会社の創業・設立から数えて5年、10年ごとに迎える節目のタイミングは「周年記念」と呼ばれ、会社によっては周年事業・周年イベントを実施します。開催目的や実施される施策はさまざまですが、これまでの歴史を振り返りつつも、企業成長や事業拡大など「未来につながる“きっかけ”」にしたいと考える会社が大半です。
周年事業・周年イベントの参加対象は、まず社員が対象になる傾向にありますが、社員以外にも社員の家族や取引先企業、消費者、株主、地域・社会といった社内外のステークホルダーまで広く含まれることもあります。
この周年記念、迎えるに際して「周年に何をしようか」「どのように周年事業に取り組もうか」と検討をはじめると、具体的な施策や企画・アイデアのイメージがわきにくく、多くの周年担当者の方が頭を悩ませます。周年記念の開催頻度は5年や10年と大きな間隔が空いてしまうため、以前の開催記録や情報が残っておらず、残っていても古いやり方は参考にならないことが多いためです。
また、企業成長や環境変化を背景に、はじめて周年記念に取り組む会社もあります。そうした場合は、まったく情報がない状態から、手探りで周年記念を企画しなければなりません。
会社における周年記念は、社員や取引先を含む多様なステークホルダーとの絶好のコミュニケーション機会です。感謝を伝え、未来を共有することで、エンゲージメントを高めることができます。しかし、適切な進め方が分からず、周年のポテンシャルを十分に発揮できない会社も少なくありません。
そこで、会社の周年事業・周年イベントを多数プロデュースする株式会社ゼロインが、周年事業・周年イベントの企画アイデアに悩む周年担当者の方を対象に、会社の周年記念の基本概要や対象・目的の考え方、人気の企画アイデアを紹介します。また、ゼロインがプロデュースした周年事業・周年イベントの成功事例や、周年記念を成功させる進め方のポイントも解説しています。
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周年事業・周年イベントを戦略的に活用する!周年記念の企画・設計の考え方&事例集
目次
周年事業・周年イベントとは?周年事業・周年イベントの対象と目的社員社員の家族アルムナイ社員(転職・退職した元社員)取引先企業(顧客企業)取引先企業(仕入先・協力会社)消費者・ユーザー株主地域社会周年事業・周年イベントの企画アイデア(ブランディング)コーポレートロゴ刷新理念策定・再構築リブランディング周年事業・周年イベントの企画アイデア(イベント開催形式)周年式典・周年パーティー社内表彰・アワード社内コンテスト感謝の集いファミリーデー社員旅行ファンミーティング周年事業・周年イベントの企画アイデア(イベントコンテンツ)プレゼンテーションワークショップパネルディスカッションゲスト講演ゲストパフォーマンスコンテスト歴史展示フォトブース・フォトスポットモザイクアート余興(社員パフォーマンス)鏡開きタイムカプセルオリジナル楽曲制作抽選会記念写真撮影ギネス認定周年事業・周年イベントの企画アイデア(紙・印刷物)招待状周年記念誌・社史ブランドブック周年事業・周年イベントの企画アイデア(映像)歴史映像顧客の声映像ビジョン映像ブランド映像キャンディッド映像周年事業・周年イベントの企画アイデア(ウェブ)周年記念ページ(社内ポータル・社内イントラ)周年記念特設サイト(社外向け)周年事業・周年イベントの企画アイデア(制作物・ノベルティ)周年記念ロゴ名刺ネックストラップ文房具パーカー・Tシャツお菓子周年事業・周年イベントの企画アイデア(PR・プロモーション)キャンペーン周年特別セールテレビCM新商品・サービスの発表商品・サービス復刻版の発表記念展示コラボレーションコンサート周年事業・周年イベントの成功事例周年事例|プロミス策定とブランドリニューアルで次の100年へ!富士酸素工業の100周年プロジェクト周年事例|1年をかけて取り組んだTMJ30周年プロジェクト!全従業員が周年に触れる機会づくり周年事例|SAPジャパン50周年記念式典は、緑鮮やかな庭園で交流するファミリーイベント周年事例|ブランドリニューアルで新たな未来を目指す!シンクロ・フードの設立20周年記念イベント周年事例|ハイブリッド型周年イベントへの挑戦!70周年事業で感じる仕事の価値と誇り周年事例|AGC110周年プロジェクトの最後を飾る、家族参加型の周年イベント『Aフェス』周年事例|20周年式典は、100年続く企業を実現する「はじめの一歩」周年事例|20周年イベントは、お客様を招待した「感謝の集い」で最上のおもてなし周年事例|想いをつなぐ40周年イベント『Make Next Festa』周年事例|周年式典と周年記念誌で彩るマックスリアルティー20周年周年事業・周年イベントを成功させる進め方周年プロジェクトを立ち上げる中長期的な視点で全体設計する周年記念の対象と目的を明確にする目的達成に必要な施策を検討する実施施策の発注先・予算を決定する周年プロジェクトの全体像を定める社内を周年プロジェクトに巻き込む事前広報で期待感を醸成する事後広報で期待感を持続させる周年事業・周年イベントの企画アイデアまとめ会社の周年記念は、創業・設立から5年ごと、あるいは10年ごとの、切りの良いタイミングで実施される傾向にあります。ただし、会社によっては創業・設立記念日を毎年祝う場合もありますし、3年や7年といった企業独自の周期で祝う場合もあります。
周年事業・周年イベントは、そうした周年記念に実施される会社の取り組みです。一定の目的をもって企画・実施され、その対象や内容は会社によって千差万別ですが、多くの場合、周年を彩る象徴的な施策として周年イベントが実施されます。周年イベントは、周年式典や周年パーティー、社外向けであれば「感謝の集い」と呼ばれることもあります。
周年記念は、会社にとって節目のタイミングであり、特別な「ハレ」の場です。こうした節目の機会は、日常のビジネス活動と比較したときに、「過去を振り返る」ことや「未来に目を向ける」こと、「普段お世話になっている方々へのかしこまった挨拶」や「普段はなかなかできない未来への約束」が可能な、ステークホルダーとの絶好のコミュニケーション機会となります。
そして周年記念には、その文脈が持つ特別感やお祝い感があります。このハレの空気感を利用して日常から離れることで、自社らしさの再認識やコーポレートブランドの見直し、ビジョンの共有、ステークホルダーとのエンゲージメント向上など、大きなプロジェクトにも取り組めることが最大の特長です。
「周年だから」を枕詞にすることで、社内外のステークホルダーとのコミュニケーションを自然に行うことができ、周囲を巻き込んだアクションを起こしやすくなるのです。
社員や顧客を含めたステークホルダーとつながりを持ち、自社が掲げるビジョンや価値観を共有してエンゲージメントをより強固にすることは、次の5年、次の10年に向けた、さらなる企業成長・事業成長につながる原動力になります。つまり、周年記念は「過去」よりも「未来」に重きを置いた取り組みといえます。
こうした周年の特長を踏まえて、ゼロインでは周年記念の戦略的な活用を推奨しています。周年記念日を無事に迎えられたことを盛大に祝うことも大切です。しかし、お祝いだけでなく、社内外を巻き込んだ周年プロジェクトに取り組むことで、5年や10年ごとに訪れる周年が「企業成長のマイルストーン」となり、連続性を持たせたコミュニケーション戦略を推進しやすくなります。
実際、1年以上の期間をかけて周年プロジェクトに取り組む会社も増えていますし、その周年の場で3年や5年の中期経営計画を発表することもあります。1年を通じて活動に取り組む会社では、その1年を「周年イヤー」と称して特別な意味づけをすることもあります。
周年事業や周年イベントは、会社の節目を祝うだけでなく、会社とステークホルダーとの絆を強化し、長期的なビジネス成長に貢献する大切な機会です。周年事業・周年イベントで実施される施策は、参加者ごとに異なる目的や狙いが置かれることが多く、企業ブランディングや社内外とのコミュニケーション活性化が例に挙げられます。
参加対象に対して、明確な目的を設定し、それに合った企画を実施することで周年記念は成功に近づきます。どのような対象や目的が置かれるのか、主なものを解説していきます。
もっとも一般的で、周年事業・周年イベントを実施する際にほぼすべての会社で対象になるのが社員です。社員向けの周年イベントの目的には、会社への帰属意識やモチベーション向上、誇りの醸成などが掲げられます。
経営陣から社員に対して、これまでの貢献・成長に対する感謝の伝達や、自分たちの“らしさ”や顧客・社会への提供価値の再認識、未来に向けて実現したい世界観を共有することで、共通の価値観を認識してもらい、一体感を醸成します。
パーティーや懇親会の場で積極的なコミュニケーション機会を設けることで、部門間の連携強化や縦横斜めのつながりをつくり、働きやすい職場環境や文化醸成の形成を狙うこともあります。テレワーク推進企業や、他拠点・顧客先常駐など、日常的な社内コミュニケーションが希薄になっている会社では特に重視されています。
社員の家族を対象とした周年事業・周年イベントの目的は、家族から社員への日頃のサポートや思いやりを会社が尊重し、感謝の意を示すことです。社員が安心して仕事に励んでパフォーマンスを発揮するためには、家族の理解と協力が不可欠です。
イベントの場では、感謝だけでなく、提供価値や実現したい世界観を社員と同じように共有することもあります。家族から共感を得られることで、社員は自身の仕事や会社に対してより誇りを感じやすくなります。
ほかにも、チームで一緒に働く同僚の意外な一面を知るきっかけとしても活用されます。家族を知り、置かれた状況や環境をリアルに理解し合うことは、日常的なコミュニケーションの場でも生かされますし、お互いを思いやる働きやすい職場風土の醸成に一役買います。
最近では、転職・退職した社員をアルムナイ社員として、独自ネットワークで関係を継続する会社も増えています。アルムナイ社員を招待するイベントの目的は、優秀な元社員とのネットワークを維持・強化することで、再雇用や優秀人材の紹介につなげることです。
背景には、転職の一般化、人材採用難があります。新卒一括採用、終身雇用が成立しづらい現代においては、企業・事業理解が深い元社員は重要な採用ターゲットでありインフルエンサーです。他社での就労経験を生かしてさらなる活躍を見込める場合もあり、周年を通じてコミュニケーション機会をつくることは効果的な採用戦術の一つになり得ます。
顧客企業を対象とした周年イベントの目的は、日頃の取り引きへの感謝を伝えると同時に、信頼関係を強化し、今後のビジネスチャンスを広げることにあります。周年記念は、会社の成功が顧客の協力によるものであることを強調することで、長期的なパートナーシップを強化する場として機能します。
また、日常的な取り引きの場では伝えきれない、自社理解を深めていただく絶好の機会にもなります。他事業や新サービス・製品、さらには多様な社員と接点を持つ場としても活用でき、信頼や愛着を感じてもらうことで、今後の取引拡大につながるビジネスの好機となります。
多くの会社は自社リソースだけでビジネスが完結することは少なく、社外のビジネスパートナー企業の協力がなければ事業活動を維持できません。仕入先や協力会社を対象とする周年イベントの目的は、パートナーシップの再確認と信頼関係のさらなる強化です。ビジョンの実現に向けて同じバスに乗る仲間として、日常的に自社を支えてくれているビジネスパートナーにあらためて多大な感謝を伝え、今後も変わらない支援をお願いする機会を設ける会社もあります。
また、イベントは今後の協業を促進するための情報共有や、仕入先・協力会社同士のネットワーキングの場としても活用でき、ともに成長するビジョンを共有する機会になります。
消費者やユーザーを対象とした周年イベントの目的は、会社と顧客の関係性を深め、ブランドロイヤルティを強化することです。BtoCビジネスであれば、ファン感謝祭のようなイベントや周年限定モデルの発売などのキャンペーンで周年を盛りあげることがあります。また、周年記念サイトを公開して、ブランドの歩みを時系列で整理する施策も人気です。
近年では若い世代を中心に購買意識が変化しており、サービス・商品を購入する基準の一つに、社会課題に対する会社の姿勢や活動が挙げられます。そのため、単にサービス・プロダクトを売るだけでなく、周年記念を活用してストーリー性を持たせたブランディングも効果的です。会社が歴史や今後の展望を消費者・ユーザーに積極的に共有していくことで、ブランドの価値を再確認してもらえ、今後の企業活動に対する期待感や応援意識の醸成につなげられます。
株主を対象とした周年イベントの目的は、会社の成長と将来性をアピールし、投資家からの信頼を強化することです。株主に対して会社がこれまで達成してきた成果を示す場であり、今後のビジョンや戦略を明確に伝えることが求められます。これにより、株主の投資意欲を高め、安定性を維持する効果が期待されます。
地域社会を対象とする周年イベントの目的は、地域とのつながりを深め、会社の社会的責任を果たすことです。地域で長い歴史を持つ地場に根づいた会社や、その地域の消費者によって成り立っている会社では、地域・社会への貢献意欲が高く、開かれた周年事業・周年イベントを実施する会社もあります。
地域の発展に貢献する活動やイベントを通じて、会社が地域に対して積極的に関わっている姿勢を示すことで、地元の支持を得ることができます。地域社会との信頼関係の強化は、今後のビジネス活動にポジティブな影響を生みだします。具体策として、社屋や外部イベント会場を利用した祭りやスポーツ大会のようなイベント、商品の体験や学習ができる体験型の展示イベントが挙げられます。
周年事業や周年イベントは、会社のブランド価値を強化し、外部や内部のステークホルダーに対して会社の姿勢や未来のビジョンを明確に示す絶好の機会です。ここでは、ブランディングに関連する具体的な周年事業・周年イベントの企画アイデアを挙げ、それぞれの特徴や効果について解説します。
コーポレートロゴの刷新は、周年事業においてよく見られるブランディング施策の一つです。ロゴは会社の象徴であり、その会社の価値観やビジョンを視覚的に表現します。周年を契機にロゴを刷新することで、これまでの歩みをリスペクトしつつ、新たなステージに進む会社の姿勢を内外に分かりやすく示すことができます。
また、ロゴ変更に合わせたプロモーションを展開することで、ブランド認知度の向上やイメージの再構築に貢献します。大きなプロモーションを行わなくても、名刺を刷新して新たに名刺交換を行う際に、ロゴ刷新の背景や思いを社員一人ひとりに語ってもらうことで、草の根的にブランド発信を行うことができます。
理念策定や再構築は、周年を迎える会社がその存在意義や長期的なビジョンをあらためて確認するために重要な取り組みです。企業理念は企業活動の指針であり、社員や顧客、取引先に対して一貫したメッセージを発信する、基盤としての役割を果たします。
周年事業における理念の策定・再構築では、社会・市場環境の変化をとらえ、会社の方向性を再定義し、これからの長期的な成長戦略を明確にします。プロジェクトを立ち上げて策定・再構築に社員を巻き込むことで、社員一人ひとりが自分事として会社や未来のことを考えるきっかけになります。そうしたプロセスや体験が、社員の意識を統一し、企業文化の強化にもつながっていくのです。
リブランディングは、会社が長年培ってきたブランドイメージを刷新し、市場や顧客層に新しい方向性をアピールする戦略的な取り組みです。周年を機にリブランディングを行うことで、会社の進化を強調し、これまでとは異なる角度からブランドの強みを再発信できます。
たとえば、新しいターゲット層に向けたメッセージ変更や、デザイン、サービス刷新を行うことで、会社の変革意識を外部にアピールできます。リブランディングの成功には、現状のブランド価値と新しい方向性のバランスを保ちながら顧客やパートナーとの信頼関係を維持しつつ、より強固なブランドとして位置づけることが重要です。
周年事業や周年イベントは、会社の節目を祝うと同時に、社員や取引先、顧客、地域社会との関係をオフラインコミュニケーションで深められる重要な機会です。その開催形式は多岐にわたり、対象とする参加者や狙う効果に応じて選択されます。さまざまなイベント企画アイデアについて、特徴や期待できる効果を解説します。
周年式典や周年パーティーは、会社の節目を華やかに祝う場として、多くの会社で実施される一般的なイベント形式です。社員中心に行われますが、取引先企業や顧客、株主など外部のステークホルダーを招くこともあります。イベントでは、会社の歴史や功績を振り返りつつ、感謝の意が伝えられます。同時に、自社の“らしさ”や会社の成長をアピールし、今後の成長戦略やビジョンを発信する場としても活用され、社内外のエンゲージメントを強化する効果があります。カジュアルなパーティー形式にすることで、参加者同士のネットワーキングを促進し、コミュニケーション活性化や新たなビジネスチャンスの創出も可能です。
社内表彰やアワードは、周年イベントの一環として、社員の功績や変化の兆しを称賛する場として効果的に活用できます。社員のモチベーションを高めると同時に、企業文化や理念を再確認する機会となります。特に、長年にわたって貢献してきた社員の表彰(永年勤続表彰)や、理念・ブランドを体現している社員の表彰(ブランドアワード)、革新的な挑戦や成果を出した社員を表彰(イノベーションアワード)することで、他の社員が参考にできるロールモデル・目標を伝えられ、全体の士気向上へとつなげられます。表彰・アワードは、表彰される「ヒト」や「コト」を通じて、会社がどのような価値観を重視しているのかを明確に伝えられるので、ビジョンや戦略の理解・共感促進やエンゲージメント強化の効果が期待できます。
社内コンテストは、エンターテインメント性を持たせながらも、社員同士の競争意識を高め、クリエイティブな発想を引き出す場として開催されます。特に、企画力やアイデアを競うコンテストは、会社の次なる成長を支える、新しい発想を得る機会となり得ます。何か商品を持つ会社では、オリジナル商品の企画コンテストなども良いかもしれません。
社員が主体的に参加できるこの形式は、応募形式を個人でなくチーム制にすることで、チームワークの向上やコミュニケーションの活性化にも寄与します。また、コンテスト結果を外部に発信することで、会社の革新性や社員の多様な才能をアピールできるメリットもあります。周年プロジェクトの事前施策として社内コンテストを公募し、周年式典・周年パーティーの場で結果を発表・表彰すると、周年期間を効果的に活用できます。
感謝の集いは、取引先企業や地域社会に対して感謝の意を表すイベント形式です。これまでの協力関係や支援に対する感謝を直接伝えることで、信頼関係を一層強化し、今後のビジネスチャンスを拡大する効果が期待できます。形式は比較的シンプルで、スピーチや感謝状の授与、美味しい飲食の提供と社員からのおもてなしで感謝の意を示し、パートナーシップの重要性を再確認してもらえるようにします。出席者は感謝の集いに参加することで、会社の誠実さやコミットメントを実感し、長期的な協力関係の維持につながるでしょう。
ゲストをもてなす社員にも意外な効果が期待できます。外部ステークホルダーと直接対面してコミュニケーションを取る必要があるので、会社の方向性や提供価値を語れるようになる必要がありますし、顧客との対話を通じて期待や評価を受け取ることで、自分たちの存在意義や提供価値を再認識できます。
ファミリーデーは、社員の家族を招待し、会社が家族の日頃の支援に感謝する場です。社員の働きやすさを向上させるためには、職場環境だけでなく家族の理解とサポートが重要です。そのため、家族を巻き込んだイベントは非常に効果的です。レクリエーションやアクティビティを通じて、社員とその家族が楽しめる場を提供することで、会社そのものへの愛着や信頼を家族から得られます。また、家族を交えて同僚と交流することでお互いの家庭状況を理解し、お互いを尊重しながら働ける環境構築にもつながります。結果、社員のモチベーション向上、ワークライフバランス改善につなげられるでしょう。
社員旅行は、リラックスした環境で社員同士の絆を深める絶好の機会です。日常の業務から離れた場所で過ごすことで、部署間の垣根を超えたコミュニケーションが活発化し、社内の一体感を強化できます。また、非公式な場での交流が、新たな発想やチームワークの向上を促すことも少なくありません。社員旅行は、企業文化の醸成と働きやすい職場環境づくりに寄与する一方、社員にとってリフレッシュの場にもなります。
ファンミーティングは、消費者やユーザーとの直接的な交流を目的としたイベント形式です。顧客との関係性を強化し、ブランドロイヤルティ向上に非常に効果的です。ファンとの対話や限定商品の発表、会社の裏側を紹介するコンテンツを通じて、消費者は会社に対する信頼感を深め、ブランドに対する愛着を一層強めます。このようなイベントは、ソーシャルメディアなどでの話題性も高く、マーケティング効果も期待できる点が特徴です。
周年事業・周年イベントで対象や目的の枠組みが決まった後に、その中で何を実施するかの検討に入ります。次に、周年事業・周年イベント内で実施されるさまざまなコンテンツ例を挙げ、それぞれの特徴や期待できる効果について解説します。
プレゼンテーションは、会社の歴史やビジョンを伝える場として、周年イベントでよく行われるコンテンツの一つです。会社の代表者や経営陣が、これまでの歩みや成功事例、今後の戦略について発表することで、参加者に対して会社の未来に対する期待感を醸成します。ビジュアル資料や動画を活用することで、視覚的にも分かりやすく会社のメッセージを伝えることができ、外部ステークホルダーに対しても信頼感を与える効果があります。
ワークショップは、参加者が主体的に学びや体験を得ることができる場です。イベントを一方向からの情報発信に終わらせるのではなく、参加者同士がインタラクティブに対話・交流することで、受け取った情報の咀嚼や、多様な視点や価値観を感じる機会になります。周年イベントでのワークショップは、社員向けに行われることが多く、チームビルディングや理念浸透・共感促進を目的とした内容が一般的です。たとえば会社のビジョンに関連したテーマで開催することで、参加者が新たな視点を得られたり、企業文化に対する理解を深めたりする効果があります。また、外部の参加者に対しては、会社の専門知識やノウハウを提供する場として活用することも可能です。
パネルディスカッションは、専門家や社内の代表者が特定のテーマについて討論する形式のコンテンツです。経営層が登壇してビジョンを語る、長く働く社員が登壇して会社歴史からDNAや“らしさ”を語る、若手社員が登壇して若手の価値観を語る、など登壇者によってトークテーマは異なります。また、会社の未来や業界のトレンドに関するテーマを選定して、社外の専門家を招くことで、社内にはない視点の意見を聞くこともできます。新しい知識や考え方を得る機会となり、ビジネスに役立つ洞察を提供する場になりますし、会社の多様性や革新性をアピールする手段としても効果的です。
ゲスト講演は、主に外部の専門家を招いて行われる講演会です。周年イベントにおいては、著名なビジネスリーダーやプロスポーツ選手、インフルエンサーが登場することが多く、彼らの経験や知識を通じて参加者に刺激を与えることが期待されます。業界関係者の場合もあれば、まったく異なる領域の講演者をあえて選定して、まったく異なる価値観を伝える場合もあります。会社の成長や未来について新たなインスピレーションを与えるだけでなく、講演者との交流を通じて、ネットワーキングの機会を提供することもできます。
ゲストパフォーマンスは、アーティストやパフォーマーを招いて、周年イベントを華やかに演出するコンテンツです。音楽、ダンス、コメディなど、さまざまなジャンルのパフォーマンスが行われ、参加者に楽しさと感動を提供します。特にエンターテインメント性の高いパフォーマンスは参加者の満足度を高め、イベント全体の印象を強く残す効果があります。著名なゲストを招くことで、話題性も高まり、ソーシャルメディアでの拡散、PR効果も期待できます。
コンテストは、参加者の創造力やスキルを発揮できる場として人気のあるコンテンツです。周年イベントでのコンテストは、アイデア競争やクリエイティブなチャレンジが主流であり、参加者が楽しみながら競争することで、チームワークやモチベーションを高めます。受賞者に対する表彰は、さらなる励みとなり、会社全体の士気向上にも寄与します。
会社の歴史展示は、会社の過去をモノを通じて振り返り、その成長を視覚的に伝えられるコンテンツです。歴史年表や写真・ビデオ、過去の製品や資料を展示することで、参加者は会社の歩みや実績、社会への貢献を分かりやすく理解できます。
フォトブースやフォトスポットは、参加者が気軽に記念撮影を楽しめるコンテンツです。周年イベントの特別な瞬間を写真に収めることで、参加者はイベントの思い出を持ち帰ることができ、SNSでのシェアによる話題性も高まります。会社の周年記念ロゴや特別な背景デザインを取り入れることで、ブランドの認知度向上にもつながります。
モザイクアートは、社員や参加者が一体となって作り上げる作品として、周年イベントで人気のコンテンツです。参加者一人ひとりが提供した写真やイメージがモザイクとして集まり、大きなアート作品を作り上げることで、会社の一体感や団結力を象徴します。社員が多い会社では全員を参加させる、登場させることが難しいことも多く、その中で参加感を醸成するために取り入れられることもあります。こうしたアート作品は、イベント後も会社の象徴としてオフィスに飾ることができ、持続的な思い出にもなります。
社員による余興は、参加者に楽しさと驚きを提供するコンテンツです。普段は見られない社員の個性や才能を披露することで、職場の一体感を強化でき、コミュニケーションの促進に役立ちます。社員自らがイベントの一部を担えると、社員は参加者から当事者になるので、周囲の同僚も含めて周年に対する期待感を高める効果を期待できます。
鏡開きは、伝統的な日本文化を取り入れたコンテンツで、周年イベントのお祝い感を演出できる象徴的な企画です。代表者が、酒樽の上蓋を割って酒を振る舞うことで、繁栄と成功を願う縁起の良い施策です。パーティーイベントにふさわしく、厳粛でありながらも参加者に強い印象を与えます。
タイムカプセルは、未来に向けたメッセージや思いを込めてカプセルに保存・保管する、時間軸の長いコンテンツです。社員や顧客からのメッセージを収納し、次の周年や将来のイベントで開封することで、思いやつながりを共有できます。参加者にとっても、未来への期待感や会社の持続的な存続を願うイベントとして、印象深く残ります。
オリジナル楽曲制作は、会社のブランドや理念を音楽を通じて表現する少しユニークなコンテンツです。発表された楽曲は、会社のテーマソングとして社外や顧客に広く認知させることもできますし、クローズドに社内で楽しむこともできます。音楽は大勢で楽しめますし、大人になってから大勢で合唱する体験はそうないので、形式的なイベントから脱却したい場合は選択肢の一つになります。
抽選会は、参加者に楽しみを提供するエンターテインメント要素の高い鉄板コンテンツです。豪華な景品を用意することで参加者の満足度を高められ、周年イベントの締めくくりとして盛り上がりを一層引き立てます。凝った企画も良いですが、誰にでも分かりやすく楽しめる、単純明快さはコンテンツ企画でも重要な要素です。景品内容を、事業や理念と絡めてエンタメ性を持たせるような工夫も可能です。
記念写真撮影は、イベント参加者全員が一緒に撮影することで一体感を生みだせるコンテンツです。集合写真は会社の歴史の一部として長く残るものであり、社員の絆や一体感を象徴する重要なアイテムとなります。写真はさまざまな施策に転用できることがメリットで、社内報やSNS、オフィスの展示など、記憶を視覚的に示すことができます。
ギネス認定は、周年の注目度を一気に高められるユニークなコンテンツです。世界記録を樹立するという挑戦は、社員や顧客に対して会社の革新性や挑戦精神をアピールできます。また、ギネス記録に挑戦する過程で社員や参加者が一体となり、団結力や士気を高められます。記録が認定された暁には、メディア露出や話題性から、会社の知名度やブランディングに寄与する効果も期待できます。
紙や印刷物はじっくりと見ることができ、手元に残るものでもあるので、時間の流れの中で進行していくイベントとは特徴の異なるコミュニケーションツールです。会社のブランドイメージを訴求し、印象を強く残すためには工夫されたデザインやコンテンツが重要になります。以下では、代表的な印刷物の種類ごとに、その特徴や効果、一般的な企画内容を解説します。
招待状は、周年イベントと参加者の最初の接点であり、イベントの格式や重要性を伝える役割を果たします。美しくデザインされた招待状は、会社のブランドイメージを視覚的に表現し、期待感を高めます。特に、高品質な紙を使用したり、特殊な印刷技術(エンボス加工や箔押しなど)を施すことで、豪華さや特別感を演出できます。招待状にはイベントの詳細やスケジュール、会場へのアクセス情報を含めることで、参加者がスムーズにイベントに参加できるように配慮されます。デジタル化が進む現代においても、「あたなのため」に手元に届く紙の招待状は、特別感を強調する手段として依然効果的です。
周年記念誌や社史は、会社の歴史や成長を記録し、関係者に対して会社の歩みを伝える印刷物です。これらの冊子は、会社の過去の業績や重要な出来事、社員のインタビューや歴史的な写真を通じて、会社の歴史を振り返る内容が含まれます。特に、長期にわたる企業活動の記録を定期的に制作することで、後世に残る貴重な資料としての役割も果たします。社内の関係者にとっては、会社の一員であることに誇りを感じさせる効果があり、ブランドロイヤリティ向上に寄与します。歴史や事実だけでなく、会社のビジョンや今後の目標を記載することで、未来志向のメッセージを伝えるツールとしても活用できます。
ブランドブックは、会社の理念やブランド価値、ビジョンを視覚的かつ言語的にまとめた冊子で、周年事業を機に制作されることも多い制作物です。会社のブランドの一貫性を強化し、社内外に対してブランドのコアバリューを明確に伝える役割を果たします。デザインやコピーライティングは、ブランドの個性を反映し、会社が目指す方向性や価値観を視覚化することが重要です。ブランドブックの活用は、社員やステークホルダーが会社のビジョンを共有し、一体感を持ってブランドを推進する原動力となります。また、取引先や顧客に配布することで、会社の信頼性やブランドイメージを強固にする効果も期待できます。
周年事業や周年イベントでは、映像コンテンツが重要な役割を果たします。映像は、言葉や文字で表現しづらいメッセージを分かりやすく伝える強力なツールです。また、ストーリーや表現方法によって、視聴者に驚きや感動、共感を与えられる、感情を揺り動かすことのできるツールでもあります。ここでは、さまざまな映像コンテンツの特徴や効果、企画例を解説します。
歴史映像は、会社の創業から現在までの歩みを振り返り、その成長の過程や重要な出来事を伝えます。過去の写真や映像、インタビューを交えながら、会社の歴史を視覚的に表現します。登場人物には、創業者や長年貢献してきた社員、過去の主要なプロジェクトに関わった人物が含まれることが多く、会社が今日まで存続してこられた理由や転換点が、象徴的なエピソードとともに語られます。歴史映像は、歴史を事実として伝えるだけでなく、そのストーリーの中から今後も会社として大切にしたい“自社らしさ”やスタンスなど、強いメッセージが込められます。
顧客の声映像は、会社が提供する製品やサービスを実際に利用する顧客をインタビュー形式で紹介するコンテンツです。映像内で紹介される顧客は、会社が思い描く「こうした顧客満足を生みだしたい」を体現する顧客が選定されます。実際の顧客の声を通じて、自分たちが顧客の仕事や生活、人生にどのように貢献しているのかを生々しく伝えることができます。会社で働いていると、実際の利用者と接点を持たない部署・役割の社員も多いものです。映像を見た社員は、顧客のリアルな体験談や製品・サービスとの関わりを再認識することで、「誰のため」「何のため」に仕事をしているのか、誇りと自信を持つことができます。そして、さらなる価値提供に向けたモチベーション創出も期待できます。
ビジョン映像は、会社の目指す方向性や世界観を映像で描くコンテンツです。経営陣やリーダーが出演してビジョンを語ることで、社員を含むステークホルダーに対して、今後の成長への期待感を共有します。また、社内の具体的な人物は出さず、社会や生活の変化を描写することで、会社として目指したい社会への価値提供や関わり方を表現することもあります。抽象度の高いビジョンがビジュアル化されることで、実現したい未来を具体的にイメージすることができ、期待や信頼が一層高まります。ビジュアル効果やモーショングラフィックスを使った演出が、映像のインパクトをさらに強調します。
ブランド映像は、会社のブランド価値や独自のアイデンティティを強調して伝えるためのコンテンツです。会社の理念やビジョン・ミッション、製品・サービスの価値を映像で表現することで、ブランドメッセージを明確に伝えます。会社のターゲット層やブランドイメージに合ったスタイルで制作されることが多く、映像美や音楽も含めた総合的なブランディングツールとして活用されます。登場する人物は、社員や顧客、パートナー企業など、会社の価値を象徴する存在が用いられ、会社の信念や文化を視覚的に表現することでブランドロイヤルティを強化します。
イベントで活用されるキャンディッド映像は、当日のさまざまなシーンを撮影した素材をその場で編集し、イベントのエンディングで投影します。結婚式で活用されるので、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。会場設営やリハーサルから撮影し、受付やオープニング、プレゼンテーションやワークショップ、懇親会まで、プログラム一連の象徴的なシーンを記録していきます。参加者の多彩な表情や会場の雰囲気を生々しく記録できるので、イベントの終わりに当日を振り返りながら、印象的に記憶してもらえます。映像は社内イントラネットや企業アカウントでも活用できるので、参加者以外にも当日の様子を伝えられる利点もあります。
ウェブサイトは、周年事業や周年イベントの情報を発信し、関係者や顧客、社員とのつながりを強化できるツールです。社内向けと社外向け、それぞれの目的に合わせて設計されたウェブサイトは、会社のブランド価値を高め、関係者とのコミュニケーションを促進します。ここでは、一般的な企画内容や期待される効果を解説します。
周年記念ページを社内向けのポータルやイントラネット上に設置することで、周年記念に関する情報発信のプラットフォームにします。ページ内では、周年事業に関連するコンテンツやイベント情報、スケジュール、インタビュー記事がよく掲載されます。映像や社内コンテストの結果など、ほかの施策と関連させながら社員のモチベーションやエンゲージメント向上に活用できます。一方的な発信にならないように、社員が投稿や投票できる、参加型コンテンツを取り入れるケースも多くあります。
社外向けの周年記念特設サイトは、会社の歴史やビジョンを発信できるコンテンツです。主な対象は消費者やユーザー、取引先企業、株主、地域社会であり、会社の信頼性やブランド価値を強調する目的があります。サイトでは、会社の創業から現在に至る軌跡を視覚的に伝える年表やインタラクティブなコンテンツを使用して、訪問者にとって親しみやすく記憶に残る体験を狙います。同時に、新製品の発表や今後のビジョン、社外との約束を表明するメッセージ、あるいは顧客やパートナー企業からの祝辞を掲載することもあります。BtoCビジネスの会社においてはプロモーション観点で積極的に活用される傾向にあり、ソーシャルメディアと連携することで、より多くの訪問者の引きつけを狙います。
周年事業や周年イベントでは、記念グッズやノベルティが周年を彩り、会社のメッセージを効果的に伝えるツールとなります。これらの制作物は、イベントの思い出を残すだけでなく、参加者との絆を強化し、ブランド価値を高める効果も期待できます。ここでは、具体的なアイテムごとの特徴や期待される効果、注目を集める演出について解説します。
周年記念ロゴは、周年全体を象徴するビジュアルアイコンで、周年事業に取り組む多くの会社で制作されます。多くの場合、通常のコーポレートロゴに周年の数字と特別なデザイン要素をくわえ、会社の節目を祝う特別な意味を持たせます。会社によっては社員参加型コンテンツとして立ち上げ、まったく新しいオリジナルロゴ案の社内応募、投票、発表と、社内を巻き込みながら記念ロゴを制作することもあります。そうした場合、社員のラフ案をもとにプロのクリエイターがロゴを仕上げるのが一般的です。完成ロゴはイベントや制作物に転用され、社員以外の社外ステークホルダーにも認識されます。デザイン性やインパクトは重要な要素で、ロゴの品質やデザインにこだわることでブランド認知度をさらに高めることが期待されます。
周年記念名刺は、比較的安価に会社の節目をアピールできます。名刺はビジネスの現場で常に使用されるため、通常の名刺に周年記念ロゴや特別なデザインをくわえることで、取引先や顧客に対して周年であることを簡単に伝えられます。いつもとは違ったコミュニケーション機会になるので、交換したその場でビジョンや新しい方向性を会話できるように社員へのインプットを準備しておくことで、取引先との信頼関係醸成につなげることができます。
ネックストラップは、社員やイベント参加者が使用する実用的なノベルティで、日常的に使用されるため会社の認知度向上に寄与します。周年記念ロゴや企業カラーを取り入れたデザインにすることで、企業文化や一体感を強調できます。ストラップに特別なメッセージを刻印することで、さらにイベントの体験やメッセージ性を拡張させる演出も可能です。実用性と記念性を兼ね備えたこのアイテムは、イベント後も長期的に使用されることが想定されるので、会社のメッセージを持続的に発信するツールとしても効果的です。
周年記念文房具は、参加者にとって実用的でありながら、会社のブランドを身近に感じてもらえる優れたツールです。ボールペンやノート、クリップボードなど、日常的に使用するアイテムに周年記念ロゴや企業カラーを取り入れて配布することが一般的です。特に、品質の高い文房具は長期的に使用されるので、会社の記念事業を広く認知してもらえる効果があります。さらに、文房具にメッセージやスローガンを添えることで、会社の理念やビジョンを自然に伝えられるでしょう。
企業文化にも依存しますが、パーカーやTシャツは一体感を生みだすアイテムとして重宝されます。周年記念ロゴや会社のスローガンをデザインに取り入れたウェアは、社員や参加者に配布され、イベント当日に着用されることが多いです。このアイテムは、カジュアルな形で企業文化を発信し、イベント後もオフィス内で日常的に使用することもできるため、長期的に会社のブランディングに貢献します。デザイン性や着心地にこだわったアイテムは、社員や顧客に愛され、会社のファン層を広げるきっかけにもなります。
周年記念のお菓子は、イベント参加者への感謝を表現するノベルティとして活用されます。企業ロゴやメッセージがプリントされたパッケージや、特別なデザインのお菓子は、周年記念の思い出として参加者に強く印象づけることができます。最近ではさまざまなメーカーが、オリジナルデザインのお菓子づくりに対応しています。日持ちはしませんが、紅白饅頭に焼き印でロゴをプリントするのもおすすめです。また、地元の生産者やメーカーと協働することで、地域とのつながりをアピールしたり、特別感を演出することも可能です。お菓子はその場で楽しむだけでなく、持ち帰り用にもできるので、会社のメッセージを家庭やオフィスに広める効果が期待されます。
周年事業や周年イベントは、会社の認知度を高め、新規顧客の獲得や既存顧客との関係を強化する、直接的な業績向上を期待した活用もできます。ここでは、代表的な施策について解説します。
周年記念キャンペーンは、特別な割引やプレゼントを提供することで、顧客の関心を引き、新規顧客の獲得や既存顧客のロイヤルティ向上を図るための施策です。ウェブサイトやSNS、メールマーケティングを通じて告知し、参加者に限定の特典や商品を提供することで、キャンペーンの話題性を高めることができます。また、顧客が参加しやすい形式(フォトコンテストやシェアキャンペーンなど)にすることで、顧客参加型のプロモーションとなり、会社と顧客の間に双方向のコミュニケーションを促進する効果も期待できます。
周年特別セールは、顧客に感謝を示す場として開催されます。期間限定の割引やポイントアップキャンペーンを行うことで、売上の増加や在庫の整理が期待できます。既存顧客だけでなく、新規顧客も巻き込むことができるため、ブランドの認知度を広げる絶好の機会にもなります。特に、大々的な告知や広告を通じてセール情報を拡散し、セール期間中のアクセスを集中的に高めることが効果的です。
テレビCMは、広範囲の視聴者に会社の周年事業を告知し、会社の知名度や信頼を引き上げるプロモーション手段です。特に、会社の歴史や成長の軌跡をテーマにした感動的なCMは、視聴者の心に強く残り、ブランドイメージの向上に寄与します。CMには、会社の代表者や著名な人物、またはロングセラー商品が登場することが多く、視聴者に対して信頼感と親近感を与える効果があります。放送時間帯やターゲット層に合わせて内容を調整することで、より効果的なプロモーションが可能です。
周年を記念した新商品や新サービスの発表は、周年の話題性を活用して革新性をアピールし、マーケットでのポジションを明確にする絶好の機会です。この施策では、新しい価値を顧客に訴求し、ブランドの進化を象徴する手段として用いられます。メディア向けのイベントや記者会見を通じて発表することで、社内外の注目を集めやすくなります。また、SNSや特設サイトを通じてオンラインでも発表を行うことで、より広い認知の拡大が可能になります。
長い歴史を持つ会社であれば、周年を記念して過去に人気を博した商品やサービスの復刻版を発表することで、会社の長い歴史と信頼性を再確認してもらう機会となります。特に、往年のファンや長年の顧客に対して大きなインパクトを与えてノスタルジーを刺激することで、会社やブランドを想起させ、購買意欲を再度高めることになります。この施策は、ブランドロイヤリティの向上や、古くからの顧客との関係を一層強化するのに効果的です。また、復刻版の商品に特別なパッケージや記念要素をくわえることで、限定感を演出し、売上の向上も期待できます。
記念展示は、会社の歴史や成長を実際に見て触れられる形で提供することで、消費者や地域社会、顧客やパートナーに対して、これまでの貢献や信頼感を強調する施策です。過去の製品や広告資料、特別なアートワークなどを時代ごとの世相と絡めながら展示することで、訪問者に会社の軌跡を体験させることができます。本社で展示する場合もありますし、社外ホールなどを期間限定で借りて展示することもでき、社内外問わず広いターゲットに対応できる施策です。
他社や異業種とのコラボレーションを行いコラボレーション商品や限定サービスを提供することで、双方のブランド価値を相乗的に高めることができるユニークな施策です。意外な会社の組み合わせはPR効果も高く、大きな話題を生みだすこともあります。コラボレーション先の会社が抱える顧客層やマーケットにリーチすることもできるので、新規顧客を獲得するチャンスにもなります。この施策は、特にSNSや広告キャンペーンを通じて大きな拡散効果が期待でき、メディアの注目も集めやすい点が特徴です。
コンサートは、周年イベントにエンターテインメント性をくわえ、参加者に感動的な体験を提供する施策です。特に、音楽イベントは大勢の参加者を巻き込み、会社の周年を祝う場を華やかに演出します。著名なアーティストやバンドを招待することで、話題性が高まり、集客効果も大きくなります。また、音楽を通じた共感は参加者との絆や思い出を共有しやすく、会社への愛着を深める効果が期待されます。
世の中の会社では、どのような周年事業・周年イベントに取り組んでいるのでしょうか。ゼロインがプロデュースした事例を紹介します。
静岡県東部エリアを中心に、法人・個人向けのガス事業を展開している富士酸素工業株式会社様は、創業100周年を迎えました。富士酸素工業様はこの100周年を迎えるにあたり、5年以上前から周年プロジェクトを立ち上げ、「次の100年」への一歩を踏みだす準備を進めてきました。
そして、プロミス(経営理念)を従業員主体で策定するプロミス策定プロジェクトや、CI(会社ロゴ)・ユニフォームのリニューアル、従業員や取引先・消費者を対象にしたイベントなど、さまざまな周年記念施策を1年以上かけて順次、展開しています。
BPOに関するアウトソーシングサービスやコンサルティングサービスを幅広く手がける株式会社TMJ(以下、TMJ)は、2022年4月1日に30周年記念を迎えました。
TMJでは、これまでの周年記念をマネジャー以上の正社員を集めた式典形式で実施していました。しかし、30周年の企画に際しては、コロナ禍収束の見通しが立たない中で集合型イベントを計画することは難しい状況にありました。また、「多くの従業員を参加させたい」という思いはありながらも、24時間365日稼働するコールセンター事業の特性上、従業員が一堂に会することは難しく、どうすれば従業員に自社の周年を感じてもらえるのか、参加感の醸成にお悩みでした。
そこで今回の30周年では、すべての従業員が周年記念に参加できる機会を設けるために、オンラインとオフラインを掛け合わせた複数の施策を約1年かけて実施する、30周年プロジェクトに取り組みました。
ドイツに本社を置きグローバルに展開するソフトウェア企業のSAP SE様は、グローバル本社が創業50周年を迎え、日本法人のSAPジャパン株式会社様も設立30周年を迎えました。
当日は従業員の家族や友人も招待したことで、久しぶりに会った仲間やその家族が旧交を温め、こどもたちは会場で遊び回る、SAPに関わる多様な人々が交流を楽しむ会となりました。SAPジャパン様は、これまでも社内で実施するコミュニケーションイベントに家族を招待しており、アットホームな職場文化が培われています。
株式会社シンクロ・フード様は設立20周年を迎え、節目となる20周年を全従業員でお祝いし、新たな旅立ちの日とするため、『設立20周年記念イベント』を実施しました。
シンクロ・フード様は設立20周年を迎えた節目のタイミングに、コーポレートブランドとサービスブランドをリニューアルしており、このイベントでは20周年を祝うだけではなく、社内へのブランド共有や、「提供価値」や「目指したい未来」を語るワークショップを行っています。
70周年を迎えた東京菅公学生服株式会社様は、当初、集合型の周年イベントを予定していましたが、感染症の流行拡大によりイベントを延期しました。そして、あらためて周年事業の目的と施策の見直しを行い、「自分たちの仕事の価値や誇りを社員に感じてもらうこと」を周年の重要テーマに設定しました。
そして、周年期間を通じて、社員を巻き込んだ周年ロゴ制作、ユーザーを巻き込んだコンテスト、社員向けのオンライン周年イベント、社内コミュニケーションツールの活用などを行うことで、中長期視点でのブランド再構築を実現し、これまでにない新しい一歩を踏み出す機会となりました。
創立110周年を迎えたAGC株式会社様は、旧社名の旭硝子株式会社から社名変更を控えていたこともあり、大きな転機となる周年記念でした。そこで、全社を巻き込んだ110周年プロジェクトを立ち上げ、社内外に向けてさまざまな施策を展開しました。
1年をかけた周年プロジェクトのグランドフィナーレを飾ったのが、全社員とその家族が参加対象のイベント『Aフェス』です。イベントに先駆けた事前の施策には約4,000人もの社員が携わり、『Aフェス』当日は大人からこどもまで約2,000人がさいたまスーパーアリーナに駆けつけました。同社110年の長い歴史の中でも、最大級の社内イベントです。
設立20周年を迎えた株式会社ゼロインは、社員を対象にした周年式典を開催しました。20年の歴史を振り返ると同時に、経営・管理職が半年以上をかけて策定した新しい企業理念・ビジョンが発表されました。この20周年の節目に偶然居合わせた仲間と志を一つにすることで、未来に向けて歩きはじめるきっかけとなる周年式典でした。
参加者アンケートは5段階評価で平均4.5点を超え、非常に高い満足度を獲得しました。フリーコメントには、理念への共感への言葉や、これから自分がどう行動するか、あるいは「30周年式典を盛大に開催したい」といった未来視点の声が多く寄せられ、ビジョンの実現に向けて新しい一歩を踏み出す象徴的な一日となりました。
A社様は設立20周年を記念し、周年イベント「感謝の集い」を開催しました。取引先様、社員とその家族、総勢600名をホテルに招待し、20年をともに歩んだ「感謝」を伝える場となりました。
この周年イベントでは、「感謝」と「おもてなし」に徹底的にこだわっています。そこには、「これからもこの会社をともに築いていくファンとなっていただきたい」という強い決意があり、「社員と家族が幸せになる会社」「社員、家族、お客様、関係者様が全員ファンになる会社」というA社様の目指す将来像が根幹となっています。
株式会社メイテック様は、創業40周年記念イベント『Make Next Festa』を実施しました。周年記念式典と懇親会の二部制で実施し、歴史映像や社員・家族参加型のアイデアコンテスト、未来に向けた宣言ボードなど、半年以上かけて多様なコンテンツを準備しました。
懇親会は、仲間と久しぶりの再会を楽しむ場であると同時に、経営から社員へ、日頃の感謝を伝える場でもありました。社長を筆頭に取締役、執行役員、労働組合幹部が、お揃いのジャージにビールサーバーを背負い、社員の間を歩き回ってサーブを行いました。懇親会終了後は出口に経営陣が勢ぞろいし、社員一人ひとりと握手をしながら再度感謝の言葉を伝えて見送りました。
式会社マックスリアルティー様は、設立20周年を記念してステークホルダーを招いた周年式典『設立二十周年の会』を実施するとともに、式典の模様を図録化した周年記念誌『MAX-REALTY 20TH ANNIV. EVENT MEMORIAL BOOK』を制作しました。
今回の『設立二十周年の会』は、株主である株式会社三井住友銀行、三井住友ファイナンス&リース株式会社、SMFLみらいパートナーズ株式会社、株式会社ザイマックス、親密会社ほか、関係会社の方々を招き、マックスリアルティーについてあらためて理解を深めていただくことをテーマに企画・設計されました。
会社の周年事業や周年イベントは、会社の成長や達成を祝うだけでなく、ブランド価値の向上や関係者との関係強化を目指す大きな機会です。しかし、成功させるためには綿密な計画と多方面の調整が求められます。次の手順に従うことで、効果的にプロジェクトを進め、成果を最大限に引き出すことができます。
周年プロジェクトを成功させる第一歩は、専任のプロジェクトチームを組織することです。チームは、経営陣、マーケティング、広報、財務、人事、営業など、社内の主要な部門から代表者を集め、さまざまな視点を取り入れることが求められます。この段階では、プロジェクトの規模や目標、期間を明確に定め、関係者全員が同じビジョンを共有することが重要です。特に、プロジェクトマネージャー(PM)は、全体の進行を管理し、予期せぬ問題に迅速に対応するリーダーシップが求められます。
さらに、ブランディングの観点から、周年イベントの意義を社内外に浸透させるため、明確なテーマやメッセージを策定することが必要です。このテーマは、単なるイベントのキャッチフレーズではなく、会社のブランド価値を再確認し、今後の成長を見据えたビジョンを伝えるものであるべきです。プロジェクトの初期段階でこのビジョンを明確にすることで、社員やステークホルダーが共感しやすくなり、プロジェクト全体の成功に向けた基盤が築かれます。
周年プロジェクトは、短期的なイベントとして完結するのではなく、中長期的な視点で設計することが重要です。これにより、イベント終了後もその効果を持続させ、企業ブランドの価値を高め続けることができます。たとえば、周年イベントを通じて打ち出すメッセージやキャンペーンは、次の数年間の企業戦略やブランディング活動と連携させることで、持続的な影響を与えます。中長期の視点で設計するためには、現時点での会社の立ち位置やブランドの課題、成長目標を明確にし、それに応じた施策を組み立てることが大切です。
具体的には、周年事業が単なる記念行事ではなく、今後の企業ビジョンや市場におけるポジショニングの一部として機能するよう設計することが求められます。たとえば、イベントを通じて発表される新しいビジョンや目標が、今後数年間の会社の成長計画と一致することで、社員や顧客、取引先に対して一貫したメッセージを届けることが可能です。また、周年を契機に導入される新技術や新サービスが、長期的な顧客との関係性を強化する手段としても活用されるでしょう。
周年事業やイベントを成功させるためには、対象とするステークホルダーと、その目的を明確にすることが不可欠です。会社の周年イベントでは、通常、社員、顧客、取引先、株主、地域社会など、多岐にわたるステークホルダーが関与します。それぞれに対して異なる期待や目的が存在し、これに応じたメッセージやコンテンツを用意する必要があります。
たとえば、社員向けには会社への帰属意識を高め、モチベーション向上を図る目的が考えられます。一方、顧客に対しては、会社の信頼性や今後のビジョンを伝え、ブランドロイヤリティを強化することが目的となるでしょう。取引先に対しては、パートナーシップの再確認と今後の協力体制の強化が期待されます。こうした異なる目的に合わせた施策を立案し、ターゲットごとに最適なコミュニケーション手法を選定することで、イベント全体の効果を最大化できます。
また、これらの目的にもとづき、イベントのテーマやトーンを統一することで、ブランドの一貫性を保ち、各ステークホルダーに対して信頼感を与えることができます。周年事業が企業ブランドに与える影響を最大限にするためには、こうした計画段階での戦略的な判断が重要です。
周年プロジェクトの目的が明確になったら、次にそれを達成するための具体的な施策を検討します。各施策は、対象とするステークホルダーや目標に合わせて設計されるべきです。たとえば、社員向けの施策としては、社内イベントや表彰式、社内キャンペーンが挙げられます。これらは、社員のモチベーションを高め、会社へのエンゲージメントを強化するのに役立ちます。
一方、顧客や取引先に向けた施策としては、感謝の集いやファンミーティング、周年記念特設サイト、特別キャンペーンや記念商品・サービスの発表などが考えられます。こうした施策は、会社のブランド価値を高め、顧客や取引先との長期的な関係を強化する効果があります。また、地域社会や株主に対しては、社会貢献活動や地域イベント、特別な株主総会などが効果的です。
周年施策は、SNSやウェブ、リアルイベントを組み合わせたクロスメディア展開を行うことで、幅広いステークホルダーに効果的にメッセージを届けることができます。これらの施策を決定する際には、KPI(重要業績評価指標)を設定し、それぞれの施策がどの程度目的達成に貢献するかを測定できるようにすることが必要です。
プロジェクトの施策が決定したら、次にそれらを実現するための発注先と予算を決定する段階です。まず、施策ごとに必要な外部パートナー(ブランディング企業、イベント制作会社、映像制作会社、PRエージェンシーなど)を選定し、信頼性や実績、コストパフォーマンスをもとに最適なパートナーを決めます。発注先を選定する際は、会社のブランドに対する理解が深さも重要な判断基準です。ブランド価値を損なわないように、会社の理念やビジョンをしっかりと反映した施策を提供できるパートナーを選ぶことが求められます。
予算の設定では、各施策のコストを明確にし、全体の費用配分を行います。予期せぬコストや追加のリソースが必要になる場合に備えて、予算にある程度の柔軟性を持たせておくことも成功の鍵となります。プロジェクトが進行する中で、コストオーバーや納期遅れが発生しないよう、定期的な予算管理と発注先との密なコミュニケーションが欠かせません。
発注先と予算が確定したら、プロジェクト全体のスケジュールと各施策のマイルストーンを設定します。この段階で、プロジェクトの全体像を明確にし、関係者全員が共有できる状態にすることが重要です。分科会で動く場合は、プロジェクトマネジメントツールを活用し、各チームのタスクと進行状況を可視化することでスムーズなプロジェクト運営が可能となります。
全体の進行管理においては、各施策が連携して進行しているかどうかを常にチェックし、遅延や問題が発生した場合には迅速に対応できる体制を整えておきます。また、マイルストーンごとにレビューを行い、進捗状況や必要な調整を確認し、次のステップに進む前に適切な修正をくわえることが、プロジェクト全体の成功に直結します。
ブランディングの観点では、全体像を定める際に、施策の一貫性と連動性を強く意識することがポイントです。各施策が独立して実施されるのではなく、会社のブランドメッセージを統一しながら、相互に補完し合う形で進めることが求められます。たとえば、イベント、広報、キャンペーンのタイミングを揃え、同時にブランドイメージを強化するように設計することで、全体としてのインパクトが増します。全体像を定める際に、各施策がどのようにブランド価値を高め、長期的な成果に繋がるかを考慮しながら進めると効果的です。
周年プロジェクトを成功させるためには、社内全体を巻き込むことが不可欠です。プロジェクトの成功は、事務局や経営陣だけでなく、全社員の理解と協力があってこそ実現されます。プロジェクトの初期段階から社員を積極的に巻き込み、社内全体でプロジェクトに対する意識を高めていきます。
まず、周年イベントに関連する情報や目的の定期的な社内共有が欠かせません。周年は、単なるお祝いの場ではなく、会社の未来を見据えたメッセージやビジョンを浸透させる機会です。社員全員がこの目的を理解して同じ方向を向いて取り組むことで、企業全体の一体感が強まります。定期的な発信がなければ、「事務局が何かやっている」と周年は他人事として受け取られてしまいます。イントラネットや社内報、サイネージ、メーリングリストなど社内メディアを活用して、社員がプロジェクトの進行状況を把握できるようにします。
また、特別なイベントや社員参加型のキャンペーンを実施することで、社員自身がプロジェクトに参加・貢献していると感じられる機会を提供します。たとえば、社員を対象にしたロゴデザインコンテストや、記念スローガンの募集など、社員の意見や創造力を取り入れる機会があることで関与度を高められます。
ブランディングの観点でも、社内への巻き込みが成功することで社員自身が会社のアンバサダーとなり、ブランド体現行動を通じた社外へのブランド発信が期待できます。
周年プロジェクトが全社的な取り組みとして一体感を持って進められるよう、経営陣からのメッセージやエンゲージメント強化策を積極的に打ちだしながら巻き込み、効果を最大化していきましょう。
周年事業・周年イベントの成功には、事前広報で期待感を醸成することも重要です。事前にどれだけ周年記念への関心を高められるかが、当日の盛り上がりや参加者の満足度に大きく影響します。事前広報の戦略には、社内外向けの取り組みが含まれ、特にSNSやプレスリリースなどを活用して期待感を高めていきます。
社内では、イントラネットや社内掲示板、メールを通じてイベントの詳細や準備状況を共有し、社員が参加しやすい環境を整えます。たとえば、カウントダウンキャンペーンや特別なイベントに関するクイズなどを通じて、社員の興味を引き出すことができます。
一方で社外向けには、SNSやウェブサイトを活用した動画やビジュアルを発信し、顧客や取引先の関心を引きます。また、特設サイトやメディア露出を活用した、ターゲット層へのブランドメッセージ伝達も選択肢の一つです。
事前広報において重要なのは、情報を段階的に公開し、徐々に期待感を高めていくことです。一気に全ての情報を公開するのではなく小出しにすることで、イベントなど最大の盛りあがりポイントに向けて関心を高めていくことが可能になります。
周年イベントが終わった後も、事後広報を通じてその効果を持続させることが大切です。イベント終了後の広報活動をしっかりと行うことで、イベントの成功をさらにアピールし、ブランド価値の向上を図ることができます。事後広報の際には、イベントでのハイライトや参加者の声、写真や動画などを活用し、関係者にイベントの成果を伝えることが効果的です。
SNSやウェブサイトでイベントの映像や写真を共有し、参加できなかった人々にもその感動を伝えることも重要です。また、イベントで得られた成果やフィードバックをもとに、会社の今後のビジョンや方針を再度発信することで、イベントを単なる過去の出来事として終わらせるのではなく、次のステップへの橋渡しとして活用できます。
ブランディングの観点からは、事後広報を通じて会社の一貫性と信頼性を強調することが求められます。たとえば、イベントで発表したビジョンや新しい価値観を再確認するメッセージを発信し、会社の未来へのコミットメントを強調します。また、事後に特別なキャンペーンやフォローアップイベントを実施することで、イベントで得られた関心を維持し、長期的なブランドロイヤルティを高めることができます。
会社の周年事業・周年イベントは、ただの記念行事ではなく、ブランド価値を高め、社員やステークホルダーとの関係を強化する絶好のチャンスです。成功させるためには、計画的かつ長期的な視点でのプロジェクト設計が重要です。専任チームの立ち上げや目的の明確化、各施策の検討、社内外の巻き込みなど、多岐にわたる準備が必要ですが、一つひとつ丁寧に進めることで、会社の未来を切り拓く力強い施策になります。挑戦を楽しみ、会社の成長に貢献できるような成功を目指して、ぜひ力を尽くしてください!
この記事の著者
中島 浩太
株式会社ゼロイン
2008年、株式会社ゼロインに新卒入社。インナーブランディング・社内コミュニケーション施策をプロデュースするコミュニケーションデザイン事業、ゼロインの管理部門、新卒採用担当、新規事業を経て、現在はコーポレートブランディング室において広報(社内広報・社外広報/PR)とマーケティングを担当。
インターナルブランディングの魅力的な取り組みを紹介するウェブメディアCAPPYの編集長として、さまざまな企業における企業文化づくりや組織活性化の取り組みを取材。