワークショップ

ゼロインでは3つの事業部門と3つのスタッフ部門があり、組織ごとに業務や規模、状況が大きく異なります。そこで先述のワークショップモデルをベースにしつつも、部門ごとに異なるワークショップ・プログラムを設計しています。それぞれの組織で1回3時間のセッションを3回程度、実施しました(参加人数やタイミングにより多少異なります)。

総務コンサルティング・アウトソーシング事業部門

既存の事業モデルからのアップデートを目指しており、事業の方向性を見出す必要があるフェーズでした。多くのメンバーが顧客オフィスに常駐する働き方をしているため一斉に集まることは難しく、ワークショップはマネジャー以上の管理職で行いました。

初回のセッション後には、各グループのマネジャーがファシリテーターとなって、自分たちの仕事の価値を見つめ承認しあうメンバー向けのミニワークを実施。このミニワークで発信されたメンバーの声も踏まえ、つくりたい社会の姿を描き、実現に必要な価値や強みや組織文化を定義し、事業の方向性を具体的に探っていきました。

オフィスデザイン事業部門

この部門では、中期の事業方針策定に向けて部門内プロジェクトがすでに動いていました。そこで、そのプロジェクトにあまり関与してこなかった若手メンバーと部門長とでワークショップを実施しました。

2024年はゼロインがオフィス移転を行うため、別プロジェクトで今後の働き方やオフィスのあり方を検討するワークショップを実施していました。そこで、その延長線上の枠にハマらないよう、まず10年以上先の働き方と働く場の理想の姿を非連続で描き出しました。そして、その遠い未来の実現に向けたゼロインの5年後のオフィスの姿や、そこで生まれているシーンを具体的にイメージし、絵に描き出しています。

5年後のゼロインオフィスと働き方のありたい姿 5年後のゼロインオフィスと働き方のありたい姿

コミュニケーションデザイン事業部門

この部門では、これまでも数年にわたって部門メンバー全員でワークショップを実施し、つくりたい社会や事業のビジョン・戦略、大事にするカルチャーを定め、実行してきています。5年後の方向性はすでに明確なので、私たちの組織カルチャー(「自立した個」×「たがいを高めあう」→「変化を生み出す」)をベースにしたワークショップを設計・実施しました。

具体的には、クリフトンストレングス®️を全員で受検し、その結果を共有してお互いの才能を知り合い、強みとして発揮できるチームのあり方を探りました。さらに一人ひとりが強みを伸ばした5年後の個々人のありたい姿と取扱説明書を共有し、それらを掛け合わせたときにどんな価値を生み出せ、社会の可能性をひろげていけるか、というプロセスで未来を描き出しました。

コミュニケーションデザイン事業メンバーの才能一覧 コミュニケーションデザイン事業メンバーの才能一覧

経営管理部・経営企画部

人事、総務、経理、財務、経営企画など、職種によって業務が大きく異なり、普段はあまり一堂に会することがないため、お互いに仕事の価値を共有し、想いを対話し合える場があること自体が良い機会になりました。

各事業の先にある顧客や社会も意識しながら、ゼロインのありたい組織の姿を描き、そのために社内でどのような投資をしていきたいかを出し合いました。また、バックオフィスのサポートビジネスを展開する企業だからこそ、自社のバックオフィスの取り組みが世の中のショーケースでありたいと考えています。そこで、社内だけでなく社外・社会に対して「自分たちがどのような存在でありたいのか」を意識して未来像を描きました。

コーポレートブランディング室

室長以外は新卒1年目を含む若手で構成された組織で、将来的にはブランディングに注力したいものの、現状は全社のマーケティングや社内広報に手いっぱいの状況です。そこでワークショップでは、ブランドの策定・浸透の事例や手法を学び体験しながら、5年後のゼロインをどのようにブランディングするかを探求しました。

またブランディングにあたっては、社内の各組織とのつながりや現場を知ることが大事であるため、若手の二人が各事業や人事に事業・会社の価値やらしさについてインタビューする実践ワークも行いました。ワークショップを通じて、業務とも接続できる知見や体験、つながりを生みだすことを設計では意識しました。

IT推進室

IT部門ではSFプロトタイピングという手法を使ってワークショップを実施しました。これは科学的な理論やテクノロジーを基盤にしつつも、SF的に飛躍したストーリーを描くことで非連続な未来の可能性をイメージし、イノベーションを生み出していく手法です。

今回は22世紀の社会と“働くを元気にする”〈ひみつ道具〉を考えて、簡単な文章や漫画形式でストーリーをつくってもらいました。そこからバックキャストして、5〜10年後にゼロインが実現したい“働く”のあり方とIT推進室の役割を定義していきました。

働くを元気にするひみつ道具のアイデア 働くを元気にするひみつ道具のアイデア

メンバー全員が参画するプロセスで、ポジティブな想いを醸成する

このように各組織で5年後の社会や事業のありたい姿を描いた上で、その内容を25周年イベントの場でどう伝えるのかを考えるワークセッションも行いました。ストーリーづくりのポイントと、それぞれの組織の“らしさ”を掛け合わせた発表方法を話し合い、ワークショップ後に各組織内で発表を練り上げてもらいました。

メンバー全員が何らかの形でビジョン策定や発表のプロセスに参加したからこそ、社内の仲間にしっかりと伝えたいという想いとワクワク感が詰まったプレゼンテーションになったのだと思います。

ただし、25周年イベントで発表することは目的ではなく、あくまできっかけに過ぎません。ここから実際に未来に向けた行動が実践・体現されていくように、現場に接続することも意識して設計しています。

正解のない予測不能な時代だからこそ、自分の「やりたい」や「ともに実現したい」といったポジティブな想いが、納得感や推進力の源となります。ワークショップの場やプロセスで自分自身を見つめ、仲間や組織とともにその価値やらしさを体感し、変化や社外・社会に目を向けることで、それぞれの中に誇りやWILL、主体性が育まれていきます。

ぜひ、さまざまな場面でワークショップを活用してみてください。

この記事の著者

三宅 柚理香

株式会社ゼロイン シニアコンサルタント
1997年からリクルートグループにおいて人材領域を中心に採用広報の企画・制作に携わる。2010年、株式会社ゼロインに入社。インターナルコミュニケーションのコンサルティング、コーポレートブランドの策定・浸透サポートなど多数プロジェクトに従事。現在はシニアコンサルタント 兼 コミュニケーションデザイン総研責任者。

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