
外国人材紹介を専門とするG.A.グループ株式会社は、創業30周年という節目に、会社の歴史を棚卸ししながら、これからの方向性を自分たちの言葉で描くプロジェクトを推進しました。
このプロジェクトの目的は、単に新しい理念やスローガンをつくることではありません。社員一人ひとりが「会社の未来は自分たちがつくるものだ」と捉え直し、その思いを言葉にし、行動へつなげていくことを目指していました。そのために、役員から若手までを巻き込み、対話とワークショップを重ねながらパーパスを形にしていきました。
お客様情報
目的
ゼロインのサポート内容
このプロジェクトの出発点は、30周年そのものではありませんでした。周年プロジェクトの担当者である安西様は以前から、社会的意義のある事業を持ち、魅力的な社員がいるにもかかわらず、それらを社内外に対して十分に伝え切れていないという課題を感じられていました。
そうした課題感から安西様は、2021年に社内報の発行をスタートし、共感してくれる仲間を少しずつ増やしながら自社らしさを言語化し、発信する取り組みを続けてこられました。その過程では、構想段階から共に議論を重ね、時に伴走しながら思考を深めていく重要な協力者/Sさんの存在もあり、取り組みの質を一段と高める支えとなってくれました。そうした積み重ねの中で、30周年という節目にあらためて会社の価値や強み、これからのあるべき姿を整理したいという思いが高まっていきました。
しかし、構想はすぐに社内で受け入れられたわけではありません。提案は複数回にわたり、社長や役員との対話、上司であるTさんとの幾多の壁打ち、関係者とのすり合わせを行い、ようやく「歴史の棚卸し」「記念誌制作」「パーパス策定」を一連のプロジェクトとして立ち上げました。周年施策を、会社の価値を見つめ直し、次の世代へバトンをつないでいく機会として捉えたことが、この取り組みの大きな特徴です。
パーパス策定のフェーズ0(ゼロ)として、まずは社内の新卒入社3年目の若手社員から役員まで選抜8名から成る「プロデューサーチーム」が発足。「我々はどこへ向かいたいのか?」本プロジェクトの位置づけを徹底議論しました。そこで、30周年を機会とした、リ・ブランディングプロジェクト「GA30SUMMIT(GAサーティー・サミット)」と位置付けました。
その後、パーパス策定プロジェクトが発足し、20~30代中心の20名の選抜メンバーが参加しました。複数回のワークショップを通じて、会社の歴史や現在地をふまえながら、会社がこれから目指す姿を対話によって言語化していきました。
ワークショップのオリエンテーション
自社やその周りの環境変化をチームで議論
各自パーパス案を出し合い全体で議論参加メンバーの多くは当初、「何が正解なのか」「どこまで自分たちが考えてよいのか」という戸惑いを抱えていました。通常、会社の未来について考える機会は多くなく、正解のない問いに向き合うことには不安を感じるものです。しかし、1泊2日の合宿を含め、全8回の対面ワークショップを重ねる中で、正解を探すことよりも、自分たちの言葉で問い続けること、そのものに意味があるという認識へと変化していきました。

議論の中で特に印象的だったテーマが、「アジアで戦うのか、世界を目指すのか」です。これは単なるキャッチコピーの議論ではなく、会社の領域そのものを問うものでした。トップから答えを示されるのではなく、メンバー自身が考え抜いた末に「世界」という言葉を選択した経験は、パーパスを「与えられた言葉」ではなく「自分たちでつくった言葉」として受け止める土台になりました。自分たちで言葉にしたからこそ、「このパーパスを体現していくのは自分なのだ」という覚悟感も同時に芽生えていきました。
完成したパーパスとブランドスローガンを用いた社内ポスターワークショップを通じた変化は、プロジェクトの外にも広がりました。参加メンバーが朝礼で自発的に進捗を共有するようになり、「伝道師」の役割をメンバー自身が担うようになりました。メンバーたちの発信によって、社内の日常会話の中で「パーパス」という言葉が自然に使われ始めていきました。
周年プロジェクトの開始時には、ワークショップ参加メンバーだけでなく、社内全体に「また何か始まったな…」という漠然とした不安感が漂っていましたが、それが徐々に薄れていく過程でもありました。
さらに、プロジェクトへの参加は、メンバーの評価や抜擢にもつながっていきました。会社の未来を考え、自ら言葉にし、周囲に伝えていく経験は、次世代リーダーの育成機会としても機能していました。周年記念やパーパス策定を、組織文化や人材育成につなげられることを示す事例といえます。
ワークショップに参加したメンバーからは、「G.A.グループをつくっていく若いメンバーがそれぞれの熱い思いや考えを語り、話し合う時間はとても有意義だった」「会社の未来は、“誰か”ではなく“自分たち”でつくっていくものだと強く感じた」「一人ひとりが主役となり、仲間とともに未来を形にし、社会にもっと貢献していきたい」という声が寄せられました。
本プロジェクトでゼロインが担ったのは、G.A.グループ様の中にある思いや価値観が、言葉として立ち上がってくるプロセスを推進することでした。ワークショップの設計・ファシリテーションを行いながら、議論の進捗や参加者の状態に応じて問いの置き方や進め方を調整し、対話が深まる場づくりを行いました。
また、事務局、経営、参加メンバーそれぞれの意図や考えを整理することで、合意形成の推進に伴走したことも大きな役割の一つでした。周年施策、パーパス策定、記念誌制作が連動する複雑なプロジェクトの中で、個別の施策だけでなく、全体の流れが連携するようにサポートしました。

今回のプロジェクトで一番大切にしたことは、事務局として関わりながらも、「主体者」でもある、ということでした。そのため、社長の思いは尊重しつつも、プロジェクトの発起人として自分の考えを明確に持ち、必要な場面で率直に意見を伝えてきました。この姿勢で関わり続けたからこそ、メンバーにより強い当事者意識が広がっていったのだと思います。
ゼロインさんは、そうした私たちの意思を受け止めながら、最善の形を一緒に考え続けてくださいました。複数社を比較する中でも、「G.A.グループらしさ」を尊重しながら伴走してくれる印象がもっとも強く、発注を決めた大きな理由でした。ワークショップでは実際に、正解を押しつけるのではなく、「言葉にならない時間にも意味がある」と捉えて、議論の中の迷いも承認しながら進めてくださったことで、安心して意見をぶつけることができました。

ほかにも、場を回すだけではなく、表面的な議論になりそうなときには立ち止まらせてくれました。私たちが本気で考えなければ前に進まない状態をつくってくださったと思います。結果として、パーパスをつくるだけではなく、メンバー一人ひとりが「会社の未来は自分たちがつくる」と覚悟を持てるプロジェクトになったと感じています。
パーパス策定はゴールではなくスタートです。覚悟を持ったメンバーたちが、これからのG.A.グループを引っ張ってくれると信じています。
ゼロイン社の皆さんに最も感謝したいのは、ワークショップ運営です。
全国から20名の若手メンバーを選抜したWSでは、まだヒヨコだと思っていた若いメンバー達が、自社の将来について真剣に議論する様子に感激し、100年先もG.A.グループは成長を続けられる事を確信しました。
パーパスの設定や素晴らしい記念誌といった成果物は勿論ですが、若手メンバーに会社は自分たちのものであり、自分自身が当事者だとの気づきを植え付けてくれた事こそ大きな成果です。パーパスWSメンバーはこの経験・記憶を将来に渡って後輩達に受け継いで行って貰える事を願っています。
G.A.グループ株式会社
代表取締役会長 グループCEO 勝本健司
この事例では、パーパス策定と並行して30周年記念誌の制作も実施しました。
記念誌制作の事例はこちら
https://cd.zeroin.co.jp/cases/gagr30th-magazine/
この記事の著者

成井 里凪
株式会社ゼロイン アソシエイト
2022年、株式会社ゼロインに中途入社。前職では店舗経営管理を経験。ゼロイン入社後は、インナーイベント、周年プロジェクトなどのプロデュース経験を経て、現在はコンサルティング&プランニングのアソシエイトとして、映像企画やワークショップ設計などに従事。





















