会社の周年行事・周年記念でおすすめの目的・流れや成功ポイントを解説

企業にとって、創立記念日や設立記念日といった周年記念を祝って実施する周年行事(周年事業・周年イベント)はステークホルダーとの重要なコミュニケーション機会です。株主や従業員、取引先に対して、日頃の感謝やビジョンを伝える絶好の機会になります。

かつてはホテルの宴会場を手配して、式典やパーティーを開催するイベント形式が一般的でした。しかし最近では、一過性のイベントだけで終わらせずに、中長期の目線で戦略的に周年行事(周年事業・周年イベント)を設計して取り組むケースも増えています。

この記事では、企業における周年行事(周年事業・周年イベント)の目的や内容、成功させるポイントなどを、企業の周年記念を多数プロデュースする株式会社ゼロインが解説します。企業の基盤づくり、さらなる成長につながる大切な周年行事(周年事業・周年イベント)の実現に向けて、ぜひ参考にしてみてください。

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会社の周年行事・周年記念とは?

周年行事(周年事業・周年イベント)とは、創業や設立を記念して実施される企業の取り組みです。従業員や株主、取引先などのステークホルダーに向けて感謝を伝えるとともに、ビジョンや未来像を共有する取り組みがよく行われます。

最近では、5年や10年ごとに迎える企業の節目を一つのきっかけと位置づけ、新しいステージに向かうための企業・組織文化のアップデートやイノベーションを生みだす取り組みも行われるようになっています。そのため、1年から数年の中長期にわたり、周年行事(周年事業・周年イベント)を展開する企業もあります。

周年行事・周年記念の役割や目的

周年行事(周年事業・周年イベント)といえば、ホテルの宴会場を借りて、式典やパーティーを開催することが一般的で、1日で終わるイベント形式が大半でした。しかし、企業・組織文化のアップデートやイノベーションの創出などが経営課題における重要度を増していくなかで、周年行事(周年事業・周年イベント)の目的や役割も変化していきました。

ステークホルダーとのコミュニケーション機会となる特性を利用して、従業員に企業理念や行動指針を再認識してもらい、組織としての一体感を醸成することや、企業ブランドの新しいイメージを社内外に打ちだすなどの目的例が挙げられます。

こうした目的を達成するためには、イベントなどの単体施策だけではなく、その過程も非常に大切になります。従業員一人ひとりが、周年記念を自分ごとに考え、コミュニケーションを高め、一体感を持って行事に向かうことで、次につながる周年行事が実現できるでしょう。

周年行事は、企業の変化や発展を目指して行われる大切な行事と言えます。

周年記念をきっかけに行事を行う必要性

新しい変化を起こし、社内外の理解を得る目的や、企業のプロモーションの機会になるということが挙げられます。周年ということで注目を集めやすいタイミングとも言えるでしょう。

周年のタイミングではなく、ある日突然新しいことを始めたり今までのスタイルを変化させたりすることは、社内外からの理解を得にくい場合があります。しかし、社内外の注目度が高い周年のタイミングで行うことで、理解や納得を得やすくなり、より大きな効果が期待できるのです。

周年行事・周年記念はいつからいつまで?

一般的には、創業記念日や創立記念日、設立記念日から1年間、あるいは記念日を迎える年度を周年と捉える企業が多くあります。創業、創立、設立のいつを選ぶかは、企業の背景や考え方によってさまざまです。前回の周年行事が行われた年を確認して決めるとよいでしょう。

なお、周年で使われる言葉には「創業」「創立」「設立」などがありますが、それぞれ厳密には意味が異なります。企業によっては、創業と設立に違う意味を持たせ、複数の周年事業・周年イベントを展開する場合もあります。また、周年プロジェクトは周年イヤーの2~3年前から動きだす企業が多く、もっと長い年数をかけて行う企業もあります。

周年行事・周年記念の内容

これまで多く行われていたイベント型に代わって行われる最近の周年行事(周年事業・周年イベント)は、企業独自にさまざまな施策・手法を複合的に組み合わせたものが主流です。企業がこれまでの歴史に感謝をしつつも、今後を見据えて会社・事業を継続させていくために、自社に適した施策を選択し、大きな枠組みの中で設計していきます。

周年行事を行う際は、何よりも目的を明確にすることが大切です。目的が明確でなければ、方向性が定まらず、成果を出しにくくなります。周年という節目だからこそ、普段はできないことや新しいことへの挑戦もおすすめです。

会社の周年行事・周年記念の事例

プロミス策定とブランドリニューアルで次の100年へ!富士酸素工業の100周年プロジェクト

●社名:富士酸素工業株式会社様
●対象:社員/取引先/地域・社会

静岡県東部エリアを中心に、法人・個人向けのガス事業を展開している富士酸素工業株式会社様は、創業100周年を迎えました。富士酸素工業様はこの100周年を迎えるにあたり、5年以上前から周年プロジェクトを立ち上げ、「次の100年」への一歩を踏みだす準備を進めてきました。

そして、プロミス(経営理念)を従業員主体で策定するプロミス策定プロジェクトや、CI(会社ロゴ)・ユニフォームのリニューアル、従業員や取引先・消費者を対象にしたイベントなど、さまざまな周年記念施策を1年以上かけて順次、展開しています。

SAPジャパン50周年記念式典は、緑鮮やかな庭園で交流するファミリーイベント

●社名:SAPジャパン株式会社様
●対象:社員/社員の家族・パートナー/社員の友人

ドイツに本社を置きグローバルに展開するソフトウェア企業のSAP SE様は、グローバル本社が創業50周年を迎え、日本法人のSAPジャパン株式会社様も設立30周年を迎えました。

当日は従業員の家族や友人も招待したことで、久しぶりに会った仲間やその家族が旧交を温め、こどもたちは会場で遊び回る、SAPに関わる多様な人々が交流を楽しむ会となりました。SAPジャパン様は、これまでも社内で実施するコミュニケーションイベントに家族を招待しており、アットホームな職場文化が培われています。

ブランドリニューアルで新たな未来を目指す!シンクロ・フードの設立20周年記念イベント

●社名:株式会社シンクロ・フード様
●対象:社員

株式会社シンクロ・フード様は設立20周年を迎え、節目となる20周年を全従業員でお祝いし、新たな旅立ちの日とするため、『設立20周年記念イベント』を実施しました。

シンクロ・フード様は設立20周年を迎えた節目のタイミングに、コーポレートブランドとサービスブランドをリニューアルしており、このイベントでは20周年を祝うだけではなく、社内へのブランド共有や、「提供価値」や「目指したい未来」を語るワークショップを行っています。

周年行事・周年記念の事例一覧

ここで紹介した以外にも、会社の周年行事・周年記念の事例を掲載しています。

周年行事・周年記念の事例一覧はこちら

周年行事・周年記念を行う流れ

周年行事(周年事業・周年イベント)を行う一般的な流れを紹介します。大きく3つの流れに分けることができます。

準備(周年2~3年前)

一般的に、周年を迎える2~3年前から準備をスタートします。大きな方針や予算案の策定、プロジェクト体制を決定します。社長など周年行事の決裁者と相談し、周年にかける思いや捉え方、経営ビジョンなどを確認し、それをもとに方針を決定するとよいでしょう。

設計(周年1年前)

周年全体のコンセプトや施策ごとのコンセプト・企画の立案から決定、発注先の選定や細かい予算管理、周年事務局の立ち上げなどを行います。周年の目的や意義を積極的に共有しながら周年事務局のコミュニケーションを活発化させ、まずは事務局メンバーの意識や行動を変えていくことが大切です。

実行(周年の年)

年間を通じて周年行事(周年事業・周年イベント)の各企画を実行していきます。周年行事(周年事業・周年イベント)を成功させるためには、事務局だけの力では実現できません。従業員をしっかりと巻き込みながら、会社全体で盛りあげていきましょう。

周年行事・周年記念の失敗例と対処法

周年行事(周年事業・周年イベント)は大きなプロジェクトのため、成功させることは簡単ではありません。周年行事(周年事業・周年イベント)の失敗例と対処法を紹介します。

周年事務局の連携不足

周年行事(周年事業・周年イベント)を進めていく際、現場から選抜した従業員が中心となってプロジェクト型で進めるケースが良くあります。しかし、日頃一緒に仕事をしていないメンバー同士であり、本来の業務を抱えながらの参加になるため、意思の疎通がうまく図れず、周年プロジェクトがスムーズに進まないことがあります。

対処法は、プロジェクトメンバーを集めて事務局を立ち上げる際に、企業における周年の重要性や目的、メンバーの役割を明確にして、同じ方向を向いて進めていくことを確認するようにすることです。なかなか社内だけでファシリテートすることが難しい場合は、外部の専門企業のサポートを受けることも一つの選択肢です。

周年事務局の意思だけで進めてしまう

周年事務局のプロジェクトメンバーだけで周年行事(周年事業・周年イベント)を進めてしまい、経営や関連部署の了承を得ていなかったために、直前で内容変更が生じる場合があります。

周年行事(周年事業・周年イベント)のプロジェクトには、必ず経営にもプロジェクトオーナーとして参画してもらい、合意形成を取りながら進めましょう。また、実施する施策によっては現場メンバーの協力を得る必要や、時間を割いてもらう場合があります。経営だけでなく事業責任者や社内で影響力を持つ人に進捗を伝えながら、応援してもらえるプロジェクトづくりに努めましょう。

予算や忖度などで企画を決める

周年行事(周年事業・周年イベント)を行う場合、当初の概算で策定した予算にとらわれ過ぎてしまい、多角的な検討をせずに企画を決定してしまう例があります。また、社内関係者への忖度を重視して内容を決めてしまい、時間と費用はかかったものの本質的な成果を出せなかった事例もあります。

周年行事(周年事業・周年イベント)の企画や内容は、「企業の未来のために何が必要なのか?」を一番に考えて決めなければいけません。その中で予算と照らし合わせて優先順位をつけていく必要がありますし、必要に応じて費用対効果を検証しながら追加予算を起案してもいいかもしれません。何のために周年行事(周年事業・周年イベント)に取り組むのか、重視するべきことは何か、目的を見失わないようにしましょう。

周年行事・周年記念を成功させるポイント

周年行事(周年事業・周年イベント)を成功させるポイントは4つあります。周年行事(周年事業・周年イベント)の成功に向けて、ポイントをしっかり抑えておきましょう。

目的を明確にする

周年行事(周年事業・周年イベント)を企画する際は、最初に目的を明確にすることが大切です。目的が定まっていなければ、プロジェクトを進めるうえで必要な決断に迷いが生じる場合や、方向性がずれる可能性があります。

経営の意向をくみ取りながら目的を定めて、定期的に目的に立ち返ることで、プロジェクトの円滑な進捗や、従業員の一体感醸成に向けた企画立案ができるでしょう。

社内一丸となって行う

周年行事(周年事業・周年イベント)は会社が一丸となって行う一大プロジェクトです。中心となって進めるのは事務局や周年プロジェクトのメンバーですが、そのほかの従業員からの賛同なしに成功させることは難しいでしょう。早い段階から従業員を巻き込み、一人ひとりが自分ごととして考え、参加してもらえるように働きかけることが大切です。

全社イベントでの広報や経営からのメッセージ、社内報、社内SNSなど、複数のコミュニケーションチャネルを活用して、周年の重要性や目的を繰り返し共有することで、社員の理解を深めていきましょう。

スケジュールを明確にして実行する

周年行事(周年事業・周年イベント)のプロジェクト全体像を設計した段階で、細かいスケジュールまで落とし込みましょう。その場合、予定通りに進捗しない事態は十分に起こり得るので、できるだけスケジュールに余裕を持たせながら、遅延が発生したらその都度、影響範囲を確認しながら軌道修正します。イベントを行う場合には事前リハーサルをしっかりと行い、想定されるトラブルの対処法についても確認しておくことが必要です。

周年行事(周年事業・周年イベント)終了後は、必ず振り返りを行います。設定していた目的が達成できたのか、成果を確認して報告することで、次につなげることができます。効果のあった施策は周年だけで終わらせるのではなく、ポスト周年イヤーとして翌年以降に継続して取り組むのもおすすめです。あくまで周年はきっかけなので、従業員やステークホルダーの反応をうかがいながら、取り組みの方向性を見定めましょう。

外部のサポートを受ける

周年行事(周年事業・周年イベント)は非常に大きなプロジェクトであり、専任担当がいる企業はまずありません。日常業務と兼務で企業周年を担当することは負荷が大きく、社内の従業員だけでは大変なこともあるでしょう。そこで、外部に依頼して設計や企画・実行面でサポートを受けることも成功の近道です。

周年プロジェクトの中には、企画業務と作業が混在していますが、発注先対応・管理や各種制作物の手配、社外へのお知らせ、社内広報などの作業面だけでも相当な業務量です。外部企業にそうした部分を任せて、社内メンバーは企画に集中できるような環境をつくるだけでも生産性を高められます。

周年行事・周年記念のメンバーの選び方

周年行事(周年事業・周年イベント)プロジェクトの円滑な進行には、事務局やプロジェクトメンバー選びは重要な要素です。メンバー選びは、次に挙げるポイントを軸に、各部署から選出すると良いでしょう。

  • 周年行事(周年事業・周年イベント)を自分ごとで考えられる
  • 周囲への影響力が大きい、周囲からの人望が厚い
  • 次世代のリーダー・管理職候補
  • 現状に対する危機感を持ち、成長する意欲がある

こうしたポイントを踏まえてメンバーを決定したら、先述したとおり重要性や目的などゴールを共有して、方向性を定めて動きだしましょう。

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企業のインナーブランディングならゼロイン

ゼロインは、年間200件以上の企業のインナーブランディングや社内イベントのプロジェクトをプロデュースする豊富な実績があります。この実績をもとに、企業の周年行事(周年事業・周年イベント)の戦略的な活用方法を提案しています。周年行事(周年事業・周年イベント)は、ブランディングや企業文化・組織風土などの変革や、従業員・取引先とのエンゲージメント向上など、企業の持続的な成長のきっかけとできる機会です。

周年行事(周年事業・周年イベント)は毎年行うものではないため、どのように進めていけばよいのか迷うこともあると思います。ゼロインは、そうした周年行事(周年事業・周年イベント)を行う際の疑問点や悩み相談から受け付けています。

まとめ

周年行事(周年事業・周年イベント)の開催にあたり、流れや成功ポイントなどを解説しました。5年や10年おきに行われる周年行事(周年事業・周年イベント)は、企業の過去を振り返り、未来を向いて、社内の変革を促進できるコミュニケーション機会です。直前になって慌てることがないよう、長期的な計画を立てて周年行事(周年事業・周年イベント)の成功を目指しましょう。

この記事の著者

中島 浩太

株式会社ゼロイン
2008年、株式会社ゼロインに新卒入社。インナーブランディング・社内コミュニケーション施策をプロデュースするコミュニケーションデザイン事業、ゼロインの管理部門、新卒採用担当、新規事業を経て、現在はコーポレートブランディング室において広報(社内広報・社外広報/PR)とマーケティングを担当。
インターナルブランディングの魅力的な取り組みを紹介するウェブメディアCAPPYの編集長として、さまざまな企業における企業文化づくりや組織活性化の取り組みを取材。

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